使い勝手の良いBluetoothスピーカー「CREATIVE T12 Wireless」


フロントパネルは光沢のあるフラットな樹脂製で十分な質感があり美しい仕上がりとなっている。写真手前が右側ユニットでコントロール部が配置されている

 iPadを日常的に使うようになり、よく利用するようになったサービスに、インターネットラジオがある。ちょっとした空き時間にiPadでネット閲覧などをする際、TuneIn Radioなどのアプリを利用しバックグラウンドでネットラジオを聴くという使い方を頻繁にしている。ネットラジオは、世界中のラジオ局から、好みに合う局を選局しておけば自分の趣味に合った音楽を際限なく流してくれる非常にありがたいサービスだ。

 これまで筆者はiPad 2内蔵のスピーカーを利用してきた。iPad 2の内蔵スピーカーは見かけによらずそれなりに心地よい音で音楽を再生してくれるのだが、欲が出てもう少し楽しめる音質でネットラジオを聴きたいと思うようになった。ヘッドホンを利用するというのが一般的な方法だろうが、今回は自由度を重視して無線接続の外部スピーカーを試してみることにした。

 iPadはBluetooth機能を内蔵しているので、Bluetooth接続が可能な外部スピーカーをいろいろと物色した結果、この「CREATIVE T12 Wireless」が形状、サイズ的に用途にマッチし、価格的にも手頃だったので入手することにした。

 多くのBluetooth接続スピーカーが一体型でバッテリーを内蔵し、完全にワイヤレスで使用できるのに対し、「T12」は左右のスピーカーユニットが独立したタイプで、電源も内蔵バッテリーを持たずACアダプターからの供給でのみ動作する、据え置き専用タイプだ。

 左右のユニット間も有線接続なので、右側ユニットには電源ケーブルを加えて2本のケーブルが接続される事になる。製品名の“Wireless”というのはちょっと言い過ぎのようにも思うが、モバイル機器との接続はBluetoothなので、一度設置してしまえばケーブルを接続することなくさまざまなBluetooth対応機器から、文字通りワイヤレスで利用できる。

 接続(ペアリング)はとても簡単。右側ユニット前面にある「Bluetoothボタン」を3秒以上押すことで接続待ち状態になるので、あとは機器側のBluetooth接続メニューで「CREATIVE T12 Wireless」を選択し、必要に応じてパスコードを入力するだけで接続できる。筆者のiPad 2、Windowsノートパソコンからの接続ではパスコードの入力は必要なかった。過去にペアリングを行った機器とは、上記のボタンを一回押すだけで再接続が可能だ。

 さて、肝心のT12の音質だが、筆者は非常に満足している。個人的な感想では、T12はBGMを鳴らすスピーカーとして十分な音質だと思う。もちろん、ユニット構成などからも高音質と言う訳にはいかないが、このサイズのアクティブスピーカーとしてはバランスの良い音色だと感じる。小型アクティブスピーカーにありがちな低音の量感不足も、BassFlexという独自のパッシブ・ラジエーター機構により十分に補強がなされており低音の量感不足は感じない。強いて言えば、パッシブ・ラジエーターによる低音の補強なので、低音の切れやスピード感は感じられない。中・高音も、こもり感や極端なピークも無く、音楽を気持ちよく鳴らしてくれる小型スピーカーという印象だ。

 また、T12は「apt-X コーデック」にも対応している。apt-XはAudio Processing Technology社が開発した高音質・低遅延のオーディオコーデックで、対応する機器やアダプター(CREATIVE BT-D1やBT-D5など)を利用することでさらなる高音質・低遅延の再生を楽しむことができるというものだ。

 外観のデザイン、質感ともにチープさは感じられず、光沢のあるフラットでシンプルなフロントフェイスも好印象だ。Bluetooth接続のほかにも、有線のアナログライン入力を1系統持っており、Bluetooth接続との併用が可能だ。また、右側ユニット前面にヘッドホン端子も装備している。

 本来はパソコンのディスプレイ両脇に設置し、パソコンとは有線接続、モバイル機器とはBluetooth接続という使い方を想定した製品だと思うが、リビングの窓辺などに置き、くつろぎのひとときに、iPadやiPhoneなどから部屋にBGMを流すという使い方にもお勧めできる製品だと思う。

ドライバーユニットは2inフルレンジユニット。小型だがパンチのある音を鳴らしてくれる。コーンは銀色をしているが金属製では無いようだ。ユニットの周囲がリング状に出っ張っており、この形状がショートホーンとして機能し多少なりとも音に影響を与えているのではないかと思うのは考え過ぎだろうかフロントパネルは四角形だがエンクロージャーは後端行くにつれ楕円形に絞られ、バックパネルは楕円形になっている。バックパネルのほぼ全域を占める「BassFlex」と名付けられた低域増強用のパッシブラジエーターは一見、平面ウーファーに見えるが、ドライバーは実装されていない
右側ユニットのコントロール部。電源スイッチを兼ねたボリュームとBluetoothボタン、ヘッドホン端子、ステータスLEDが配置されている。ステータスLEDは色と点滅の状態で接続状況を通知してくれる。ボリュームツマミの操作感もチープさが無く、電源ON/OFF時のポップノイズがほとんど無いのも好印象だ右側ユニットの背面。アナログライン入力と電源、左側ユニットの接続端子が並ぶ。ライン入力とBluetoothの入力は並列で同時に利用でき、切り替え機能は無い

 

製品名製造元購入価格
CREATIVE T12 WirelessCreative6124円

 

 

(田中 宏和)

2011/11/2 06:00