【Mobile Asia Congress 2011】
3M戦略を解説するKDDIの田中社長、ZTEはソフトバンク端末に言及
「Mobile Asia Congress」で講演を行った、KDDI 代表取締役社長 田中孝司氏 |
中国・香港で開催された「Mobile Asia Congress」の2日目にあたる17日には、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が「Future View:New Services for New Devices」と題されたキーノートセッションに登壇。同社の掲げる「3M戦略」を解説した。
まず田中氏は、KDDIの持つネットワークの多彩さをアピール。「FTTHもあり、WiMAXを全国で提供するUQコミュニケーションズも持っている。Wi-Fiも全国展開。CATVでは、シェア66%とドミナントの立場」とした。独自性の高い取り組みとして、「じぶん銀行」や「au損保」を展開していることにも言及した。
KDDIの展開するさまざまなサービスをレイヤー別に紹介 | インターネットサービス事業者との協力関係も説明された |
田中氏によると、KDDIはスマートフォンの販売比率が50%を超えたという。「スマートフォンではフラットレートが主流で、収益が増えている。特にデータARPU増を享受している」といい、業績も好調だ。一方で、「まだ10%しかいないスマートフォンのユーザーが、トラフィックの60%を生み出している」という状況もあり、「トラフィック対策が一番の課題」だ。KDDIでは、2012年末までにLTEを導入する計画だが、それでも2014年にはキャパシティを超えるトラフィックが発生してしまうという。
KDDIでは、スマートフォンの販売比率が50%を超えたという | スマートフォンへの移行によってデータARPUは増加している |
一方で、ユーザーの増加以上に、トラフィックが伸びている | データ通信の制限はユーザー体験とのバランスが重要とした |
2012年末までにLTEを導入したとしても、2014年にはキャパシティを超えてしまう |
とはいえ、トラフィックのコントロールは「バランスを取りながらやならければならない」というのが、KDDIの考えだ。その一環として力を入れているのが、データ通信をさまざまな回線に分散されるオフロードという取り組み。田中氏が「マルチなネットワークに、すべてのデバイスが接続できるようにしたい」と話すように、同社は現在、Android端末を中心にモバイルWiMAXを導入し、「au Wi-Fi SPOT」も積極的に拡大している。
「北風と太陽」になぞらえ、KDDIの3M戦略を解説 | |
デバイス、ネットワーク、サービスをマルチ化する3M戦略の概要 | トラフィックの場所別推移も紹介。赤がターミナル駅周辺で、青が住宅地周辺 |
データオフロードに使うau Wi-Fi SPOTやWiMAX |
また、KDDIは、SkypeやFacebookなど、幅広いプレイヤーとの協力関係を構築している。田中氏によると、その目的は「オルタナティブ(さまざまな代替案、選択肢)を提供するため」。キャリアとしては、「(auかんたん決済で)1回サインインするだけで、ワンストップに支払いまでできる仕組みも導入している」とした。このような、マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチユースを追求していくのが、KDDIの3M戦略だ。田中氏は「KDDIのアンサーは3M戦略」と語り、講演を締めくくった。
スマートフォンに認証や決済を導入し、多彩なサービスを提供 |
講演後に報道陣の囲み取材に応じた田中氏は、LTEとWiMAXの役割の違いについて「LTEが始まればスマートフォンは徐々にそちらに移っていき、WiMAXはパソコンやタブレット、オフロードのバックボーンになる」と説明した。スマートフォンに内蔵されるのはLTEが中心となり、WiMAXはよりデータ容量の大きいデバイス向けになっていくようだ。「iPhone 4S」については、「好調で品薄になってしまっている」とのこと。店舗の拡大などもあり、順調に販売数を伸ばしているという。
ZTEでPresidentを務めるShi Lirong氏 |
なお、キーノートセッションは2部構成になっており、後半は中国のメーカー、ZTE PresidentのShi Lirong氏が講演を行った。ここでは、中国向けに同社が採用している垂直型ビジネスモデルが紹介され、ソフトバンクに提供している端末についても話が及んだ。
Lirong氏は「ソフトバンクには(「STAR7 009Z」などの)“特別な端末”を提供している。こうしたデバイスの開発は、より大きなマーケットシェアを獲得する助けになる」と話し、日本市場でのノウハウもグローバル展開に活かされていることをうかがわせた。
(石野 純也)
2011/11/17 17:02