【東京ゲームショウ2011】
BDNA設立会見、急拡大のソーシャルゲームは四半期500億円市場に


バンダイナムコの鵜之澤氏(右)とDeNAの守安氏(左)
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 バンダイナムコホールディングスとディー・エヌ・エー(DeNA)は8月22日、新会社「株式会社BDNA」を設立すると発表した。東京ゲームショウのバンダイナムコブースでは、BDNAの設立記者会見が開催された。

 BDNAは、ソーシャルゲームをはじめとしたスマートフォン向けコンテンツの開発や販売を手がけ、グローバル市場にコンテンツを提供していくための共同出資会社。資本金は1億円で、出資比率はバンダイナムコゲームスが75%、DeNAが25%となっている。ただし、両社では「精神的には出資比率は半々」としている。これは、DeNAのMobageでコンテンツを提供する場合、プラットフォーム利用料などがかかり、出資比率はこの利用料を加味した上で半々となるように計算されているためだ。代表取締役社長には、バンダイナムコゲームスの代表取締役副社長である鵜之澤伸氏が就く。設立は10月1日。

 会見には、バンダイナムコゲームスの鵜之澤氏と、DeNAの代表取締役社長の守安功氏が登壇し、二人の掛け合いのようなかたちでプレゼンテーションが実施された。

 鵜之澤氏は2010年12月20日にMobageで提供を開始した「ガンダムロワイヤル」について「正直、驚いた」と語る。「ガンダムロワイヤル」は数日後のクリスマスには100万ユーザーを達成したためだ。現在では300万ユーザーを突破しており、この状況を同氏は「1日1日売上げが上がる。ガンダムロワイヤルはDeNAと協業で展開し、開発も一緒にやった。バンダイナムコが独自でやったコンテンツは、ガンダムロワイヤルの1時間の売上げにも満たなかった」などと話した。

 DeNAの守安氏は、ソーシャルゲームの市場が「とんでもない勢いで成長している」とした。2011年の第1四半期(4月~6月)、DeNAの推定ではソーシャルゲーム市場全体で500~600億円の売上げがあるという。単純にこれを4倍にすると、2011年度のソーシャルゲームは、2000億円市場ということになる。鵜之澤氏もこれに「まだスタートから2年立っていない市場だ」などと加えた。守安氏は、スマートフォンへの移行に伴ってまだまだ市場に拡大の余地があるとし、国内だけで3000億円を越える市場になるとの見通しを示した。

 なお、現状では、フィーチャーフォンからスマートフォンに移行したとしても、ユーザーの利用動向などには大きな変化は見られないという。今後スマートフォン向けにはよりクオリティの高いゲームなどが提供される予定だ。

 家庭用ゲーム市場は日本から船出し、現在では世界中に広がっている。このため日本のシェアは15%程度に留まり、海外市場が85%にまで拡大しているという。一方、日本で大きな広がりが期待されるソーシャルゲーム市場は、海外とシェアを二分している。モバイルのソーシャルゲームに限ってしまうと、日本が9割のシェアを獲得し、独占状態にある。守安氏はこの状況について異を唱え、海外でもソーシャルゲーム市場が拡大し、やがては家庭用ゲーム機のような比率に落ち着くとの見方を示した。

 鵜之澤氏はゲームメーカーとして、パッケージゲームよりもソーシャルゲームの方が開発コストがかからず、しかも価格のコントロールができる点を利点とした。さらに、スマートフォン向けアプリを開発すれば、iPhoneやAndroidなど、国内と海外で環境が同じになり、ゲームが提供しやすい状況を説明した。

 BDNAでは、ソーシャルゲームで世界に出るということでバンダイナムコとDeNAの利害関係が一致している。ナムコのゲーム開発力と、バンダイが数多く保有するキャラクターライセンス、そしてフィーチャーフォンで培われたDeNAのソーシャル性の高いコンテンツと、分析能力をスマートフォンに活かすことで、世界市場でポジションを築いていきたい考えだ。

 鵜之澤氏は、バンダイナムコについて、「我々にはマネタイズと、システム化された分析能力がない。DeNAと一緒に開発することで、BDNAではDeNAの分析システムを利用できる点もメリットだ」と話す。現在、バンダイナムコのゲームクリエイターたちにもBDNAに参加を呼びかけているところだという。



 

(津田 啓夢)

2011/9/15 20:01