【Mobile World Congress Shanghai 2016】
MWC上海に最新スマホがずらり、中国版“ガラホ”も
2016年7月1日 21:16
中国・上海で開催中の「Mobile World Congress Shanghai 2016」には、「5G」をはじめとする通信関連技術に加え、中国メーカーを中心としたスマートフォンや、その関連製品が多数出展されている。
MVNOに関する展示も昨年から増加傾向にあり、今年のMWC上海でも、ローミングサービスを提供するキャリアが新サービスを披露していた。ここでは、主にコンシューマー向けの製品、サービスを中心に、その模様をお届けしていきたい。
ファーウェイ、ZTE以外にも最新のスマホがズラリと並ぶ
中国メーカーの中で、もっともシェアが高く、勢いのあるのが日本でもSIMフリースマートフォン市場で存在感を高めつつある、ファーウェイだ。同社はMWC上海でも大型のブースを構え、最新端末の「P9」をアピールしていた。P9以外にも、日本では未展開のWindows搭載PC「Mate Book」を出展。Androidタブレットのような金属を使った高級あるボディで、着脱可能なキーボードを備える。ペンに入力に対応するなど、タブレットとしての用途も広い。
中国市場で、ファーウェイの背中を追う立場になったZTEも、フラッグシップモデルを展示し対抗。同社は5月に中国・北京で発表された「AXON 7」を大々的に出展した。AXON 7は、GoogleのVRプラットフォームである「Daydream」に対応する予定の、ハイスペックスマートフォン。ZTEのブースにも、「ZTE VR」に装着した実機が多数並べられており、VRの映像を楽しむことができた。
ZTEは「AXON 7」に加え、ミッドレンジからローエンドモデルまで展示しており、ラインナップの幅の広さも合わせて訴求していた。日本では「Blade V7」などがSIMフリーで発売されているが、同様に、こうしたミッドレンジモデルにも、指紋センサーや金属筐体などが広がり、以前より高級感が増しているほか、一部は位相差センサーを搭載するなど、カメラも高機能になっている。
ZTE以外のメーカーでも、この傾向は同じだ。中国市場でシェアを伸ばすVivoは、会期終盤である6月30日夜に中国・北京で「X7」および「X7Plus」を発表。翌日の7月1日には、その実機をMWC上海のブースに展示していた。X7、X7Plusは、金属筐体を採用したミッドレンジモデルで、それぞれ5.2インチ、5.7インチの有機ELディスプレイを採用。チップセットは、共に「Snapdraogn 652」を採用する。
外観はiPhoneにそっくりで、ホームボタン兼指紋センサーも備える。機能的には、フロントカメラに1600万画素のセンサーを採用し、フラッシュも利用できるというのが特徴だ。
VoLTE対応機が続々と登場、中国版ガラホも
中国はTD-LTEの推進を主導した国で、国内全キャリアがこの規格を採用している。そのTD-LTEがVoLTEに対応し、中国最大キャリアである中国移動がサービスを2016年に開始。これに伴い、MWC上海に出展されていたスマートフォンの多くが、「VoLTE対応」をうたうようになった。中国移動のVoLTEは、クリアな音声だけでなく、ビデオ通話機能も対応。同社のブースでも、その機能をアピールしていた。
VoLTEに対応するのは、スマートフォンだけではない。中国メーカー各社は、フィーチャーフォン型の端末を開発しており、MWC上海にも出展していた。日本では、いわゆる“ガラホ”と呼ばれるものと同じで、OSのベースにはAndroidを採用している。VoLTEに対応するチップセットやソフトウェアが、スマートフォンのプラットフォームにしか対応していないためだ。
日本と同様、MWC上海に展示されていたVoLTE対応フィーチャーフォンも、ユーザーインターフェイス(UI)は、ある程度キーでの操作がしやすいように作りこまれていた。ただし、タッチパネルを搭載している機種も多く、キーだけで操作が完結しないものもあり、まだ発展途上といった印象も受ける。「SOS」や「ライト(懐中電灯)」などのような機能が搭載されていたのは、海外ならではと言えるだろう。形状はストレート端末が多く、折り畳み型のニーズが強い日本とは、対照的だった。
ローミング用SIMカードやeSIM搭載ルーターなども、
海外旅行者向けのSIMカードを販売するキャリアも複数、出展している。MWC上海会期中の7月1日にプレスカンファレンスを開催し、新サービスを発表したのが「WorldSIM」。同社はローミング用SIMカードを販売する会社で、10年以上の実績がある。このWorldSIMが新たに発表したのが「WorldSIM Infinity」。従来からのSIMカードに、Wi-Fiサービスをセットにしたもので、アプリによって接続を制御するという。
対応するWi-Fiスポットは5000万カ所以上で、120カ国を超える国や地域で利用可能。各種施設のホットスポットのほか、航空機内で提供されるWi-Fiにも対応する。モバイル通信を使った通信は従量制で料金がかかるが、同社によるとWi-Fiは追加料金不要となり、認証もアプリで自動的に行われるという。
ルーターとセットになった、国際ローミング用のサービスも展示されていた。日本でも発売中の「GlocalMe G2」の開発元であるuCloudlinkは、新製品の「GlocalMe U2」を出展していた。GlocalMeは、「eSIM」と呼ばれる形に近い仕組みを採用しており、端末内の制御用SIMに各国の設定を書き込んで通信の認証を行う。日本ではグローカルネット社が販売を開始した。
GlocalMe G2と新製品のGlocalMe U2はそれぞれ位置づけが異なり、前者は6000mAhの大容量バッテリーやタッチパネルを搭載した高機能モデル。これに対し、後者は薄型でディスプレイ非搭載でバッテリーも3500mAhと少な目だが、14.2㎜と薄く、151gと軽いのが特徴。本体の制御用にスマートフォンアプリが用意されており、データ容量の購入などもここから行う。8月の発売を予定しており、日本での展開も検討中だという。
eSIMを採用したルーターとなるのが、nuu mobileの「Konnect i1」。100か国以上で通信することができ、回線交換網を使った音声通話サービスにも対応するという。ただし、このルーターにマイクやスピーカーが搭載されているわけではなく、通話はスマートフォンのアプリで行う。1日あたりの料金は8ドル程度で、フェアユースのため高速通信には500MBの制限がかけられる見込み。8月に発売される予定で、展示会場の担当者は日本のMVNOとも交渉を進めているとした。