ニュース

広告を観ればデータ通信が無料、ドコモが訪日客向けプリペイドSIM

 NTTドコモは、訪日外国人旅行者を対象としたプリペイドSIMサービス「Japan Welcome SIM」の提供を7月1日より開始する。広告の視聴に応じてデータ通信容量を付与する仕組みが用意される。

 満20歳以上の訪日外国人旅行者が対象。訪日前に専用サイトで申し込み、日本国内の空港などでSIMカードを受け取って利用する。有効期間は15日間。データ通信専用で、SMSの受信に対応する。

 当初は128kbps通信が利用できる「プラン1000」(1000円)と、500MB分の高速データ容量が付属する「プラン1700」(1700円)の2種類のパッケージが用意される。2017年10月頃に「プラン0」として、広告動画などを視聴を条件とした無料のパッケージも提供される予定。

 高速データ通信では、NTTドコモのネットワークで下り最大682Mbps/上り最大50Mbpsで利用可能。低速時は上下128kbpsとなる。SIMカードのサービスサイトで広告動画を見たり、アンケートに回答すると、追加の高速データ容量がもらえる。有料でのチャージも可能。

プラン価格有効期間データ通信通信容量のチャージ
プラン0広告視聴などで無料15日間128kbps通信:無制限・広告視聴などで無料
・200円:100MB
・700円:500MB
プラン10001000円(税抜)128kbps通信:無制限
プラン17001700円(税抜)高速通信:500MB
128kbps通信:無制限

APN設定不要で開通

 開通作業での手間を省いたのも特徴としており、SIMを端末に挿入した後、簡単な「アクティベーション」の手続きを行うだけで利用可能。APN(接続先情報)の設定も自動で行われる。iOS/Androidに対応する。

 APNを自動で設定する仕組みは明らかにされなかったが、SIMカード内にAPN情報を記録しているものではないという。

 SIMカードは1枚で標準、microSIM、nanoSIMの3サイズに対応するタイプ。対応端末は、日本の電波法令の条件を満たすため、技術適合証明などの指定を受けている端末か、「ユーザーが海外でNTTドコモのローミングパートナーと契約中のSIMカードを挿して利用している端末」としている。

動画広告を1つ視聴で10MB、アプリのインストールで50MB

 サービス開始当初は、動画広告、アンケート、アプリインストール型広告、記事広告の4種類の広告が提供される。ユーザーが好きな広告を選んで、条件を満たすとデータ通信容量が提供される。今後、グルメ・レジャーの予約や、クーポン、交通機関、観光スポットなどの利用に応じて通信容量をもらえる広告メニューも検討されている。

動画広告を1つ観ると10MB、アプリを1つインストールすると50MBといったデータ容量が提供される。もらえるデータ容量は、広告主の出稿金額に応じて変動する。

広告の掲載イメージ

 なお、「Japan Welcome SIM」で広告を視聴する際はデータ通信容量を消費する。広告の視聴は渡航前か、ホテルなどのWi-Fi経由での視聴を想定しているという。

「Booking.com」がカウントフリー

 宿泊予約サイトの「Booking.com」とNTTドコモが提携し、同サイトの利用はデータ通信容量のカウント対象外となる「カウントフリー」のサービスとして提供される。同サイトで日本の宿泊予約を利用すると、100MBの追加容量がプレゼントされる。

訪日外国人向けの特化型メディアへ

NTTドコモ ビジネス基盤推進室 室長 太口努氏

 「Japan Welcome SIM」は、いわば本来ユーザーが負担するデータ通信料を、広告を視聴することで広告主が負担するというもの。26日の発表会で登壇したNTTドコモ ビジネス基盤推進室 室長の太口努氏は同サービスを「訪日外国人に特化したメディア」と位置づける。

 広告プラットフォームシステムの構築では、デジタル広告を手がけるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムと提携。同サービス向けの広告を販売、配信する仕組みを整えた。外部の広告配信パートナーと連携し、早期に延べ100万ユーザーの達成を目指して展開という。

 提携先として、前述のBooking.comと東急ホテルズの代表者が登壇した。ブッキング・ドットコム・ジャパンの日本地区統括リージョナルマネージャーは「日本は2016年の宿泊予約ランキングで10位に入る人気の渡航先となっており、今後も右肩上がりで上昇する」と見込みを示し、ユーザー接点として「Japan Welcome SIM」を活用していく考えを示した。

 東急ホテルズは訪日外国人向けに、ホテル宿泊のオプションとして割安な価格で「Japan Welcome SIM」を提供するという。同社のマーケティング部長 佐久間智義氏は「2016年度の実績で訪日外国人が3割を超える状況のなか、SIMカードを使いたいという要望を受けていた」と紹介。特に外国人比率が高い東京・永田町の「ザ・キャピトルホテル 東急」から提供を開始し、順次拡大していく構えだ。