今週のケータイ Watchの読み方


個人向けクラウドサービスが本格化


 

 Googleが個人向けのクラウドサービス「Google Drive」を発表した。Googleアカウントを取得していれば利用できるだけに、Androidユーザーをはじめとして対象となるユーザーの数は膨大になるとみられ、個人向けクラウドサービスが世界レベルで一気に本格化しそうだ。最新のクラウドサービスは、パソコンやモバイルを問わず利用できるのも特徴だ。

 Googleのクラウドサービスは以前からその存在が噂されており、発表に前後するタイミングで他社もサービスの拡充を発表している。特にマイクロソフトが提供する「SkyDrive」は、2012年中にリリースされる次期Windows「Windows 8」とシームレスに連携できる機能を打ち出すなど強力で、現時点でもWindows Phoneをはじめスマートフォンで柔軟に利用できる。Dropboxも最近になってファイルの転送方法でパソコン上のドラッグ&ドロップをサポートするなど、不満点を解消するアップデートを矢継ぎ早に提供し使い勝手を向上させている。

 プラットフォーマーによるクラウドサービスとしては、Appleが「iCloud」で先行して提供しているが、「iCloud」が同期や有料コンテンツのバックアップといった側面が強いのに対し、後発となった「Google Drive」はGoogleらしい強力な検索機能が特徴だ。この検索機能では、ファイル名だけでなく、保存したデータに対し、画像内オブジェクトや、スキャンした文書のテキストも検索対象。今後のクラウドサービスでは、保存や同期だけでなく、いかに簡単に思い通りのファイルを取り出すかがポイントになると予感させてくれる内容だ。

 クアッドコアCPUの製品が登場するなど、スマートフォンの進化はいまだに衰えを見せていない。一方、クラウドサービスの進化は、端末側の処理や負担を軽くできる一面を持っている。「端末には通信機能とディスプレイ、バッテリーだけ。処理も保存もクラウドで」などという時代も、夢物語ではないのかもしれない。


グーグル、Android対応オンラインストレージ「Google Drive」

 


決算ウィーク、3キャリアの動向


 

 KDDI(25日)、ソフトバンク(26日)、NTTドコモ(27日)と、3キャリアの2011年度の決算が出揃った。KDDI、ソフトバンク、ドコモともに増収増益となっている。

 KDDIは12月開始としていたLTEサービスを前倒しするとしたほか、予定している人口カバー率の高さも注目を集める。田中社長は3M戦略の順調な推移で、auの勢いが復活したことを宣言。2012年度からは事業セグメントの再編も行なっており、勢いをさらに加速できるかが注目される。

 ソフトバンクは、auのiPhone発売を「最大の山場を迎えた」と位置づけた上で、増収増益の結果をアピール。フリーキャッシュフローの増加や債務の返済が進んだことで「財務体質の改善は達成された」と宣言し、株主還元を重視する新たな財務戦略を打ち出している。今後については、7月より利用できる900MHz帯が「iPhone 4S」「iPad」「最新のPANTONE」で利用できることに加えて、「2012年夏に発売する全機種を900MHz帯対応」という方針を示した。また、ドコモやKDDIと同じ方式であるFDD-LTEによるスマートフォン向けパケット定額サービスを月額5985円で今秋に開始することも明らかにした。

 ドコモは、5月中旬に発表するという夏モデルで「Xi」端末を大幅に拡充する方針。「Xi」の通信速度も、新たに1.5GHz帯を利用した、下り最大112.5Mbps(屋外)のサービスを2012年度中に開始することも明らかにされた。端末ラインナップでは「らくらくスマートフォン」なども紹介、スマートフォンへの移行がさらに進む見通しだ。また、端末販売では「月々サポート」の増額に言及されており、“実質価格”はさらに値下げされる見込み。度々話題になる「ドコモ版iPhone」については、Appleの方針とドコモの販売戦略が合致しないとして、「現状では厳しい」とした。


KDDI、2012年度にスマートフォンで800万台の販売目指す
田中社長が「auモメンタムの完全回復」を宣言

ソフトバンク決算、“言い訳抜き”で増収増益
株主還元を重視する新たな財務戦略を打ち出す

ドコモの夏モデルは5月中旬発表、夏のスマホは7割「Xi」に

ドコモ決算は増収増益、一部で「Xi」下り112.5Mbpsへ

 

(太田 亮三)

2012/4/27 22:19