「iida and ALESSI」を初披露、X-RAYは5日発売


iida and ALESSI

 KDDIは、デザイン関連イベント「DESIGNTIDE TOKYO 2010」の開幕の前日、報道関係者向けに28日に発表されたばかりの「iida and ALESSI」のコンセプトモデルなどをお披露目した。この中で「X-RAY」の発売日などが明らかにされた。

 DESIGNTIDE TOKYO 2010の会場となる東京ミッドタウンで行なわれたKDDIのプレイベントでは、KDDI株式会社 コンシューマ事業本部サービス・プロダクト企画本部長ある増田和彦氏より、iidaブランドの新端末「X-RAY」が11月5日より全国で発売されることが発表された。

 同端末は、「透明なかたち」をデザインコンセプトに、携帯電話の内側の構造をデザインした折りたたみ型携帯電話。「X-ray」という言葉は、英語でレントゲン撮影などで知られる「X線(エックス線)」を意味している。デザイナーは、MEDIA SKINなどを手がけた吉岡徳仁氏で、今回のプレイベントには同氏も出席した。

 プレゼンテーションの中で増田氏は、「iida and ALESSI」3モデルについて商品化を検討しており「動き出している」と明かした。プレゼンテーション終了後の囲み取材では、時期については言及しなかったものの、商品化の可能性について80~90%と話していた。

 DESIGNTIDE TOKYO 2010は、10月30日~11月3日にかけて、東京ミッドタウンで開催される。「iida and ALESSI」のコンセプトモデル3モデルのほか、さまざまなインテリア製品なども展示される。

X-RAYマルセル・ワンダースのコンセプトモデル
ステファノ・ジョバンノーニのコンセプトモデルパトリシア・ウルキオラのコンセプトモデル

コンセプトモデル

 iida and ALESSI、マルセル・ワンダース氏のコンセプトモデルは、「貴金属を思わせるようなスマートフォン」をテーマに、スケルトン素材のボディ背面部に彫刻のような加工を施したモデル。フルタッチタイプのモデルとなり、ディスプレイ下部に配置されたボタンなどから、Android端末であることがうかがえる。


マルセル・ワンダースのコンセプトモデル

 iida and ALESSI、ステファノ・ジョバンノーニ氏のコンセプトモデルは人の形を模したALESSIのキッチンウェア「ジロトンド」シリーズを踏襲し、携帯電話に愛嬌のある顔の形ほどこしたものをした。円形の背面ディスプレイは目のように動いており、メッセージを伝える「目」の役目になるという。本体を開くのに役立つ「鼻」、ヒンジ部分は「髪」をイメージしている。付属のアクセサリーでも世界観を表現している。


ステファノ・ジョバンノーニのコンセプトモデル

 iida and ALESSI、パトリシア・ウルキオラ氏のコンセプトモデルは、スペインの伝統楽器であるカスタネットを連想させる端末で、外観上はいわゆる従来の携帯電話の折りたたみ型モデルを思わせるデザインとなっている。ネックストラップ部分はカスタネットのヒモに着想を得たとのことで、ポンポン・ストラップやイヤホン、穴あき携帯パッドなどアクセサリーも用意される。


パトリシア・ウルキオラのコンセプトモデル

 なお、いずれのモデルも製品化の時期は未定。ただし、KDDIの増田氏は、製品化に向けて動き出しているとし、プレゼンテーション終了後の囲み取材では、80~90%の確率で製品化するとした。商品化の時期や詳細については未定ながら、まずはコンセプトモデルの開発に注力し、これからより具体的に製品化のステップを踏むとした。

 スマートフォンなどのオープンOSを採用したモデルでは、他社の携帯電話でもほぼ同じ機能の製品が登場するなど、機能的な差別化が難しくなりつつある。こうした中でKDDIのiidaでは、デザイン力で他社との差別化を図っていきたい考え。KDDIは、これまでのデザイナーとのコラボレーションを手がけてきたが、ブランドコラボは手がけていない。コンセプトモデルながら初のブランドコラボ製品を発表したのは、多くのデザイナーとの繋がりを持つALESSIだからこそとも言えそうだ。

iida and ALESSI、両社共同でマーケティング戦略をたてる

KDDIの増田氏
マシモ氏

 プレゼンテーションで「iida and ALESSI」について説明した増田氏は、ALESSIについて世界的なブランドであるとし、互いに物作りに対するこだわりを話すうちに、2つのブランドがお互いをリスペクトできる関係が生まれたと述べた。

 「iida and ALESSI」では、ALESSI社がマルセル・ワンダース、ステファノ・ジョバンノーニ、パトリシア・ウルキオラという3名のデザイナーを選出し、それぞれがKDDIのデザイン&企画チームと話し合いながらコンセプトモデルを手がけていった。なお、3名のプロダクトデザイナーはいずれも、ALESSIはもとより家具や日用品などの分野で世界的に活躍している人物。増田氏は終了後の囲み取材の中でも、多くの外部デザイナーと関係を持つALESSIの中でも、選出された3名が国内外で高い実績を得ているとし、iidaのチームでも「ALESSIの本気度がわかった」と歓迎したことを明かした。

 ALESSIは、キッチンウェアメーカーとして長い歴史を誇るイタリアの企業で、日常生活の中にちょっとしたアクセントをつけるような、気が利いていて楽しい日用品などを数多く生み出している。1990年代からは外部のデザイナーを積極的に起用し、新たな“ALESSIらしさ”を提供しており、今回のデザイナーはいずれもALESSIとのコラボ製品などを提供している。

 ALESSI側の代表として登壇したマシモ氏は、同社が200人以上のデザイナーと関係を持つ中でわかったこととして、「高品質なデザインを生み出すだけではなく、ALESSI自身がアクティビティとプロダクションの中間に立つことが必要だ」と話し、起用するデザイナーについて「デザイナーは世界中でももっともすばらしいマーケティング集団。アートの概念を製品の中に落とし込める力がある」と力強く語る。

 また、ALESSIがコラボレーションする企業とは、一緒にマーケティング戦略を立案していくという。マシモ氏は「iida and ALESSI」について、「2つの企業がコラボレーションすることは毎回多くのチャレンジがあるが、2つの力を合わせていける。我々はパートナーの信念にもっともマッチしたデザイナーを選び出せる」とした。

ケータイに愛着を、ラブを感じてもらいたい


マルセル・ワンダース氏と通訳担当者吉岡徳仁氏

 また、起用された3名のデザイナーのうち、マルセル・ワンダース氏が登壇し、デザインへの想いを言葉にした。

 ワンダース氏は「Hello! Tokyo! 東京は大変すばらしい街だね。今回、iidaとALESSIのために来日できたことを本当にうれしく思っています。そして、今回ケータイを手がける機会を得て感謝しています」と軽快に語った。さらに同氏は「ケータイにはいろいろな機能があるけど、なによりも皆さんがケータイに愛着を持ってもらい、ラブを感じてもらいたいね。ケータイこそが現実に人を結ぶものだと思うから。日本人は製品に思い入れがあり、物に対するこだわりが強い。そういった人たちのためにデザインできるのは本当すばらしいと思っています。デザインは表面的なものではなくて、たとえば女性でもその人の肌に触れるだけでその人の心がわかるように、表面を通してモノの魂がわかるんだと思っています」などと話した。

 X-RAYを手がけた吉岡徳仁氏は、製品化までに2年を要したことを説明。「現在はらゆるものがデザインされている状況で、表面をデザインするのではなくて、内側をデザインをしてみようと考えた」と話し、最初のプレゼンテーションでは、実際に携帯電話をレントゲン撮影し、写真を見せて説得したことを明かした。


TEAM LABのインスタレーション

 



(津田 啓夢)

2010/10/29 20:22