【CES 2016】

OptinventのARゴーグル「ORA-X」は試作実機を展示

ORA-Xを装着する同社CEOのMirza氏

 フランスの小規模メーカー、Optinventは、CES 2016でARゴーグルの新製品「ORA-X」を展示していた。ORA-Xは昨年のCESでモックアップを展示していたが、今回は動作する試作機での展示となっている。

 Optinventは従来から開発者向けに「ORA-1」というモデルを799ドルで販売していたが、ORA-Xはデザインを大きく変更し、一般コンシューマー向けモデルとなっている。

 ORA-Xはヘッドホン型のヘッドマウントデバイス。Android 4.4.2を搭載し、ヘッドマウント部だけで単体の端末として動作する。デュアルコアプロセッサと2GBシステムメモリ、8GBストレージを搭載し、Wi-FiとBluetoothに対応する。

試作機なので側面のタッチパネルは外付けになっていた

 大型ヘッドセットのマイクのように、片耳部分にディスプレイアームが付いており、前方に倒すことでディスプレイが眼前にセットされ見えるようになる。ディスプレイは片眼・透過型・フルカラーで、HD解像度だという。視野角は約22度とのことで、実際に使ってみると、片眼タイプとしては比較的大きく見えた。音響性能も良く、映像コンテンツとの相性は良さそうで、ビデオを再生するデモが行なわれていた。

 ヘッドホン型なので、装着時の安定性はかなり高く、普通のヘッドホン並の装着感となる。装着中は環境音が遮られるが、マイクで拾った周囲の音を鳴らすパススルーモードも搭載されるという。

ディスプレイ部をたたむと普通のヘッドホンに見える

 ディスプレイ部にはオートフォーカス付きカメラとマイクも内蔵されており、アームの外側は操作用のタッチパッドになっている。アームはたたむとヘッドバンドに沿うようになり、あまり目立たなくなる。また、アームは前後どちらにでも倒せるため、左右を入れ替えることで、どちらの目でも利用できる。

 デザイン面で片耳+ディスプレイ部だけを見ると、漫画「ドラゴンボール」に登場する「スカウター」によく似ていて、Indiegogoのキャンペーンサイトにも、アプリ例としてスカウターが紹介されている。同社CEOのKayvan Mirza氏も、「セントウリョク」という単語は知っている様子だった。このほかにも同サイトではアプリの例としてリアルワールドで陣地を競う「Ingress」も紹介されている。

ディスプレイを見たところ。写真で見える二重のブレは、肉眼だと見えない

 ARゴーグルというと、現状では業務や実用向けに開発されているものが多いが、ORA-Xはコンシューマーモデルだけあって、エンターテイメント用途がアピールされているのも特徴だ。そもそもヘッドホン型なので、映像コンテンツの視聴やライブパフォーマンスとの連携など、音を使ったエンターテイメントとの相性が良いのも大きな特徴となっている。

 ORA-Xの製品版価格は600ドル前後になる見込みで、発売は今年末を予定しているが、それに先がけ、Indiegogoでクラウドファンディングプロジェクトが進行中で、最安・最速の「Super Early Bird」だと349ドル、5月出荷となっている。

 ORA-Xは日本でもディストリビューター経由で展開予定があるとのこと。Mirza氏によると、日本は「スカウター」があるので重要な市場と考えているという。ただし、Indiegogoの出資者に提供される先行版では、日本の技術適合認証は間に合わない可能性が高いとのことだった。

白根 雅彦