【2015 International CES】

ランボルギーニスマホや格安携帯、背面電子ペーパースマホなど

CES併催イベントで見つけた注目の端末

 CESのような国際的、かつ大規模な展示会では、PR会社などが主催する小規模なプレス向けイベントがあわせて行われるのが一般的だ。こうした併催イベントには、CESへの出展のあり、なしに関わらず、さまざまな企業が参加する。予算の関係でCES本体にはブースを出せない、または小さなブースしか出せないメーカーにとって、自社の製品をアピールする絶好のチャンスになるというわけだ。今回のCESでも、「Digital Experience」や「ShowStoppers」というイベントが開催された。ここで見つけた携帯電話やスマートフォンなどを、一挙に紹介していこう。

「Digital Experience」と「ShowStoppers」の様子。ホテルのボールルーム(宴会場)に、机1つか2つ分の小規模なブースがひしめき合うのが一般的なスタイル

猛牛を冠した重厚感あるスマートフォン

 Digital Experienceに出展した中で、インパクトがあったのが、トニーノ・ランボルギーニブランドを冠したスマートフォン。バッグや靴などのレザーブランドを手がけるメーカーだけに、重厚感あるデザインが目を引く。CESに合わせて新たに発表されたのが「88 Tauri」。ハンドメイドのレザーや金属素材をふんだんに用いており、手に取ると重さがずっしりと伝わってくる。ブランドマークは高級車のランボルギーニと同じ猛牛。これは、創業者のトニーノ・ランボルギーニ氏が父親から受け継いでいるものだ。

重厚感あるトニーノ・ランボルギーニの「88 tauri」。アプリのアイコンも、一部は世界観に合わせてカスタマイズされている

 一見、奇をてらった色物スマートフォンかと思いきや、スペックもきっちりハイエンドに仕上がっている。CPUにはSnapdragon 801を採用。メモリ(RAM)は3GB、デュアルSIMでLTEに対応しており、ディスプレイは5インチのフルHDだ。内蔵メモリも64GBと豪華。見た目にふさわしい、パワフルなスマートフォンとなっている。

 インパクト抜群なのは、見た目だけではない。会場の説明員によると、88 Tauriの価格は約6000ドル(約71万3350円)。デジタル機器というより、宝飾品に近い位置づけの価格と言えるだろう。コンセプトとしては、かつて日本でも販売していた高級携帯電話ブランドのVERTUに近いかもしれない。海外では、こうした超高級携帯電話のニーズも一定程度存在し、VERTUのショップは空港やデパートなどで数多く見かける。トニーノ・ランボルギーニのスマートフォンも、こうした層をターゲットにした商品と言えるだろう。最新機種の88 Tauriのほかにも、会場には発売済みの「Antares」が展示されていた。

発売済みの「Antares」。こちらも、デザインテイストは同じだが、ディスプレイがコンパクト
ケースも豪華絢爛な仕上がりになっている

マイクロソフトはWindows Phone……ではなく携帯電話をアピール

 Windows Phoneを展開し、端末メーカーのノキアも傘下に収めたマイクロソフトだが、Digital Experienceに出展していたのはなんとフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)。型番は「Nokia 215」となる。こちらも、CESに合わせて発表されたポップなカラーリングを採用した端末だ。

ポップなカラーリングのフィーチャーフォン「Nokia 215」

 最大の特徴はその価格で、なんと25ドル(約2970円)。第2世代の通信規格であるGSM方式のみ対応しており、ディスプレイは2.5インチ、カメラは30万画素と超ローエンドな端末だ。一方で、FMラジオやフラッシュライトを搭載するなど、ローエンドモデルに必要とされる機能は満たしている。

 マイクロソフトの端末だけに、同社のサービスとも連携する。端末には「Bing」や「MSN Weather」のショートカットやアプリが置かれており、ワンタッチでマイクロソフトのサービスにアクセスすることができる。

低価格ながら、音楽プレイヤーやアプリも動く

耐衝撃性を備えたキャタピラースマホ

キャタピラーブランドの「B15Q」。LTEに対応したAndroidスマートフォンだ

 重機メーカーのキャタピラーブランを冠したスマートフォンも、展示されていた。ブースに置かれていたのは、IFAで発表された「B15Q」。OSにはAndroidを採用し、LTEにも対応した。詳細な端末のレポートは昨年のIFAで行っているため、こちらの記事を参照してほしい。

HTCはミッドレンジの「Desire 826」をアピール

 こうした中小のメーカーに混じって、大手のHTCもブースを出展していた。ここで紹介されていたのが、CESで発表されたミッドレンジモデルの「Desire 826」。ポップなツートンカラーのデザインで、OSにはAndroid 5.0 Lollipopを採用する。

ミッドレンジモデルの「HTC Desire 826」
フロントカメラに、400万画素「UltraPixel」を採用

 フロントカメラが特徴で、400万画素の「UltraPixel」を採用。日本で発売された「HTC J One」などに採用されたセンサーで、画素数を落とす代わりに、画素のサイズを上げ、暗所でも明るい写真を撮ることができる。

 HTCは昨年10月に1300万画素フロントカメラを搭載した「HTC Desire Eye」を発表しているが、これとは異なるアプローチでセルフィー(自分撮り)を強化したモデルと言えるだろう。HTC Desire Eyeで搭載された高機能画像処理ソフトウェア「HTC EYE Experience」にも対応する。

薄型スマホの「Liquid Jade S」を展示するAcer

スリムなAcer製スマートフォン「Liquid Jade S」

 台湾のPCメーカーとしておなじみのAcerも、スマートフォンを出展していた。Digital Experienceの会場に置かれていたのは、昨年12月に発表された「Liquid Jade S」。7.78mmと薄型なのが特徴で、セルフィー用の500万画素フロントカメラも搭載する。

 機構面でおもしろかったのが、SIMカードとmicroSDカードをワンスロットにしている点。DTSサラウンドオーディオに対応し、背面には1300万画素カメラを搭載、LTEにも対応するミッドレンジモデルとなる。

インカメラは500万画素
SIMカードとmicroSDカードを1つのスロットに入れる機構

Chromecast風のFirefox OS採用テレビ用スティック

 スマートフォンではないが、周辺機器として目を引いたのがテレビのHDMI端子に接続する「Matchstick」。スマートフォンの映像をテレビに送る機器と、コンセプトはGoogleの販売する「Chromecast」とまったく同じだ。

テレビのHDMI端子に接続するスティック型端末の「Matchstick」
アプリの映像をテレビに映し出すことが可能。Androidはもちろん、Firefox OS端末にも対応する

 異なるのは、OSにFirefox OSを採用しているところ。Chromecastの安価な置き換えとして設計された端末で、YouTubeアプリなどからキャストボタンを押すと、映像をテレビ側で再生できる。発売時期は2月。価格は25ドル(約2970円)と、Chromecastより安価に設定しているのもポイントと言えるだろう。

背面に電子ペーパーを採用した「YotaPhone 2」

 Digital Experienceに比べてスマートフォンそのものの展示は少なかったShowStoppersだが、来場者の高い関心を集めていた端末もあった。それが、ロシアのメーカーが開発した「YotaPhone 2」だ。同機種は昨年2月に開催されたMobile World Congressで発表されており、12月に欧州で発売された。

背面に電子ペーパーを採用した「YotaPhone 2」

 最大の特徴は、背面に電子ペーパーのディスプレイを採用していること。会場の説明員によると、背面ディスプレイのみで使えば、通常の8倍バッテリーが持続するという。ただし、電子ペーパーは画面が動くと、描画に若干の時間がかかる。そのため、動画の視聴などには適さず、画面のスクロールも苦手だ。そのため、YotaPhoneには天気予報やバッテリー残量、時刻など、必要最小限の情報を表示しておくための画面が用意されている。

 こうした専用画面に加えて、表面のディスプレイを、背面の電子ペーパーディスプレイに表示させ、操作することも可能だ。ホームボタンを長押しするとボタンが現れ、そこに指をスライドさせると、前面の画面が背面に表示される。この機能を使えば、Kindleなどの電子書籍を表面で開いておき、読むときは背面の電子ペーパーに送るといった使い方もできる。

ホームボタンを長押しすると、3つのアイコンが現れる。左上にスライドさせると、背面の電子ペーパーに画面を送れる

石野 純也