「GREE Platform」で世界へ、10億ユーザーを目指すグリー


グリー田中氏
発表会にはゲームメーカー各社が参加

 グリーは、ソーシャルプラットフォームを統一し、世界中のユーザーと統一された「GREE」上でゲームが楽しめる「GREE Platform」を2012年4月~5月にも開始する。12月6日、都内で会見が行われた。

 SNS「GREE」を展開する同社は、2011年4月に米OpenFeint(オープンフェイント)を買収した。来年4月以降にスタートする新たな「GREE Platform」は、この「OpenFeint」とGREEのユーザー、ソーシャルメディア、ソーシャルプラットフォームを全て統一するもの。世界に1.5億ユーザーを抱えるソーシャルサービス基盤となり、国内外で統一されたIDを利用する。海外の利用者ともソーシャルゲームがプレイできるため、1.5億人が同じゲームをプレイするといった環境が実現する。

 プラットフォームのブランド名は「GREE」で統一される。ゲームの開発環境としてはAPIとSDKも統一され、一度の開発でグローバルに配信できる環境が整う。当初は日本語と英語に対応し、今後さらに対応言語の拡大が予定されている。言語のほか、国毎の違いについてはグリーがまとめて、パートナーに対して情報を提供していく方針という。

 さらに、現行「GREE Platform」で提供されている「Unity Plugin for GREE」を含んだミドルウェアなども提供される。新しい「GREE Platform」は、基本的には現行の「GREE Platform」を中心としたもので、そこにOpenFeintの一部機能が盛り込まれる形になる。アプリはAndroidおよびiPhone向けに提供できる。

 グローバルプラットフォームは、カプコン、コーエーテクモゲームス、コナミデジタルエンタテインメント、スクウェア・エニックス、セガ、タイトー、バンダイナムコゲームスなど、大手ゲームメーカーが参入を表明している。提供予定のソーシャルゲームもメーカーの人気タイトルが並んでいる。詳細は以下の通り。

・バイオハザードマーセナリーズVS. for GREE(仮称)
・モンスターハンター Dynamic Hunting for GREE(仮称)
・『真・三國無双』for GREE(仮称)
・DanceDanceRevolution(仮称)
・エンペラーズ サガ
・ギャラクシーダンジョン(仮称)
・龍が如く 絆(仮称)
・period zero
・Dead Connection(仮称)

 このほか、グリーが開発したスマートフォン向けアプリなども順次グローバル対応していく。現在提供している約7500のゲームタイトルも引き続き利用できる。



スマートフォン拡大で基盤拡大を目指す

 グリーの代表取締役社長である田中良和氏は、2007年に軸足をそれまでのパソコンからモバイルに移し、会員数が急拡大したことを説明。現在のGREEの会員数を約2800万人とした。買収したOpenFeintの会員を含めるとユーザー基盤は1.5億人で、今後1年間で3億人に拡大する方針を示した。現在、世界中で11億台のスマートフォンがあり、2015年にはこれが47億台になるとの調査結果を受け、グリーではスマートフォンの急拡大に合わせてグローバルでのユーザー拡大に期待する。

 田中氏は、7億ユーザーとも言われるSNS「Facebook」や、そこにソーシャルゲームを提供するZyngaの名前を挙げ、GREEが自社でSNSを展開し、さらにゲームも提供している点を紹介。「プラットフォームとゲームを統合しながら提供しているビジネスモデルは世界でもユニークだと思う」と語った。別々の会社で提供するよりも、SNS基盤とゲームの連携が密に可能で、独自のキラータイトルを用意するこでユーザー拡大につなげやすいというわけだ。田中氏はこの連動がマスマーケティングの上でも有効だとする。

 プラットフォームを統合を進める一方、グリーは中国の「Tencent」(テンセント)や、シンガポールに拠点を持ち東南アジア圏で多くのユーザーを握っているSNS「mig33」(ミグサーティスリー)とも提携しており、この関係は引き続き継続していく。また、韓国の通信事業者であるSK Telecom(エスケー・テレコム)傘下のSKプラネットと提携し、スマートフォンが普及拡大する韓国市場においてもソーシャルゲームのコンテンツ流通体制を整える。

単独タイトルで20億円の売上げ

 グリーの執行役員でメディア事業本部長を務める吉田大成氏は、スマートフォン向けのソーシャルゲーム市場が活況を呈していることを紹介。ソーシャルゲーム「探検ドリランド」の画面を紹介しながら、「単独タイトルで20億コイン(約20億円)を消費したタイトルも出た。日本で得たノウハウが世界でも通用するのではないか」と話した。

 田中氏は、将来のビジョンを語る中で、「10億人が利用するサービスを作る」と語った。「10億もそう先のことではなく、5年後、10億人が使うサービスはきっといくつか出てくるだろう。グリーはその中の1つになりたい」と話した。SNS基盤とゲームの両方を1つの会社が提供するのは珍しく、ユーザーの規模としても世界で日本市場以外に競合が存在しないという。

 このほか、今回の発表会には、ゲームメーカー各社が参加した。カプコンのコンシューマーゲーム事業管掌 取締役 専務執行役員の一井克彦氏は、「GREE Platform」への参加した理由を、「1.5億人にゲームを提供できる」とシンプルに語り。タイトーのON!AIR!事業本部 本部長の庄司顕仁氏も「これまでの我々のビジネスとはケタが違う」などと述べた。グリーの田中氏は「ゲームが日本を代表する産業でエンターテイメントであると証明したい」と世界展開への意欲を見せた。




 




(津田 啓夢)

2011/12/6 14:48