充電池からレアメタル回収、日鉱金属が実用化に向けた実証実験


 日鉱金属は、早稲田大学および名古屋大学と共同で、使用済みリチウムイオン電池からレアメタルを回収する実証実験を開始する。

 日鉱金属は、経済産業省の産業技術開発事業として公募された「リチウムイオン電池からのレアメタルリサイクル技術開発の委託先」に選ばれ、早稲田大学、名古屋大学とともに実験を行う。具体的には、使用済みリチウムイオン電池およびリチウムイオン電池用の廃正極材から、コバルト、ニッケル、リチウム、マンガンを回収する。

 日本では鉱物資源の多くを輸入に頼っている。日鉱金属では、今後の低炭素社会構築において、リチウムイオン電池の需要拡大が見込まれるとする一方で、その原料のうち、特にリチウムは全量を輸入に依存している状況と説明。リチウムイオン電池のリサイクル技術確立の必要性を訴えている。

 なお、レアメタルを回収するための基礎技術についてはすでに確立しており、実証実験では実機で稼動し、2011年の事業を目指してビジネスモデルを構築する。今期中にも日鉱敦賀リサイクル社の構内にパイロットプラント(実用化に向けた研究設備)が設置される予定で、プラントの回収想定量は、ニッケルとマンガンが月産6トン、コバルトと炭酸リチウムが月産10トン。 回収したレアメタルは、日鉱金属の車載用リチウムイオン電池用正極材に利用されるほか、正極材メーカーへの供給も予定しているという。

 



(津田 啓夢)

2009/9/4 13:01