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ドコモの赤い自転車が八丈島に上陸、期間限定で観光客にレンタル

コンテナから降ろされた自転車にまたがるNTTドコモ 顧問の山田隆持氏

 電動アシスト付き自転車のシェアリング事業を展開するドコモ・バイクシェアは、現地の自転車レンタル事業者と提携し、7月15日から八丈島で観光客向けのレンタルサービスを期間限定で提供する。

 これまで同社では、江東区、千代田区、港区、中央区の東京4区と、横浜市、仙台市、広島市、神戸市において、主に都市向けのコミュニティサイクルという位置づけで自治体と連携して事業を展開してきた。今回の八丈島での取り組みは、都市の生活者というより、島を訪れる観光客がメインターゲットとなる。

 同社 代表取締役社長の坪谷寿一氏は、「観光に自転車を使うことは昔からあるが、どう使っているのかはお客様に聞かないとわからなかった。別の場所で自治体と一緒にやっているが、観光マップで紹介した場所とは違うところに行かれ、滞在時間も想定と違っており、その町では観光マップを作り替えた。観光をIoTとミックスしていきたい」と語る。

10台の赤い自転車が上陸、元社長の山田氏も疾走

左からHJ PILOT 取締役の菊池孝彰氏、ドコモショップ八丈島店 店長の中島裕樹氏、ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長の坪谷寿一氏

 八丈島でサービスを提供するのは、地元で観光客向けの自転車レンタル事業を展開する赤松自動車工場とHJPレンタカー(HJ PILOT)の2社。すでに2社ともに電動アシスト付き自転車のレンタルサービスを提供しており、ドコモ・バイクシェアの自転車もその料金体系に準じる形でレンタルされる。赤松自動車工場では7月15日よりサービスが提供される。

 都市部で展開されるコミュニティサイクルとは異なり、自転車は上記2社とドコモショップ八丈島店の3カ所に置かれ、各拠点で借りて、借りた場所に返す形での運用となる。また、ドコモ・バイクシェアのサービスでは、会員登録をすることで、おサイフケータイに対応した携帯電話やSuicaやPASMOといったFeliCaカードを鍵として利用できるが、八丈島では専用のFeliCaカードが利用者に貸し出される形となる。

 これに先立ち、7月13日にはドコモ・バイクシェアが東京で使用している自転車10台がフェリーで八丈島の底土港に上陸。待ち受けていたNTTドコモの元社長で顧問の山田隆持氏らが、さっそく自転車にまたがってドコモショップに向かった。底土港からドコモショップまでは、およそ3kmの上り坂が続くが、電動アシスト付きとあって難なく15分ほどで到着。ドコモ・バイクシェアの坪谷社長から出迎えたドコモショップ八丈島店 店長の中島裕樹氏やHJ PILOT 取締役の菊池孝彰氏に自転車が引き渡された。

自転車は13日の朝にフェリーに積まれて到着
2つのコンテナに分けて運ばれた
【ドコモ・バイクシェア@八丈島】
底土港に到着した自転車10台は、ドコモ関係者が乗ってドコモショップへ
ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長の坪谷寿一氏

 菊池氏によれば、島では潮風の影響で通常よりも早く錆が出るなどの課題もあるという。今回の取り組みは、こうした厳しい環境下でドコモ・バイクシェアの自転車が耐えられるのか、テストするという側面もある。

 坪谷氏は「横浜などの臨海エリアでも錆対策をしていたが、こうした環境でどこまで耐えられるのか。塩に強いフレームやメンテナンスしやすいパーツなどを評価していきたい」と語る。

港から15分ほどでドコモショップ八丈島店に到着
八丈島では専用のFeliCaカードが鍵として用いられる
レンタルの拠点の一つとなる赤松自動車工場

八丈島のケータイ事情

ドコモショップ八丈島店 店長の中島裕樹氏(左)とドコモCS 多摩支店 支店長の古澤通紀氏(右)

 ドコモショップ八丈島は、八丈島唯一のキャリアショップ。大きな家電量販店も無い島では頼りになる存在だ。店長の中島氏によれば、島にはエンターテインメントが少ないこともあり、dTVが人気という。動画配信サービスはほかにもあるが、分からないことがあっても窓口に行けば教えてもらえるという安心感がその背景にあるようだ。

 この地域を管轄するドコモCS 多摩支店 支店長の古澤通紀氏も「八丈島店はお客様満足度が非常に高く、多摩支店管内で一番愛されている」と評価する。

 島にはNTT東日本の海底ケーブルが来ており、合計16の基地局が設置されている。ネットワークのトラフィックのピークは夏の観光シーズンで、多い日には平均の3倍ほどのトラフィックが発生する。

 現時点ではXi(LTE)によるサービスが提供されているが、PREMIUM 4G(LTE-Advanced)はまだ導入されていない。古澤氏によれば、島嶼部においてはXiが入っている島がまだ少なく、まずは各島でXiによるサービスを提供できるようにしたいという。

 ちなみに、ドコモショップ八丈島店は土日休業。都市部では考えられない話だが、試しに週末に営業してみたところ、あまりお客さんが来なかったということで、この形に落ち着いたのだとか。八丈島ならではのリズムで時が刻まれている。それでも取材した13日には、10時の開店にあわせて数名が来店し、すぐにカウンターが埋まっていた。

 八丈島での人気モデルは防水端末。「アウトドアが好きな方や漁師の方は防水端末を求められる」(中島氏)とのこと。

 ドコモショップ八丈島店には「ジョーくん」という公式キャラクターもいる。同じ系列の調布店には「ちょっぷ」、仙川店には「せんた」、狛江店には「こまこ」、伊豆大島店には「つばき」というキャラクターもおり、ドコモダケやポインコとは一味違った緩さが面白い。

開店直後からカウンターが埋まっていた
ドコモショップ八丈島店の公式キャラクター「ジョーくん」

 島内の観光スポットで配布されている同店のチラシを持参すると、限定グッズをプレゼントするキャンペーンも行っているとのことなので、この夏、八丈島を訪れる方は同店に立ち寄ってみてはいかがだろうか。