【Mobile World Congress 2014】

トリプルSIM対応や64ビット化をアピールするクアルコム

クアルコムのExecutive Vice PresidentのMurthy Renduchintala氏

 クアルコムは、24日(現地時間)にプレスカンファレンスを開催。同社の主力製品であるスマートフォン向けチップセット「Snapdragon」や、LTE対応モデム「Gobi」のラインナップをExecutive Vice PresidentのMurthy Renduchintala氏が紹介した。

ハイエンド向け「Snapdragon 801」

 「Snapdragon 801」は、ハイパフォーマンスのスマートフォンやタブレットをターゲットにしたチップセットで、CPUが14%、メモリが17%高速化しているモデル。同日発表された「Xperia Z2」や「GALAXY S5」に採用されている。1080p、H.265の動画をサポートしているのも特徴となる。このほか、2013年11月にSnapdragon 800シリーズの最上位チップセットとして、「Snapdragon 805」を発表している。こちらはクロック数が最大2.5GHzで、GPU性能を前世代から4割向上させているのが特徴だ。

Snapdragonシリーズのラインナップ。800、600、400、100の4シリーズがあり、上から上位モデルとなる
Xperia Z2などに採用された「Snapdragon 801」

Snapdragon 600シリーズ

64ビットのCPUに対応した「Snapdragon 610/615」。615はオクタコアCPUを採用する

 この1つ下のラインナップが、Snapdragon 600シリーズ。最新モデルは「Snpdragon 610」および「Snapdragon 615」となり、64ビット対応のCPUを搭載可能なほか、5つのモードのLTEに対応する。610はクアッドコアCPU、615はオクタコアCPUというのが、2つのチップセットの違いだ。64ビット化やオクタコアCPUの採用は、最上位モデルのSnapdragon 800シリーズからではなく、Snapdragon 600からとなる。

カテゴリー6のLTEに対応

カテゴリー6のLTE Advancedに対応したモデムとRFチップ

 LTE対応モデムとして紹介されたのが、「LTE Advance Cat 6」に対応した、「gobi 9x35」。20MHzを2波、合計40MHzのキャリアアグリゲーションに対応しており、下り最大300Mbpsを実現する。LTEはFDD、TDDの両方式に対応する。RFソリューションの「WTR 3925」も合わせて紹介されている。

LTE Broadcast、トリプルSIM

 プレスカンファレンスでは、LTEを放送波のように利用する「LTE Broadcast」の動向も解説された。クアルコムによると、同方式は韓国ですでに商用サービスが開始されており、米国ではベライゾンが、豪州ではテルストラといったキャリアもサービスインを控えている。複数の端末に同一のデータを一斉配信でき、通常の通信と比べネットワークにかかる負荷が低くなるのが特徴。スタジアムなどで動画を送信する、といった用途に利用できる仕組みとなる。

LTEブロードキャストに対する取り組みも紹介された

 また、複数のSIMカードを同時に利用する取り組みも紹介された。クアルコムによると、同社のSnapdragon 410は「トリプルSIM」に対応している。この仕組みを活用すれば、原理上、1台の端末に3つのキャリアのSIMカードを入れ、同時に利用することができる。2枚のSIMカードに対応する「デュアルSIM」は、主に新興国市場で人気の高い機能だが、こうした取り組みを発展させたのがトリプルSIMとなる。

Snapdragon 400や410は、3枚のSIMカードを同時に利用できるトリプルSIMに対応

石野 純也