NEC、携帯電話の年度出荷計画を2度目の下方修正


NEC 取締役執行役員常務の小野隆男氏

 NECは、2009年度第3四半期(10~12月)連結決算を発表。そのなかで、携帯電話の2009年度の出荷計画を、400万台へと下方修正することを明らかにした。年度初めには、前年比10万台減の500万台を目標としていたが、これを昨年秋に450万台に下方修正。さらにそれを修正する格好となった。

 同社の携帯電話の出荷台数は、第1四半期実績が前年同期比19.7%減の130万台、第2四半期が25.0%減の90万台、第3四半期が46.2%減の70万台と、期を追うごとにマイナス幅が大きくなっている。下方修正した400万台を達成するには、第4四半期に、前年同期比10%増となる110万台の出荷実績が必要となり、大幅な販売増を実現する必要がある。

 NECの小野隆男取締役執行役員常務は、「発売機種の減少による出荷台数の減少が見られている。また、前年度には11月に新製品を発表したが、今年度は12月になるなど、新製品出荷時期の違いもあり、第3四半期は足踏みとなった。だが、第4四半期は新製品の貢献のほか、新機種を追加する予定であり、販売台数を拡大できる」と、計画達成に意欲を見せた。

 一方、PC事業に関しては、年間250万台の出荷計画を据え置いた。第3四半期のPCの出荷台数は11.3%増の69万台だったが、第4四半期は18.7%増の73万台の出荷が必要となる。「Windows 7の効果もあり、250万台の出荷を達成できると考えている」とした。

 携帯電話(モバイルターミナル)と、PCをあわせたパーソナルソリューション事業の第3四半期の売上高は前年同期比13.4%減の1767億円、営業利益は81億円改善の32億円。固定費などの費用削減効果と、開発の効率化、原価低減活動などの成果により黒字転換したという。

 第4四半期における携帯電話の売り上げ計画は、前年同期比4.7%増の786億円。PCは前年同期比5.7%増の1213億円となる。

 なお、同社が発表した2009年4月~12月までの9カ月累計の全社売上高は、前年同期比19.4%減の2兆4791億円、営業損益は399億円減のマイナス452億円の赤字、税引前損益は135億円減のマイナス563億円、当期純損益は758億円改善のマイナス532億円の赤字となった。

 また、第3四半期(10~12月)の実績は、売上高が13.0%減の8254億円、営業損益が172億円改善の75億円の赤字、経常損益が433億円改善の64億円の赤字、当期純損益は1212億円改善したものの、マイナス96億円となり、赤字脱却はならなかった。

 「厳しい経済環境の影響もあり、すべてのセグメントにおいて減収となった。上期に比べると回復傾向にはあり、2010年度に向けて回復感が感じられるレベルにある。これが来期の業績にどう反映するのかに期待したい」(NECの小野隆男取締役執行役員常務)と総括した。

 セグメント別の業績は、9カ月累計で、ITサービスの売上高が6.6%減の5724億円、営業利益は22億円増の141億円。ITプロダクトの売上高は27.8%減の1383億円、営業損失は243億円減の111億円の赤字。ネットワークシステムの売上高が21.4%減の5618億円、営業利益は132億円減の81億円、社会インフラの売上高が9.9%減の1944億円、営業利益は16億円増の23億円、パーソナルソリューションの売上高が18.2%減の5391億円、営業利益は175億円増の112億円、エレクトロンデバイスの売上高が27.2%減の4132億円、営業損失は276億円減の528億円の赤字となった。

 なお、同社が取り組んでいる固定費削減活動については、すでに9カ月間で2431億円の削減を達成しており、年間の2900億円の計画に対する進捗率は83%となっている。9カ月間の成果は、人件費で752億円(進捗率96%)、技術外注費および業務委託費で1051億円(同81%)、償却・リースなどで232億円(同70%)、IT費用効率化や販売費、宣伝費などの削減で378億円(同76%)となっている。

業績概況セグメント別の業績
事業構造改革について

 



(大河原 克行)

2010/1/28 18:54