ニュース

コマツやドコモなど、建設分野のIoTプラットフォーム「LANDLOG」

左からSAPジャパンの内田会長、コマツの大橋社長、NTTドコモの吉澤社長、オプティムの菅谷社長

 コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社は、建設生産プロセス全体に関わるIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」を、建設事業者向けに2017年10月より提供することで合意した。4社では同名の合弁会社を10月に設立し、サービスを順次、投入していく計画。料金などは未定。

 「ランドログ」は、調査/測量~設計~施行~メンテナンスまで、建設に関わるプロセス全般での活用を見込んだ建設事業者向けのIoTプラットフォーム。 ドローンやカメラで得た地形の情報や、車両の移動軌跡や積込土量、建機からの作業実績情報などがAPI経由で「ランドログ」に蓄積されていく。このデータを、「ランドログ」を利用するサードパーティがアプリに活用したり、建設業者が自社システムに活用したりする、といった使い方が想定されている。

 これまでもコマツでは建設現場向けソリューション「スマートコンストラクション」と、その土台となる「KomConnect」を提供してきたが、「よりオープンな環境として整備し、最適なソリューションを提供できるようにしたい」(コマツ代表取締役社長兼CEOの大橋徹二氏)として、「ランドログ」へ発展させることになった。

コマツの提供するスマートコンストラクション

 ランドログでは、建機や資材、スタッフからの情報を蓄積して、可視化し、無駄があれば最適化をはかるアプリケーションやソリューションで活用する、といった形が想定されている。たとえば建設現場にショベルカーとダンプカーがあれば、「土を掘ってダンプカーが運ぶ」といった用途であることは想像がつくところだが、現在は機材の現在地は把握できても、それらが何をしようとしているか、システム上は何の連携もできていなかった。人が見ればすぐわかる状況も、データだけではこれまでのコンピュータやシステムでは判別できなかったため、AIなどを活用して、データが意味するところを解釈して、その活用に繋げていく――というコンセプトだ。建設業界でも少子高齢化に伴い働き手不足が懸念されており、限られたスタッフと機材をうまく活用できるよう最適な施行プロセスを示すアプリなどの提供が期待されている。

 共同運営に参画する企業のうちNTTドコモは通信部分やデータ収集分野で貢献する。会見に参加した代表取締役社長の吉澤和弘氏は「農業IoT、AIタクシー、AIバスへ取り組んでおり、そこ得たデータ解析などのノウハウも提供していきたい。安全で生産性の高い未来の建設現場の実現に寄与したい」と意気込んだ。

 またSAPはグローバルでの展開に向けたプラットフォームの構築やビジネスモデルの構築で助力する。オプティムでは、資材や建機、建設スタッフから集まるデータをAIで解析する部分や、多くのアプリケーションベンダーが参加できるよう「リーズナブルなAPI」(オプティム代表取締役社長の菅谷俊二氏)を用意する。またオプティム自身もアプリベンダーとして「スマートフィールド」というアプリを提供する。同アプリでは建設現場のスタッフがイヤホン付きマイクとスマートフォンを身に着けておけば、どんな作業をしているのか、作業に関わる話をしているのか、プラットフォームに蓄積できる。

オプティムの「スマートフィールド」。作業の進捗状況を管理できるほか、作業中にトラブルがあった場合、遠隔で映像を送信し、本部にいる熟練者などが指示を出す、といった使い方もできる

 コマツの大橋社長は、同社のソリューション「スマートコンストラクション」がこれまで3000以上の建設現場で導入され、成功したとの認識を示しつつ、「もっと加速させるならば、よりオープンなものが必要ではないか。多くの方がデータを蓄積し、いろんなアプリが登場する。建設業界以外にとってもビジネスチャンスになる」と語っていた。