ケータイソリューション探訪

ケータイサイトを月額5250円から作れる「携帯アトリエ」


 ケータイに特化したソリューションの開発を行っているコネクトテクノロジーズ。法人向けに3キャリアに対応したモバイルサイト構築ソフトウェアのパッケー「MobileSiteworks V2」を提供しているが、これを自社でサーバー設備を持たなくても簡単に利用できるASPサービスとして提供しているのが「携帯アトリエ」だ。その特徴と、有効な利用法について同社サービスビジネスユニット・マネージャー・金井嘉伸氏に話を伺った。

株式会社コネクトテクノロジーズ サービスビジネスユニット マネージャー 金井嘉伸氏

――「携帯アトリエ」のサービス概要について聞かせてください。

 弊社が開発した「MobileSiteworks V2」を手軽な料金で利用できるサービスです。サーバーを持っていない企業でも、インターネットに接続できるPC環境があれば多彩な機能を備えたウェブページを構築することができます。

――具体的にはどのような機能を利用できますか?

 掲示板、ブログ、アンケート、クーポン、メールマガジンの配信、ショッピングサイトの構築など、ケータイサイトとして考えられる機能は、ほぼ全て揃えていると自負しております。NTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに対応しており、自動変換機能があるので、個別のサイトを制作する必要がありません。例えば、ショッピングサイトであれば、クレジットカード・銀行振り込み・商品代引き・モバイルEdyなどさまざまな決済方法を導入でき、販売ランキング管理などの効果測定ツールも利用できます。

――実際にはどのような企業に利用されていますか?

 大手のホテル、ショッピングセンター、製造業、不動産、学校、病院、観光、外食など、さまざまな業種に利用いただいております。事業規模はさまざまですし、個人で利用されているお客様もいます。具体的に挙げられるサイトの例としては、成田エクセルホテル東急様のケータイサイトも弊社の「携帯アトリエ」をご利用いただいております。

――最近、クーポン機能を強化したと聞きましたが。

 従来から、1回限り、または期間を限定した割引クーポンなどの機能を備えていましたが、秋からスタンプも使えるようにしました。飲食店や物販店で、来店ごとや購入金額に応じてスタンプを押してもらえて、何個かたまったら特典がもらえるショップカードを出している店がありますよね。それをケータイだけでできるようにしました。来店時にFeliCaのリーダライターにタッチするとスタンプがたまって、スタンプがいっぱいになると、画面の「使う」を押すと割引クーポンが表示される、というイメージです。

「携帯アトリエ」で作成されている「成田エクセルホテル東急」のモバイルサイト

――お店のスタンプカードなどは、ついつい財布にたまりがちなので、ケータイで利用できるようになると便利ですね。

 はい、私どもとしても、今後絶対に必要になるものと考えて準備を進めていた機能です。紙のスタンプカードを作るには印刷コストがかかりますし、クーポン券を広く配布しようとすれば人件費もかかります。ケータイのスタンプカードであれば、一度来店していただいたお客さんに配布することで、次の来店に繋げることができます。ターゲット層に積極的にプロモーションできるツールになるのではないかと考えています。まだ、提供し始めたばかりの機能ですが、お客様の反響はよいです。

――ユーザー認証はどのように行うのですか?

 ケータイには個体識別情報がありますよね。それを用いて、お客様を確認しています。実際の利用の流れとしては、お客様がお店に置かれたFeliCaのリーダーライターにタッチしていただき、会員画面に誘導して、会員登録が済めば利用できるようになるというイメージです。もちろん、空メールやQRコードなどから会員登録画面に誘導することもできます。会員登録画面でお客様に入力させる項目は、利用される企業や店舗が自由に設定できます。ケータイはFeliCaを搭載している機種であれば、どの機種にも対応しています。

――このスタンプ機能を用いる場合、店舗ではリーダーライターを用意しなくてはならないのですね?

 現在、サイトスタンパーII、ラピナビ、リーモリンクの3機種に対応していますが、今後さらに対応機種を増やすことも検討しています。リーダーライターをお持ちでない場合、申し込み時に注文することもできますし、弊社自身が代理店になる準備も進めています。

――「携帯アトリエ」を利用するには、いくらかかりますか?

 共用サーバープランで利用する場合、初期費用が1万5750円で、月額費用はPV課金になっています。具体的には、1カ月3万PVまでが5250円、15万PVまでが1万5750円、30万PVまでが3万1500円、45万PVまでが4万7250円、60万PVまでが6万3000円です。これ以上のPVになる場合やキャリアの公式サイトを制作する場合は、定額制の別プランや専用サーバープランに移行していただくことになります。

「携帯アトリエ」のサイト作成画面のイメージ。Internet Explorerからアクセスして利用可能

――実際には、どれくらいの予算で利用されている企業が多いのですか?

 1カ月3万PVは1日あたり1000PVですが、それは結構高いハードルなんですよ。ですので、月額5250円以内で収まっているクライアント様が最も多いです。ターゲットを絞ったプロモーションをしたい企業や店舗にとっては手頃な料金で始められますし、例えば、ショッピングサイトを運営したい場合でも、オープンしてすぐにPVが伸びることは少ないので、安心してご利用いただけると思います。

――公開されるサイトのドメインは、どのようになりますか?

 自社ドメインをお持ちの場合は、そのドメインのURLからアクセスできるように設定できます。ドメインをお持ちでない場合の公開サイトのURLは「ユーザーID.mwpa.jp」になります。「mwpa」というドメイン名には、とくに意味はないのですが、「m」も「w」も「p」もワンプッシュで入力できるので、ユーザーにとっても利便性は高いと思います。

――利用者へのサポート体制は?

 弊社の営業時間内にお問い合わせフォームからの質問を受け付けております。電話でのサポートは行っていないのですが、サイト制作時に迷う方もいらっしゃるようですので、制作などを代行する有償サービスの導入も検討しています(※現時点では電話サポートも行っている)。

 「携帯アトリエ」はブラウザから管理画面にアクセスして、画面操作だけでサイト作成ができるようになっていますが、ウェブに詳しい担当者がいない場合、難しく感じる方もいらっしゃるようですし、サイト作りにも時間を要します。現在も、そうしたご相談には対応しておりますが、サイト作成や更新を弊社が代行する「おまかせパック」的なパッケージもご用意して、早ければ年内に始めたいと考えております。その場合も、手頃な料金で利用していただきたいので、月額2万円以内~の料金設定になる見通しです。

――ビジネスに効果を上げる携帯サイトを構築するために、何かアドバイスがあればお聞かせいただけませんか?

 業種にもよりますが、更新の頻度は上げたほうがいいと思いますね。「携帯アトリエ」の場合、毎月の維持コストが安いので、とりあえず作っておいてそのままにしていらっしゃるお客様が少なくありません。もちろん、そういうご利用でも構いませんが、エンドユーザーとなるお客様にとって、サイトを見に行く価値を設けてあげる工夫は必要だと思います。例えば、クリスマスシーズンにアクセスしたら、その時期に合わせた特典情報が得られたり、アクセスする度に新しいコンテンツをダウンロードできるようにしたり……。

 また、無駄にアクセス数を増やそうとするのではなく、確実に顧客になってくれそうな人たちにアプローチするのが効果的だと思います。お金をかけてSEO対策を行っているサイトもありますが、費用対効果を考えた場合、必ずしも有効とは言えません。リアルの店舗だったら来店したお客様に対して、ショッピングサイトであれば一度利用したお客様にリピーターになってもらうようにするのが最も有効だと思います。

――ありがとうございました。



(村元正剛)

2009/12/9 06:00