ドコモ、国内企業やサムスンとチップセット関連の合弁会社


 NTTドコモは、富士通、富士通セミコンダクター、NEC、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、サムスン電子(Samsung Electronics)とともに、通信機器向け半導体に関する合弁会社の設立に向けて、契約を締結したと発表した。

 各社が出資する合弁会社では、各社の通信技術・関連ソフト技術、半導体製造(ファウンドリー)能力、設計(ASIC開発)のノウハウなどを集約させ、さらなる半導体(チップセット)の省電力化・小型化を目指す。開発するチップセットはいわゆるベースバンドチップで、LTE、さらに次の世代の規格であるLTE-Advancedへの対応を検討するとのこと。他の通信規格への対応は未定。

 NTTドコモや富士通、NEC、パナソニックからはLTE関連の技術・特許が、富士通セミコンダクターからは電力増幅器(アンプ)技術が提供され、サムスンに製造が委託される。ノウハウの集約により製造したチップセットは国内外の端末メーカーへ販売される予定だが、その提供開始時期は未定で、採用製品も未定。ただ、携帯電話を製造するメーカーも参画しており、そうした企業で採用される可能性がある。

 ドコモでは1月中旬にも準備会社を設立する。社名は「通信プラットフォーム企画株式会社」で、代表取締役社長には小森光修氏(NTTドコモ取締役常務執行役員、研究開発センター所長)が就任する。出資額は4億5000万円。この準備会社で合弁会社の事業に向けて準備を進め、3月下旬にも各社からの出資を受けて合弁会社へ移行する。各社出資後の出資金の総額や出資比率は未定だが、ドコモが筆頭株主になる予定という。合弁会社はいわゆるファブレスとして製造設備を持たず、先述した通り、製造はサムスンが行う。

 合弁会社の設立に向けて、ドコモではビジネススキームについて各社間の合意に向けて検討を進める。なお、ドコモではNEC、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、富士通と協力して「LTE-PF」と呼ぶ通信プラットフォームを2009年に開発している。このプラットフォームは、ドコモや関連企業において“さくらチップ”と呼ばれているが、これまでは技術ライセンスの提供だったのに対し、今回はファブレスながら会社を設立し、製造を自ら携わるなど、主体的な立場として従来よりチップセット開発・製造に踏み込んだ取り組みとなる。そのメリットとして、ドコモでは、各社が求める製品作りが行いやすくなり、自由度の高さがあるとしている。




(関口 聖)

2011/12/27 16:58