UQが1周年、年度内に1万5000基地局80万契約へ


UQの田中氏(左)と野坂氏(右)

 UQコミュニケーションズは、2010年7月1日で「UQ WiMAX」の商用サービス開始から1年が経過する。6月7日、サービス開始1周年を記念して記者説明会が開催された。

UQ田中氏は会長に、新社長は野坂氏

 UQコミュニケーションズでは、6月14日の株主総会での承認を経て、現代表取締役社長の田中孝司氏が取締役会長に退き、現同社顧問の野坂章雄氏が代表取締役社長に就任する。

 会見冒頭で田中氏は、2007年8月のワイヤレスブロードバンド企画設立、同年12月の特定基地局開設計画の認定など、これまでのUQの歩みを紹介した。2009年2月26日の試験サービス開始については、忘れられない日だと語り、ユーモアを交えて自身の誕生日であると明かした。UQはその後、2010年1月に基地局5000局を突破、同年3月に7000局を超え、47都道府県でサービス提供が開始された。

 田中氏は、代表権のない会長職に退くことについて、「私もそろそろ疲れました」などと話し、後任へバトンタッチすると述べた。なお田中氏は、今年4月のKDDIの組織変更によって、代表取締役に昇進し、KDDIのコンシューマー向け事業全体を担当する立場となっている。

野坂氏「電気通信市場に風穴をあける」

 後任となる野坂氏は、まず自身の経歴を説明した。野坂氏は、2000年10月にKDDIアメリカの上級副社長に就任し、2005年にはKDDIのブロードバンドコンシューマ事業企画本部長となった。2007年にKDDIの中国総代表に就いて再び海外勤務となった後、2009年にKDDI理事を経て、2010年4月にUQコミュニケーションズの顧問となった。

 「停滞感のある日本の電気通信市場に風穴をあけていきたい」と語った野坂氏。同氏は、「外でも家の中でも使える」「速度が速くストレスなし」「業界最安の料金」とUQの特徴を説明し、量販店での売り場も拡大中であるとした。

 また野坂氏は「今年はUQの価値を上げていく」と述べた。UQの2010年度末までの目標加入者数を80万人、基地局も8000局増の1万5000局を年度末までに達成する予定とした。通信速度もさらに高速化を実現し、今夏にも実行速度下り30Mbpsを目指す。多くの端末はファームウェアの更新で30Mbpsに対応するが、一部機種ではハードウェアとして対応できなくなる場合があるという。

 なお、64QAMが適用される年末には実行速度下り40Mbpsが実現される予定。発表会ではこのほか、2012年頃の目標として、通信速度下り330Mbps、上り112Mbpsという目標にも言及し、IEEE802.16mの導入により実現する方針が示された。

3つの成長の柱

 野坂氏は今後の成長戦略として、「携帯電話モデルとの差別化」「オープンモデルの加速」「グローバル展開」と3つの柱を挙げた。

 データ専業であることを活かして高速性をアピールしていき、さまざまな機器が導入しやすいようオープンなプラットフォームとして展開するとした。音声サービスについてもアプリケーションの1つと捉えていると述べ、非PC端末での採用についても言及。さらに、WiMAXが世界148カ国で展開されていると、グローバル性もアピールされた。

 なお質疑応答では、海外WiMAX事業者である米ClearwireやロシアのYotaがLTEへ移行を進めているという指摘があり、UQでは事業者に確認したことを明らかにして、WiMAXサービス自体には変わりはないとの見解を示した。UQの田中氏は、「2015年までにワイヤレスネットワークがオーバーフローすると言われている」と話し、WiMAXやLTEだけでなく、3GやWiFiを使って溢れるトラフィックをカバーしていく必要があるとした。田中氏は、WiMAX事業者の移行話もこうした将来的な通信事情を見据えた考えたではないかと話した。

 UQでは、「WiMAX Speed Wi-Fi」とWi-FIルーター製品にブランド名称を付けたことによって、契約者の10%程度を占めるルーター製品の加入者増を見込む。発表会では、UQの新CMも披露されたほか、UQの田中氏とインテル代表取締役社長の吉田和正氏、マイクロソフトの代表執行役 社長の樋口泰行氏によるトークセッションなども行われた。



 



(津田 啓夢)

2010/6/7 18:53