世界のケータイ事情

昨今のハイテクおもちゃ事情

 筆者には1歳の息子がいる。「赤ちゃんあるある」ではあるが、大人が大事にしているもの(メガネや車の鍵やテレビのリモコンなど)に興味津々で、不用意にそこらに置きっ放しにするとすごい勢いで奪いにくる。

 中でもスマホが大好きで、筆者のiPhoneは度々息子にかじられる憂き目に合っている。息子が這う練習をしていた頃、「赤ちゃんの手が届くか届かないかの所におもちゃを置いておくと、赤ちゃんはそのおもちゃを必死に取ろうとするため這う練習になる」と聞き、あらゆるおもちゃを目の前に置いて誘っていたが、一番練習効果があったのはiPhoneであった。

 赤ちゃん向けのiPhone向けアプリもいくつか試している。息子の一番のお気に入りは、Fisher-PriceのAnimal Sound(どうぶつさんの鳴き声をきこう)というもの。動物の絵をタップすると、英単語(馬なら“horse”等)の読み上げとその動物の鳴き声が流れ、再びタップするとまた別の動物が出てくる。特に教えていないのに、良いタイミングでタップをして楽しんでいる。動物の鳴き声や動く姿が面白いのか、飽きずに何度も見たがる。息子が愚図った時の気分転換になればとこのアプリをインストールしてみたが、英語に最初に触れるきっかけとしてはよかったかもしれない。

 生まれた時からデジタルでハイテクなものに囲まれた息子は、正にデジタルネイティブ。最近は子ども向けおもちゃまでもがハイテク化していて、試しに“Best toy of 2015”などで検索すると、ハイテクおもちゃがずらっとヒットし、筆者が子どもの頃とは隔世の感がある。そんなことを思っていたら、米国のスタートアップは息子へのリーチを伸ばすべく、着々と準備を進めていた。

CogniToys

CogniToysのサイト

 CogniToysは、マンハッタンのスタートアップ、Elemental Pathが開発した恐竜の形をしたおもちゃだ。Wi-Fiでインターネットに接続して遊ぶ。この恐竜は、なんと会話ができる。子どもの質問に答えたり、子ども自身のこと(子どもの名前とか、好きな色とか)を学習したり、逆に子どもに質問したりと、とにかく賢い。それもそのはず、IBMが開発した超賢い人口知能Watsonに繋がっていて、子どもの質問に瞬時に応えてくれるのだ。

 CogniToysのサイトでは、恐竜とのはじめての会話に挑み、「すごい!」「びっくり!」という反応を示す子どもたちの動画を見ることができる。恐竜の声も確認することができるが、ちょっとオトボケ風の外見とは裏腹に、落ち着いた男性の声であった。

 CogniToysは一つ119.99米ドル。グリーン、水色、ピンクの3色から選べる。当初は2015年11月発売の予定だったそうだが、現在はまだ予約受付中の段階で2016年3月に発送予定とのこと。日本語には対応していないが、海外にも発送してくれそうだ。

 ようやく簡単な単語を発するようになった息子にはまだまだ早すぎるが、CogniToysが我が家にやってきたら楽しそうだ。「○○ってなあに?」という質問をしまくる時期がいつかやってくるはずだが、この恐竜は良い助っ人になってくれそう。その頃までに、日本語を話す恐竜が発売されていることに期待したい。

Bloxels

Bloxelsのサイト

 Bloxelsは、コンピューターゲームを自作できるおもちゃだ。ミズーリ州セントルイスのPixel Press Technologyが開発した。自分でゲームを作ると聞けば、プログラミングをしたり、アプリを使って作ったりすることをイメージするが、このおもちゃの良いところは、アナログな手順も踏んでゲームを作り上げられるところ。

 Bloxelsには、いろんな色の小さなキューブと、そのキューブを並べられるボードがついている。ドット絵を描くように、キューブを升目状のボードの上に並べ、ゲームの主人公や敵キャラなどをデザインする。それら一つ一つをタブレット端末のカメラで読み込んで、ゲームを自分で組み立てていく。ゲームのフィールドも、同じようにデザインできる。

 できあがったゲームは、初代スーパーマリオのような親世代にとっては懐かしいテイストだ。短いゲームであっても一つ一つ自分で組み上げていくのは結構時間がかかりそうだが、友達と協力して作ったり、簡単にはクリアできないステージを作って親をびっくりさせたり、なかなか楽しそうだ。このゲームで鍛えれば、将来天才ゲームクリエイターになれるかもしれない。

 Boxelは一つ50米ドルから。現在は予約受付中で、年末年始に発送が開始されるそうだ。

 子どもの頃に「こんな事ができたらいいな」と思い描いていたようなことが実現されていることに驚く。しかもどちらのハイテクおもちゃも、楽しく遊びながら賢くもなれそうで、親としてはありがたい。

アナログ電話のおもちゃ(筆者撮影)

 将来ハイテクおもちゃを使いこなすであろう筆者の息子。あまりにiPhoneに執着するので、壊れて使えなくなったiPhoneをおもちゃ代わりに与えてみたところ、自分の耳にあててモシモシのポーズをした。特に教えたわけではないが、大人が電話をする姿を見て、たとえそれが動かないiPhoneでも、電話器であると分かっているようだ。

 息子の通っている保育園には昔ながらのアナログ電話の形のおもちゃがあるのだが、「もしもしよ」と教えても、それを手にしてモシモシポーズはとらない。それはそうだ、息子はコード付き電話機はまだ見たことがないのだから。