【CES 2016】

Vuzix、新発表のヘッドマウント型Android端末などを展示

Vuzixブース

 さまざまな形状・用途のヘッドマウントデバイスを手がけるVuzixは、CESに合わせて発表した新製品を展示していた。VuzixはCESのInnovation Awardの常連で、今年は新発表の3つの新デバイスがいずれもAwardを受賞している。

業務向けの片眼型ヘッドマウントデバイスM300とM3000

M3000

 「M300 Smart Glasses」と「M3000 Smart Glasses」はヘッドマウント部にディスプレイやAndroid端末の機能がすべて集約された汎用ウェアラブルデバイス。M300は発表済みだが未発売で、今回新たに派生モデルのM3000が発表された。

 M300はスタンダードな片眼・非透過・フルカラーのタイプで、こちらがM100の純粋な後継機種となる。価格は1500ドル程度となる予定で、今夏の発売を予定する。2月1日には日本での発売について詳細な情報が公開される。M3000はそのディスプレイ部を透過型にしたもので、価格はM300より高くなる見込み。いずれも主に業務用途を想定している。

M3000(左)とM300(右)

 M300とM3000はディスプレイ部が異なるだけで、そのほかの仕様はほぼ共通。プロセッサにAtom、2GBのメモリ、16GBのストレージを内蔵し、Android 6を搭載する。M100はARMベースだったが、Vuzixは昨年、インテルの出資を受けたこともあり、プロセッサにはAtomを採用するようになっている。サイズなどはまだ決定していないものの、重さはM100より軽くなる見込み。

 本体側には100mAhのバックアップバッテリーのみが内蔵されていて、実際の利用シーンでは外付けバッテリーを接続して利用する。バックアップバッテリーがあるため、電源を入れた状態でメインバッテリーを交換できる。

M300

 たとえば標準のメガネフレーム型のマウントだと、右側にM300本体、左側に外付けのメインバッテリーを配置し、左右の重量バランスが取れる。外付けバッテリーはさまざまな容量のものが用意され、マウント方法などによるが、ベルトパックなどを使えば、最大5000mAhのものも使えるという。連続稼働時間は外付けバッテリーに依存し、2〜12時間とのこと。

 今回の展示ではいずれも非稼働のモックアップ展示のみで、ディスプレイなどを確かめることはできなかった。

M300は白と黒の2種類のカラーが用意されている
M100(左)とM300(右)

Androidを搭載した映像コンテンツ向けHMD

iWear Wireless

 「iWear Wireless」はヘッドホン一体型で映像コンテンツ向けのヘッドマウントデバイス。両眼・非透過・フルカラーのHDディスプレイを両眼にそれぞれ搭載する。画面の視野角が広く、映画などのコンテンツも楽しめる。視野をほぼ完全に塞ぐため(手元だけは見える)、ほかの作業をしながら使うといった用途には向かず、作業支援用途ではないが、コンシューマー向けだけでなく、映像コンテンツサービスなどと組み合わせたBtoB展開も想定されている。

 2015年に発表され、近々国内でも発売が開始される「iWear」をワイヤレス化したもの。iWearはHDMI端子で映像を入力していたが、iWear WirelessはAndroid 5の機能を搭載していて、単体で動作する。

ホーム画面のイメージ。サードパーティアプリがすでにインストールされている

 こちらは実機が展示されていて、映像や使い勝手を確認することができた。ヘッドマウント部には入力インターフェイスは搭載せず、Android対応の各種コントローラーを利用する。Android TV向けUIが採用されていて、TV向けコントローラーが利用できる。M100/M1000と異なり、最新のAndroid 6を採用しないのは、このTV向けUIがAndroid 6では未提供なためだという。

 デモでは汎用ビデオ再生アプリ「VLC」を使ってサイドバイサイド式の3D動画を再生し、iWear Wireless側の切り替えスイッチで3D表示していた。

 このiWear Wirelessについては、CES Innovation Awardの上位のBest of Innovationsに選出されている。発売は今年夏ごろを予定していて、有線タイプのiWearよりも価格は高くなる見込み。

眼鏡型のB3000/AR3000シリーズ

B3000

 「VidWear B3000」はメガネ型のデバイスで、レンズに映像を投影する。こちらの展示はモックアップで、実機は展示されていなかった。

 こめかみ側のフレーム(テンプル)部に「Cobra」というディスプレイエンジンが内蔵されていて、両眼タイプなので3D映像も表示できる。このディスプレイ部を搭載した同じデザインで3つのバリエーションモデルが用意される。

 VidWear B3000はHDMI接続のディスプレイ機能のみのモデル。マイクやモーションセンサー、イヤホンマイク、イヤホン端子も搭載しているが、別途端末を用意して接続する必要がある。

 VidWear B3000 WirelessはWi-FiとBluetoothに対応し、スマートフォンから映像や通知などを受けられる。連係するデバイスとしてはAndroidとiOSの両方に対応する。カメラ屋マイク、モーションセンサ、イヤホン端子が搭載されていて、有線接続のバッテリー内蔵コントローラーユニットも付属する。

 AR3000はAR用途向けのバージョンで、Android 6.0端末機能を内蔵し、タッチパッドやマイク、カメラなどを搭載する。カメラは2つ搭載し、そのうち1個でジェスチャー認識もできる。有線接続のバッテリーパックで動作する。

 こちらは今秋発売予定。主に業務用途を想定している。

白根 雅彦