本日の一品

懐かしい「ゼビウス」カセット、中身はモバイルバッテリー

昔懐かしいファミコン版ゼビウスのゲームカートリッジがモバイルバッテリーに

 筆者が初めて買ったパソコンは、富士通の「FM-7」だった。大卒初任給が14万円くらいだった1985年当時、エプソン社のフロッピーディスクドライブとFM-7本体で合わせて25万円くらいだったと記憶している。

 BASICでプログラムを書いて、プリンターやプロッターを繋いだり、当時、やっと始まったばかりのパソコン通信のホスト局にアクセスしたりと、遊ぶことには事欠かなかった。

 もともと、ゲームアプリを買うことはあっても、それほどハマることのなかった筆者だが、当時唯一ハマっていたパソコンゲームが「ゼビウス」だった。一時は世界中のほとんどのテレビゲーム機を自宅に置いていたが、10年ほど前にその全てを断捨離した。しかし、そんな状況でもゼビウスだけは捨てることができず、数年前にゲームボーイミクロとゼビウスのゲームカートリッジを買い直し、今も時々遊んでいる。

300個を超えるゲームカートリッジを処分してしまったが、ゼビウスだけは未だにこっそりと遊んでいる

 そんな“ゼビウスだけファン”な筆者にとってマストバイな商品が登場した。それは、TVゲームのカセット型をしたモバイルバッテリーだ。シリーズもので、第1弾が「パックマン」、第2弾が「ドルアーガの塔」、そして第三弾が「ゼビウス」だった。第4弾には「マッピー」が続くが、“ゼビウスだけファン”にとっては、ゼビウス以外のカセットは全く興味が無いのだ。

 早速届いたブリスターパック(ぶら下げ式パッケージ)は、オリジナルの形状とは全く異なるが、内部の紙パッケージは、本体カートリッジや解説書を含め1984年発売当時のファミコン版のオリジナルパッケージとそっくりだ。違いは、スマートフォンを充電するためのmicroUSBケーブルが付属していること。また、予約販売の特典として、戦闘機「ソルバルウ」とボスキャラ「アンドアジェネシス」の付いたキーホルダーが付属する。

ブリスターパックはちょっと似合わないが、microUSBケーブルを同梱するには最適な選択だったのかもしれない
予約注文者には、ソルバルウとアンドアジェネシスの両方が付いたキーホルダーのオマケ付き

 このゼビウス・バッテリーは、市場にあふれているベタなモバイルバッテリーとは、全く立ち位置を異にしている商品だ。一般的なモバイルバッテリーは、その容量や機能の優位性、先進的なパッケージングで優劣を競っている。ところが、ゼビウス・バッテリーの場合、そのデザインはファミコンのカートリッジに近ければ近いほど高得点となるという明確な“価値尺度”がある。モバイルバッテリーとしては容量が5000mAh、重さは約130gと標準的な仕様だ。バッテリー本体を満充電にするのにかかる時間はおよそ3~4時間だ。

同梱物の全て。少し色の悪い解説書(左下)が泣かせる
側面のmicroUSBポートとUSBポートを見て、初めてファミコンのカートリッジではないと気がつく

 ゲームカートリッジのレーベルに向かって右側面にある充電用のmicroUSBポートや、スマートフォンへの給電のためのUSB Type-Aポートにさえ目をつぶれば、もう心は1984年のソルバルウのコックピットにいる気分だ。ゲームカートリッジの下部、ファミコン本体との結合面には、機能的には何の意味を持たない基盤のエッジコネクタが、しっかり取り付けられている。これが、よりいっそう気分を加速してくれる。

 さすがに歴史に名を残すゲームカートリッジの規格サイズは、こなれてきた5インチクラスのスマホと類似した手に馴染むサイズだ。給電しながらスマホと同時持ちをしても手のひらにピッタリ収まる。

バッテリーの機能には一切貢献しないが、エッジコネクターは一番重要なパーツだ

 容量5000mAhのモバイルバッテリーの売れ筋ゾーンは1000円~2500円近辺。ところがこのゼビウス・バッテリーの価格は4500円と、2倍~4倍以上の高値だ。その価値は、モバイルバッテリーとしては無用の部分にかけた造作と思い入れ、関係者のパッションをどこまで許容できるかにかかっているだろう。

 普段はなにかと、がめつい筆者だが、今のところゼビウス・バッテリーにだけは、コスパなどというセコいセリフはキッパリと忘れて、十分許容できる大きな心を持ち合わせていると思っている。

製品名販売元購入価格
BGAMEナムコクラシックシリーズ03 / ゼビウススパイダーウェブ4500円