“感じる”コミュニケーションなど、ドコモがCEATEC展示内容公開


 NTTドコモは、10月5日~9日にかけて開催されるエレクトロニクス関連の展示会「CEATEC JAPAN 2010」において、さまざまなデモを展開する。9月17日、ドコモブースで展開されるデモの一部が公開された。

 ドコモブースでは、同社の企業ビジョン「スマートイノベーションへの挑戦―HEART―」の実現に向けて、先進技術や研究の成果が披露される。2010年12月よりサービス開始予定のLTE「Xi(クロッシィ)」では大容量動画データのダウンロードや、低遅延を活かした同時通訳のデモが展開される。

 また、「ワイヤレス充電ケータイ」の展示では、無接点充電のデモが披露される。普及推進団体であるワイヤレスパワーコンソーシアム(WPC)に準拠した充電台と対応端末が展示される。

 このほか、イオン発生機能搭載ケータイ、3D技術、体温ハート、Mobile AR技術、AR Walker、モバイル空間統計、モバイルマーケティングASPサービス、法人向けのスマートフォンソリューションなども紹介される予定となっている。

3D技術

触る3D

 今回の説明会では、3D技術、AR Walker、体温ハート、モバイル空間統計、モバイルマーケティングASPサービス、法人向けのスマートフォンソリューションのデモが披露された。

 3D表示技術は、「触る3D」と「撮る3D」の2種類が紹介された。「触る3D」は、3D表示の立体映像と触覚を連携させたモバイル技術となる。カメレオンが表示された8方向の多視点裸眼3D表示のディスプレイの上で専用のペンを動かすと、カメレオンが専用ペンのペン先めがけて長く伸びる舌を伸ばす。その瞬間、ペンがビクッ! と反応する。

 デモ用の端末には、L字型の筐体の下面に3D表示のディスプレイが搭載されており、L字型の上面に2つのカメラが仕込まれている。この2つのカメラで専用ペンの位置を3次元測位し、ペン先を特定している。また、L字型下面の3Dディスプレイには、背面にコイルが仕込まれている。専用ペンには磁石を内蔵、ペン先が磁石のN極となっている。

 画面上のカメレオンは、ペンをディスプレイから浮かせた状態でもペン先を追い続ける。ペンが止まると、カメレオンはまるで獲物の虫を捕らえるかのように長い舌を伸ばす。虫をキャッチするその瞬間、コイルは電気的にN極の磁力を発生させ、磁石の反力によってペン先がビクッと反応する仕掛けとなっている。

 ドコモでは、新たなコミュニケーションの形を検討するため、こうした触覚を交えた研究を行っているという。展示ブースでは、実際にペンを使って体験できるようになる予定だ。


専用ペンを浮かせた状態でも3次元で位置を検出するカメレオンが舌を伸ばし、ペン先がビクッと反応する

 「撮る3D」は、表示するディスプレイに合わせて3D写真を変換する技術となる。3D表示は、撮るデバイスと見るデバイスが相互に関連性を持ち、例えば、大きなディスプレイ用に作成した3D写真をモバイル機器などの小さな画面で表示させると、奥行きが過度に強調されて見にくい表示になってしまうという。「撮る3D」では、表示させるデバイスに合わせて変換処理する技術を研究している。

 視差調整技術では、複数の画像から過度な3Dの飛び出しを防いた多視点裸眼表示の映像を出力する。また、画像保管技術では、2視点の写真から奥行き情報を求め、2D表示に対応した一般的なディスプレイで擬似的に多視点の画像を生成する。これらの技術によって、2D/3Dといった表示デバイスの機能差や画面サイズに左右されずに、3D表示が実現できるという。

 なおブースでは、3D撮影した画像を2DディスプレイのXperiaで表示させ、擬似的に3D写真が楽しめるデモや、2視点、3視点、8視点の3D表示が披露される。


撮る3DXperiaで3D画像を擬似的に表示

AR Walker

AR Walkerのヘッドマウントディスプレイ

 AR Walkerは、オリンパス製の小型ヘッドマウントディスプレイを使った行動支援サービス。ドコモダケの背中を追って行くことで現実空間の道案内をするというもの。加速度センサーや方位センサーなどを搭載したデバイスと、ヘッドマウントディスプレイで構成されており、ヘッドマウントディスプレイの画面にはドコモダケが表示される。

 たとえば、体の向きを変えるとセンサーによって、画面上からドコモだけの姿が消えて、ドコモダケがいる方向に矢印が示される。ブースでは、壁面に実空間を模した映像が表示され、ヘッドマウントディスプレイに表示されたドコモダケが道案内するデモが体験できる。


ディスプレイはスマートフォンと接続されているスマートフォン側の画面
ヘッドマウントディスプレイの画面にはドコモダケが表示される。肉眼で見ると実際には大きな画面で、周りの景色に透けたような状態で見られるCEATECのブースでは、壁面に映像が表示され、道案内のデモが実施される

体温ハート

 体温ハートは、バイタル情報を使った体感型のコミュニケーションを提供するサービス。名称は勇敢な人を意味するLion Heartをもじったもので、愛する人とのぬくもりのあるコミュニケーションを目指した製品となる。

 ハート型の試作機には、脈拍センサー、圧力センサー、LED、発熱体などが搭載されている。Bluetoothに対応し、データはBluetooth対応携帯電話を介して相手側の試作機にデータが送信される。

 端末を握る強さと脈拍によって、相手側が握っている端末に心臓の鼓動を伝える。心臓の鼓動を模した振動のほか、心拍数を解析して相手の心理状態を推定し、LEDによる光、発熱体による温もりなどによって、“存在を感じる”コミュニケーションを実現しようというもの。振動はいわゆる携帯電話のバイブレーションとは異なり、心臓の鼓動に近い独特の振動の仕方をする。

 例えば恋人同士が手を握りあうような、自宅で寝ている子供の体温を働きながらでも感じられるような、会話やメッセージのやりとりとは異なる、温もりを伝えるコミュニケーションを目指しているという。


体温ハートハート型端末中央に脈拍センサー、上部に圧力センサーがある

そのほか

 モバイル空間統計は、ドコモの基地局運用データをベースに人口分布や人口構成、移動人口などの推計し、街作りや防災計画に役立てようという試み。9月15日に発表された。日本全国に配備されているドコモ基地局に収容されるドコモユーザーの流出入のデータを利用し、公共的な施策に活かしていこうとするもの。

 モバイルマーケティングASPサービスは、おサイフケータイを使ったクーポンサービスを小規模店舗でも展開できるソリューション。8月30日に発表され2011年1月より提供が開始される。ブースでは、クーポンの発券から、店舗でのおサイフケータイのタッチといった流れが体験できる。

 法人向けのスマートフォンソリューションでは、ドコモが提供するビジネスアプリの紹介サイトや、セキュリティ関連機能、グループウェアへの対応状況などが展示される。


モバイル空間統計モバイルマーケティングASPサービス

 



(津田 啓夢)

2010/9/17 21:04