ニュース

MVNO悪用か、「荷受代行」「荷物転送」アルバイトで注意喚起

 「送られてきた荷物を転送するだけのアルバイト」に応募したところ、勝手に携帯電話が契約された――そうした相談が増えていると国民生活センターが案内している。

 5日には日本インターネットプロバイダー協会や、テレコムサービス協会MVNO委員会から「MVNOサービスを契約していると考えられる」として、「荷受代行」「荷物転送」といったアルバイトに絶対に応募しないでと呼び掛けている。

「荷受代行」「荷物転送」その手口は

 国民生活センターがまとめた「荷受代行」「荷物転送」とされるアルバイトと悪用の流れは以下の通りだ。

 まず「送られてきた荷物を指定された住所に転送するだけで報酬がもらえる」というアルバイトの募集情報がSNSなどにおいて出回る。興味を持ったユーザーが相手に連絡すると「転送するだけで1回3000円、5000円などの報酬がある」「アルバイトするには運転免許証や身分証明書が必要」と説明される。

 その誘いに乗って身分証明書の写真や、自身の個人情報(氏名、住所など)を送ると、その情報を使って、MVNOのWebサイトからSIMカードや携帯電話端末を契約しているらしいと同センターでは推測。契約時の決済手段としてクレジットカードを利用するとしても、契約名義(アルバイトの誘いに乗った人の情報)とは別の名義のクレジットカードが利用される事例が複数、確認されている。

 契約によって、アルバイトの誘いに乗った人の手元へ携帯電話やSIMカードの入った荷物が届き、その荷物をアルバイトとして転送する。ここで転送された携帯電話やSIMカードは、振り込め詐欺などに悪用される可能性がある。

MVNO各社で注意喚起

 国民生活センターからの呼びかけ後、MVNO各社や日本インターネットプロバイダー協会ではWebサイトなどを通じて、注意するよう呼び掛けている。テレコムサービス協会のMVNO委員会も同じく注意喚起の文書を5日にも掲出する予定だ。

 NTTドコモやKDDI、ソフトバンクによれば、こうした手口による相談は同社の窓口には寄せられていない、あるいは発生していないとのこと。国民生活センターの文書では「MVNOで契約されている」と指摘されているが、MVNO委員会によれば、6~7社においてそうした事例が確認された。ただし、ここ最近、ネットを通じた契約手続きが緩和されたことはなく、むしろ審査は強化しているとのこと。4月ごろに契約されたものが2カ月ほど経った6月ごろになってから、クレジットカード会社側で支払いに問題があるケースが相次いで発覚し、最近になって事例として把握できるようになったようだ。

 対策のひとつとしてMVNO側では近く、送付する荷物のパッケージに大きなフォントかつ赤色の文字で注意書きを記載する。