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BlackBerryが法人向けソリューションで日本市場に再挑戦

 BlackBerry社の日本法人であるBlackBerry Japanは27日、ソフトウェアソリューションに関する記者説明会を開催した。

 BlackBerry社の北アジア担当バイス・ プレジデントのテッド・テューダー氏は、セキュアな環境を企業向けに展開する同社の方針を説明。マルチプラットフォームでの展開が同社の強みとアピールする。

テューダー氏

過去2年間、BlackBerryが買収した企業は

 テューダー氏はまず、BlackBerry社が過去2年間に買収した企業群の紹介からスタート。

 2014年7月に買収した独Secusmart(セキュスマート)は、企業や政府団体、通信事業者向けに、盗聴対策など音声関連のソリューションを提供する事業者。そして同年9月には仮想SIMプラットフォームを提供するmovirtu(モバーチュ)を、2015年4月には法人用途を想定したクラウドストレージソリューションのWatchDox(ウォッチドックス)を買収した。

 いずれもセキュアな環境を求める企業、団体に向けたソリューションを手がけており、「BlackBerryはハードウェアソリューションで知られていたが、今はソフトウェア事業に注力ししている」とテューダー氏。

社内スタッフだけではなくパートナー、顧客とも情報共有

 法人向けのソリューションは既に数多く存在するが、BlackBerryが提供するものでは、何を強みとしていくのか。

 その1つとしてテューダー氏が挙げるのが、共有とアクセス権限など、企業内で扱う情報を、柔軟に対応しつつ、セキュアに管理できる仕組みだ。

 たとえば、BlackBerryが2015年10月に買収した Good Technologyの技術を用いたコンテナ化技術では、スマートフォン1台で、所有者個人の領域と企業内の領域を用意する。仕事で使うアプリと、そのアプリが扱うスケジュール、メール、文書などを1つの塊(コンテナ)としておき、プライベートで使うアプリとは切り離す。もし、仕事で使うドキュメントを、プライベートで使っているdropboxにアップロードしたくてもデータへアクセスさせない。

 WatchDoxの技術を使うサービスでは、企業内のファイル共有をセキュアな環境で実現する。たとえば文書に対して、誰がいつ、どのような操作をしたのか記録しておける。また文書へのアクセス権限や有効期間、電子透かしを設定できる。

 これらのアプリケーションにより、従業員だけではなく、必要とあらばパートナー企業や、顧客ともコンテンツを共有できるという柔軟性を保ちつつ、なおかつセキュアな環境を提供できる。テューダー氏は、こうした機能が「実はハリウッドで人気」と明かす。映画の台本が盗難被害に遭いやすく、関係者だけに共有しやすい、という点で支持されているのだという。

マルチプラットフォームも

 BlackBerryが掲げるもう1つの強みは、マルチプラットフォーム対応だ。かつてのBlackBerryは、QWERTYキーを備える携帯電話端末とのセットで利用することが想定されていた。しかしiPhoneやAndroidにハードウェア市場の覇権を握られた今、マルチプラットフォームに活路を見出す。

 iOSやAndroid、Windowsなどのスマートフォン、タブレット、パソコンだけではなく、BlackBerryのビジョンとしてはウェアラブルデバイスやIoTデバイスを含め、幅広いプラットフォームへセキュアな環境を提供していくのだと語る。

 現在の日本市場では、金融関連や機械製造メーカー、弁護士関連など数百社での利用があるとのことで、導入規模はまだ小さい。ダイワボウ情報システムなどが既に国内での販売代理店として活動しており、今回の会見を通じて、あらためてBlackBerry社の強みをアピールし、日本での再始動を印象付けたいようだ。

【お詫びと訂正 2016/7/28 12:03】
 記事初出時、BlackBerry社のソリューションの導入規模に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。