【CES 2017】
IoTなベッドや東大発の「e-skin」など~2017年の「CES Unveiled」
2017年1月5日 12:41
米国ラスベガスで「CES 2017」に先立ち、CES公式のプレス向けイベント「CES Unveiled」が開催された。単独では発表会を行わない中小メーカーの新製品が一堂に集められる毎年恒例のプレス向けイベントで、LGやDELLのような大手メーカーも一部出展しているものの、まったく無名なスタートアップメーカーも数多く、ユニークな製品が目白押しだ。
究極の睡眠デバイス?
歩数などを測定するアクティビティトラッカー(活動量計)と呼ばれるウェアラブル製品は、一時期、非常に出展者が多かったジャンル。今回のCES Unveiledでは睡眠にフォーカスしたデバイスが多数展示されていた。
究極の睡眠デバイスともいうべき製品が、「CES 2017」の“BEST OF INNOVATIONS”にも選ばれた「Sleep Number 360 Smart Bed」だ。こちら、ベッド自体がデバイスとなっていて、睡眠のトラッキングだけでなく、睡眠中の姿勢に応じてベッドの部分的な硬さを調整したり、足先を暖めて入眠を促したり、枕側を少し持ち上げていびきを抑制したりするといった機能も持っている。コントロールやデータ管理にはスマートフォンを用い、FitbitやWithings、Nestといった他社製品と連動することもできる。2017年に発売される予定だ。
胸に巻く睡眠サポートデバイス
「2breathe」は胸に巻くバンドタイプの睡眠サポートデバイスだ。入眠前にスマートフォンから聞こえるガイド音に合わせて呼吸することで、効果の高い睡眠を促す。
日本メーカーではないが、日本先行ですでに販売が開始されている。しかも一般紙紙やテレビショッピングなどで紹介され、公式Webサイトもテクノロジーよりも効果を中心に説明するなど、決してITリテラシーが高くないユーザーもターゲットとした展開をしている。
子供向けの「DOZER」
SleepPhones社は睡眠中にも使いやすいヘアバンド/ターバンのようなヘッドセットを作っているメーカー。新製品として、子どもにも安全に使える羊のぬいぐるみ型の「DOZER」を発表した。「DOZER」は音楽を楽しめるスピーカー機能に加え、睡眠トラッキング機能もサポート。子供向けとあって、ベッドのお供としてそばにおいておきながら利用するという形だ。
医療目的の睡眠トラッカーも
「EarlySense」は、医療目的の睡眠トラッカー。こちらはマットレスの下に設置するタイプで、心拍やカラダの動きを計測できる。欧米で展開する製品だが、三井が出資し、日本でのパートナーともなっているという。
ヘアケア、血圧測定などのIoTデバイスも
フィットネス・ウェルネスデバイスの大手、Withings社は、髪の健康状態を診断する機能を持つヘアブラシ「HAIR COACH」を発表。主に女性向けヘアケア製品ブランドのKérastase Paris(ケラスターゼ)との協業による製品で、女性ユーザーをターゲットに、髪の痛みや水分などを測定し、アドバイスなどをスマートフォン上に表示する。
オムロンの血圧測定デバイス
心拍数を計測するリストデバイスは珍しくないが、オムロンの「PROJECT ZERO 2.0」は、血圧を測定できるウェアラブルデバイスだ。血圧測定には血管を圧迫する必要があるが、「PROJECT ZERO 2.0」は計測時に腕を締め付ける機構を内蔵する。1年後をめどに300ドル程度で製品化される予定。昨年発表されたよりシンプルなデザインの「HEARTVUE」は今春登場予定。
自重筋トレをサポート
フィットネスデバイスというと歩数計測などカロリーを消費するような有酸素運動をサポートする製品が多いが「activ5」は筋力トレーニングをサポートする製品だ。圧力センサーが内蔵されており、上下から潰すように力をかけるだけ。スマホアプリの表示に合わせて力を調整するといったゲーム的な要素でトレーニングを効果的に行う。
どの筋肉を鍛えるかをスマホ上で選択すると、それに合わせたプログラムが開始され、どのような体勢でactiv5に力をかけるかなども画面上でわかりやすく表示される。現在予約受け付け中のデバイスで、予約では通常価格199.99ドルのところ99.99ドルで販売される。
車椅子ユーザー向けの「Gaspard」
フランスのスタートアップが手がける「Gaspard」は、車椅子利用者向けのトラッキングデバイスだ。シートクッションの下に敷く薄いマット形状になっていて、利用者の状態をスマホ上で確認できる。
布地に配線
東大発のスタートアップ企業、Xenoma社は、布地に配線する技術を用いたトラッキング機能を持ったシャツ「e-skin」を展示している。外部にセンサーを用意することなく、どのような場面でも着用者の姿勢を測定できるのが特徴。VRやスポーツなどの用途を想定している。
2017年2月には開発者向けに出荷予定で、その後、一般向けにクラウドファンディングで製品化する。価格としてはシャツと通信モジュールを合わせて10万円以下となる見込み。
安全安心などの機能に広がるホームIoT
Netatmoの新製品
Netatmoは、2つの新製品を発表している。
その1つである「indoor security siren」は、顔認識機能搭載カメラ「Welcome」と連動する製品。顔認識機能に登録されていない顔を捉えると、アラート音を鳴らす。2017年後半には日本でも発売される予定。
「smart smoke alarm」はいわゆる火災報知器。煙を感知したらスマートフォンに通知する。バッテリーで10年間連続稼働が可能。こちらは欧州向けに展開する製品となっている。
水漏れや凍結をチェック
火災報知器向けの角型9V電池型Wi-Fi内蔵デバイスを展開しているroostは、水漏れや凍結を検出する新製品「RSW-200」を展示している。トイレや台所などの水回りに設置し、水漏れや凍結温度に達したときに警報を発し、Wi-Fi経由で通知する。
ラドンガスを計測
気温や湿度などの環境データを収集するIoT製品は珍しくないが、AIRTHINGSの「Wave」はラドンガスを計測する家庭用IoT機器だ。スマホアプリ上では、ラドンの量は体積当たりのベクレル数で表示されていた。
そのほかスマホ関連製品
Bluetoothを使った紛失防止タグを展開する「TrackR」は、新製品の「pixel」と「wallet」を発表。「pixel」はプラスチック製の廉価版タグで、25ドル(約3000円)で第2四半期に発売される。walletはクレジットカードサイズの製品で、29ドル(約3400円)で第2四半期に発売される。既存製品の「bravo」は日本でもソフトバンクの「+Style」などで購入できる。
小型のプリンター「nemonic」
「nemonic」はスマートフォンと連動するBluetooth小型プリンターだ。感熱紙を採用し、スマホアプリ上で書いたものなどをすぐにプリントアウトできる。サムスン電子からのスピンオフ企業、MANGOSLABによる製品で、CES 2017のBEST OF INNOVATIONにも選ばれている。
IoTな腕時計用の交換バンド
「ctband」はスマートフォンとの連動機能を持った、腕時計の交換バンドだ。好きな腕時計と組み合わせて利用できる。アクティビティトラッキング機能と通知機能を搭載。レザー製とシリコン製、それぞれ、さまざまなカラーバリエーションが用意され、2017年前半に発売予定。
子供向けリストバンド
JOYの「Octopus」は子供向けのリストバンド型ウェアラブルデバイス。保護者が設定したスケジュールを転送することで、画面上に「いま何をする時間か」を表示する。スケジュールはスマートフォンからBluetooth経由で転送するが、Bluetoothは充電中しか動作しない仕様となっている。
全球撮影できるiPhone用カメラ
全球撮影が可能なカメラを手がけるGIROPTICは、iPhone/iPad向けの新製品「iO」を発表している。初回出荷分は完売しているが、原稿執筆時点では1月27日出荷分を受注している。電波を使わない製品で、そのまま日本で利用でき、価格は249ユーロ。日本への配送料は無料。
Bluetooth歯ブラシ
歯磨きとスマホゲームを連動させる子ども向けBluetooth歯ブラシなどを展開しているKolibreeは、ブラッシングした箇所を解析する機能を持ったBluetooth歯ブラシ「ara」を展示している。AIを活用した製品とのことだ。
スマホをワイヤレス充電に
energysquareは接触式のワイヤレス充電だ。スマートフォンの充電コネクタからスマートフォン背面にバンドを貼り付けておくと、充電パッドにスマートフォンを置いたとき、背面のバンドの2つの電極から給電される仕組み。