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若年層の動画利用は「短い」「盛れる」「ライブ」――電通が利用実態を調査

 電通は、若年層を対象に、SNS上の動画利用実態にフォーカスした調査を行い、概要を明らかにした。調査はスマートフォンでSNSを利用する15~34歳の1615名が対象になった。

動画利用を読み解く3つのポイント

 電通では、調査で得られた知見として、「短い」「盛れる」「ライブ」などを指すものとして「ES-M-L」(エス・エム・エル)というキーワードを提唱している。

 「ES」はEphemeral/Shortで、時限消去される動画や非常に短い動画を指し、「M」はMoru(盛る)、「L」はLiveでライブ配信を指しており、これら3つが、動画を見るだけでなく使いこなす「動画世代のスマホユーザー」を読み解くキーワードとしている。

 「ES」として取り上げられた短い動画は、具体的にはSnapchatやInstagram Storiesが主に当てはまり、調査ではInstagram Storiesの利用率が高い傾向が明らかになった。またユーザーは短い動画を好むか、動画を見続けるかどうかを短い時間で判断しているという傾向も明らかになっている。

 「M」のMoru(盛る)は、特に女性ユーザーの行動を読み解く上で欠かせないとする。調査では、10代女性では1回の投稿に平均で3個もの写真加工アプリを使うことが明らかになった。プリクラから続く「盛る」文化が継承されていると指摘している。

 動画の人物や顔に対して加工や効果を加える動画フィルターアプリについても調査され、調査対象における利用者は37.8%、これに加えて今後使うポテンシャル層も34.7%存在することが分かった。使われ方は「ユーザー同士で盛り上がる/盛り上がれる」という、その場その時で楽しめるという点が重視されている。

 「L」のLiveは、ライブ配信の認知や利用の高まりを指摘するもので、ニコニコ生放送、Facebook Live、LINE LIVE、ツイキャス、YouTube Liveなどさまざまなサービスが利用されている実態が明らかになっている。

 調査ではこうした「ES-M-L」がポイントになる背景として、若年層では、Webを通じたコミュニケーションで「いま」性が高まっていると指摘。ストックではなくフローの体験にフォーカスが移っているとしている。

投稿モチベーションは「体験のストック」

 SNS全般での調査では、調査対象者が1日に押す「いいね!」の平均は、Facebookが9.3回、Instagramが10.3回、Twitterが9.1回だった。どのSNSでも、最も割合が多いのは1日1~3回となっている。

 ファッションのトレンドや芸能人・セレブの近況など、目的によっては一般的なネット検索サービスよりもSNS上での検索が多く利用されるケースが明らかになった。特に10代女性では、これらでネット検索よりSNS検索のほうが利用されている。

 これらは、自分に身近なユーザーが発信することや、ハッシュタグの存在、スマホシフトにより探索の対象がWebのページ単位ではなく“ポスト(投稿)”単位に移っていることなど、さまざまな要因が影響していると分析されている。

 一方で、SNSの発信のモチベーションで1位になったのは「自分自身の体験のストック」で、2位が「つながり、コミュニケーション」、3位が「生活のアピール/演出」という結果になった。

 SNSの動画などで“フロー”に焦点が当たる一方で、SNSへの投稿は“自分自身へ向いている”という、体験や興味・関心のあるテーマを蓄積していくことが重視されている。調査では「必ずしもSNS疲れするような使い方だけがされている訳ではない」と指摘、こうしたストックがSNS上のつながりにおける価値や信頼性を高めているとしている。