もらってうれしい?! 携帯で贈るギフト券

KDDI総研 渡邊一昭
KDDI総研 調査1部。諸外国の情報通信政策、市場動向の調査を担当。最近のレポートは、KDDI総研R&A誌「『デジタル・ブリテン』最終報告書の概要について」(2009年8月)。


 携帯電話を使った便利なサービスで、まず思いつくのは電子マネーなどの金融サービス。定期券や会員証としての利用もあるが、マクドナルドの「かざすクーポン」やお弁当屋さんのポイントサービスなども筆者はちょくちょく利用している。

 お隣の国、韓国では、携帯電話でギフト券をプレゼントするサービスが人気を集めているそうだ。日本でも着うたや着メロを携帯でプレゼントするサービスが提供されているし、メールアドレスがわかればギフトを贈れるサービスも登場している。韓国で提供されているサービスは、携帯電話宛にアイコン形式で配信されるギフト券を店頭で提示すれば、商品をその場で受け取ることができるのが特徴だ。

Gifticonのサイト

 韓国最大手の携帯電話会社SKテレコムが「Gifticon」(GiftとIconを組み合わせた造語)と呼ばれるサービスを2006年12月から開始し、2008年11月にはGSM協会の「ベストモバイルインターネットサービス賞」を受賞した。現在は、ライバルの携帯電話事業者も同様のサービス(KTのGiftishow、LGテレコムのOZGift)を提供している。

 Gifticonの利用方法は次のとおり。

1. SKテレコムのポータルサイト(NATE)にあるGifticon専用ページで贈りたい商品を選択
2. プレゼントする相手の携帯電話番号を入力して送信
3. 相手の携帯にその商品と交換できるバーコードが送信され、受け取ったバーコードを販売店で提示して、商品と交換

 ちなみに、2009年11月のGifticon人気商品のトップ3は、こんな感じ。

第1位 ケーキ引換券/2万ウォン(約1500円)
第2位 MP3プレーヤー用音楽ダウンロード券/1万2100ウォン(約900円)
第3位 スターバックスコーヒーのキャラメル・マキアート(トールサイズ)/4800ウォン(約360円)

 各社のサイトを眺めてみると、ピザやサンドイッチなどファストフードチェーン店の出店が目立った。コンビニエンスストアでは1000ウォン(約75円)以下のスナック菓子や飲料が並んでいた。時期によっては、映画のチケットやデパートの商品券なども並ぶことがあるらしい。いずれのサイトでも比較的、手頃な価格の商品が数多く提供されており、ちょっとした挨拶や御礼のメールにこれらのギフト券が添えられることも多いそうだ。

送信されるクーポンのイメージ

 韓国というと「おまけ文化」と表現されるぐらい景品をつけた販売促進手法が定着していると聞くが、御礼のメールにも「おまけ」というところなのだろうか。確かに贈られる側としては、このちょっとした気遣いはうれしいに違いない。

 ただし、サービスの人気上昇に伴い、困ったケースも発生しているそうだ。例えば、父兄が子供の学校の担任教師にこのサービスでギフト券を贈答するケースもあるようで、これには、受け取った教師側も困惑。受け取りを拒否できるようサービスの改善申し入れが行われているとか……。

 日本でもお歳暮やお中元を携帯電話で贈る時代がやってくるかもしれない。

(渡邊一昭)

2009/12/22 12:06