KDDI第1四半期決算、純増シェア減少も「収益には影響なし」
KDDI小野寺氏 |
KDDIは、2009年度第1四半期連結決算を発表した。営業収益は前年同期比1.9%減の8537億円、営業利益は14.0%増の1418億円、経常利益は10.9%増の1384億円、当期純利益は19.3%増の864億円の減収増益となった。
KDDIの小野寺 正社長兼会長は、「オペレーションデータに課題はあるが、おおむね堅調に推移したいと考えている。営業利益の通期見通しに対する進捗率は30.2%となっている。社内の計画に対しても、社内目標にほぼ沿っている」と語った。
■携帯事業の業績について
小野寺氏が言及した課題とは、「携帯端末そのものでは十分に戦っているが、データカードやMVNOで数を増やすことができないため、それが純増数という単純な数字に影響している」という点。これが、純増シェアの減少に繋がっていると説明する。
「データカードについては、基本的にはUQコミュニケーションズによる展開が中心になると考えており、今後は強化を図るといっても、気持ちとしてはUQコミュニケーションズの増加分が当社の数字だと思っている。一方で、MVNOについては、すでに2社との合意を発表しているほか、数社と話を進めており、今後増える可能性がある。MVNOとは共存できると考えているが、単純に値下げをやるところと手を組むのではなく、両方がWin-Winの関係になれるところと積極的に手を組みたい」とした。
連結決算の概要 | 移動体通信事業の業績 |
移動通信事業は、営業収益が前年同期比2.4%減の6632億円、営業利益は9.6%増の1525億円、経常利益は9.6%増の1548億円、当期純利益が15.8%増の959億円となった。端末販売台数は、前年同期比23%減の221万台。6月末時点でのauの累計契約者数は3100万契約。累計シェアは28.6%となった。
「4月、5月は、前年度からの流れを引きずっており、販売台数はマイナスだったが、6月には、1x利用者のWINへの移行などもあり、前年同期を上回った」という。販売手数料単価は4万1000円となっており、2008年度通期の3万9000円を上回っているが、「第1四半期はハイエンドモデルが中心となったことが影響している。今後は、シンプルデザインや、ミッドレンジ、ローエンドの製品が増えることから、販売手数料が減少する」とした。
また、6月末時点の端末在庫は113万台となっており、今年3月末時点の169万台から大幅に減少した。
「需要に応じて端末発注をコントロールし、在庫構成を改善した。在庫水準は適正であると考えている。単純に量という問題だけでなく、在庫のほとんどが夏モデルであり、一部だけが春モデル、昨年の秋冬モデルという構成であることも適正であるとする理由」などと語った。
販売手数料 | 端末在庫数 |
■オペレーションデータ
auの解約率は0.64%と、前年同期に比べて0.23ポイント減少している。
音声ARPUは前年同期に比べて300円減少の3350円、データARPUは60円増加の2250円。合計で300円減少の5600円となった。
2009年8月からスタートする月額390円の指定通話定額制度については、「新料金制度によって、トラフィックが増えるのは確実だが、それに対応できる体制がある。現在、当社ではサービスアウトすることになる旧800MHz帯と、新たな800MHz帯、さらに2GHz帯を持っている。旧800MHz帯はトラフィックが減る傾向にあるが、しばらくの間、3つの周波数帯を持たなくてはならないという状況にあり、キャパシティが余っている。トラフィックが増えても賄うことができると考えている。2GHzと新800MHzに集約したときに、足りなければ手を打てばいいと考えている」とした。
また、「今後はMVNOの増加や、旧800MHz帯の施設の減価償却費が無くなることから、将来に渡って、利益のピークアウトが訪れるとは思っていない」とし、純増数減少による収益への影響については否定した。
さらに、新聞広告で基地局の増加計画について告知した点については、「これから基地局を増やしていくというメッセージではなく、これまでと変わらず基地局を増やしていくという姿勢を示したもの。3年間で3万局という数字ばかりが目立っているが、新聞で明らかにした2007年度末の屋外の基地局数は2万4600局、屋内対策基地局が3900局。これが2008年度末には、屋外が3万2700局、屋内が1万2600局となっている。毎年1万局ずつ増加しており、このペースを維持していくことになる」と説明した。
スマートフォンについては、「Android(アンドロイド)端末の開発は進めている」とこれまでの回答を繰り返す一方、「発売は来年度以降になる。品質の良いものを出したいと考えており、それにベースに検討を進めている。他社に比べて市場参入が遅れているという指摘もあるが、まだ需要が膨らんでいる時期ではないので、大きなインパクトはない」とした。
また、夏モデルの状況については、「いまはまだ評価できる時期にない」としたが、「それなりに顧客からは評価をいただいている」と語った。au BOXについては、6月末時点で30万台を出荷したことを明らかにし、「順調に伸びている」とコメントした。
■固定事業などについて
IP-TV対応については、「ここまでフラットテレビが普及すると、スタンダード画質では駄目だろう。HD画質での開発を進めており、ここで考えたい。IP-TVは、ビデオ・オン・デマンドには適しているが、多チャンネル対応、地デジ対応には適していない」などと語った。
一方、固定通信事業は、営業収益は前年並の2072億円、営業損失は107億円の赤字、経常損失は130億円の赤字、当期純損失は64億円の赤字となった。赤字幅は縮小に向かっており、「固定通信事業の来期黒字化に向けて着実に歩んでいる」という。
6月末時点での固定系アクセス回線の契約数は559万契約。FTTHは、121万契約となった。
「FTTHは、四半期としては初めて10万契約を突破する11万2000契約を獲得。期末目標の152万契約に対する進捗率は27%と順調に推移している。また、ギガ得プランの導入効果もあり、ひかりoneの獲得数は着実に伸長。効果的な営業体制構築も奏功し、コミッシュン単価は前年同期に比べて約4割減少している。獲得数が2倍になり、コミッションが半減しているのはいい傾向にある。この好循環を維持していきたい」とした。
固定通信事業の業績 | 設備投資費 |
2009/7/23 19:23