IIJ、法人向けにiPad対応の仮想デスクトップソリューション
iPadにXenApp経由の仮想デスクトップを表示 |
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、iPadから社内のパソコンのデスクトップにアクセスする仮想デスクトップサービスを組み合わせた「IIJ GIO スマートモバイルソリューション」を11月1日より提供する。
今回提供が開始される「IIJ GIO スマートモバイルソリューション」は、iPadから利用する仮想デスクトップサービスと、モバイルWi-Fiルーター、端末管理機能の3つをセットにして提供する法人向けのソリューション。同ソリューションの提供にあわせて、IIJはアップルと販売代理店契約を締結しており、Wi-Fi版のiPadを顧客企業に直接販売できる体制も構築している。
仮想デスクトップでは、社内のネットワーク環境はそのままに、社内にゲートウェイサーバーを追加して利用する。これにより、外出先に持ち出したIIJが提供するモバイルWi-Fiルーターは、社内の無線LANアクセスポイントのように閉域網として利用できる。同社ではモバイルWi-Fiルーターとしてすでに「クティオ」を提供しているほか、ドコモ網を利用する「IIJモバイルサービス/タイプD」対応の製品も開発中。
iPadで利用する仮想デスクトップサービスは、社内のWindowsパソコンのデスクトップをiPadの画面上で操作できるというもの。ゲートウェイサーバーにはVPNのほかCitrixのXenAppサーバーが搭載されており、社内パソコンのデスクトップ環境をそのまま転送して操作するのではなく、ソフト単位で画面を転送するタイプを採用し、モバイル端末から操作が行ないやすくなっている。利用する規模や用途に応じて、月額制で柔軟に利用できるのも特徴になっている。
端末の管理機能としてSAAS型の「Smart Mobile Manager」も提供される。同サービスではまず11月から、iPad向けの遠隔データ消去機能が試験サービスとして無償で提供される。2011年3月からは機能を拡充し、正式サービスとして遠隔ロック・消去、端末機能の制御、アプリケーションの監視、端末設定の遠隔適用、遠隔インストール、遠隔バックアップといった機能が提供される予定。なお、管理対象の端末は、iOSのほかAndroid、Windows Mobileもサポートされている。
価格は、開発中のドコモ網に対応したモバイルWi-Fiルーターの本体価格が、2年契約で月800円程度になる予定。対応する料金プラン「IIJモバイルサービス/タイプD」は月額5700円。ゲートウェイサーバーの価格は、初期費用が18万5000円、利用料は100ユーザー(同時接続は25ユーザーまで)の場合、月額25万8000円~(1ユーザーあたり月額2580円相当)。「Smart Mobile Manager」の価格は会社ごとに数万円程度になる見込みで、100ユーザーの場合は1端末あたり数百円といった価格帯になる。
IIJ GIOスマートモバイルソリューションの全体像 |
IIJ 執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏 |
30日には都内で記者向けに発表会が開催され、担当者が概要を説明した。IIJ 執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏は、「我々の持っているものを複合的に組み合わせて、最もユーザーの利便性の高いサービスを提供する」と、同社の特徴的なサービスを組み合わせた内容を示す。松本氏は「フルの仮想デスクトップ環境をモバイルワーカーが使うのはハードルが高い。あくまで業務用のアプリケーションに簡単にアクセスできるようにした」とポイントを絞って開発したことを明らかにし、コスト面でも優位性を強調した。
IIJ GIOスマートモバイルソリューションの概要 | アップルと販売代理店契約を締結、Wi-Fi版iPadの販売も行う |
同社 マーケティング本部 プロダクトマーケティング部1課 課長代理の青山直継氏は、「モバイルWi-Fiルーターからダイレクトに閉域網にアクセスできる」と煩雑になりがちな手間をかけずに利用できる点を紹介したほか、既存の社内ネットワークに追加するだけで済む仕組みもアピールし、「コスト、手間を抑えられるのが大きなメリット」とした。また、「Smart Mobile Manager」の解説では「各種の端末をひとつのインターフェイスで一元管理できる」と使い勝手を解説し、デモンストレーションでiPadを遠隔消去する様子などを披露した。
マーケティング本部 プロダクトマーケティング部1課 課長代理の青山直継氏 | 閉域型のリモートアクセスを実現 |
一般的なVPN型と比べてセキュアにアクセスできるとした | ドコモ網対応のモバイルWi-Fiルーターを開発中 |
同社 マーケティング本部プリンシパル・コンサルタントの蓑田新一郎氏は、iPadで利用する仮想デスクトップ環境について、「XenAppサーバーで必要な機能だけを転送する。画像転送プロトコルのICAはモバイルでの利用に有利」と操作のしやすさなどを優先した仕組みを紹介。Flashコンテンツを(仮想デスクトップ環境なので)iPad上で利用できる点や、2本指で右クリック操作が行えるといったデモンストレーションを披露した。
マーケティング本部プリンシパル・コンサルタントの蓑田新一郎氏 | XenAppサーバー搭載のゲートウェイ |
XenAppサーバーを採用するメリット |
■デモンストレーション
2010/9/30 14:49