本日の一品
安価で怪しげな懐中電灯型サバイバルウオッチ
2017年5月29日 06:00
従来の腕時計が備えていた機能の大半は、すでにスマートフォンに取り込まれている。通信機能やGPS機能をごく当たり前に搭載し、手のひらに収まるモバイルPCでもあるスマートフォンを1人1台持つような時代には、多くの製品の機能がスマートフォンに集約されていくのは必然のことだろう。
もちろんバッテリーやトラフィックの問題など、スマートフォンにもいくつかの懸案事項はあるが、その多くはこの先、テクノロジーの進歩が解決してゆくだろう。
スマートフォンの台頭によって行き場を失った腕時計は、ジュエリーとしての価値を持つ超高価なハイブランド製品を除き、自分の居場所を探っている状態だ。ある製品は古き良き時代のミニマル&シンプルデザインを目指し、またある製品は旧来の腕時計テクノロジーとスマートウオッチのハイブリッド化を目指す。そして、それらとは無縁のジョーク系ウオッチも市場を賑わしている。
そんな腕時計市場の中で、アウトドア型ウオッチの尖端に位置する“超安価で超怪しい”サバイバルウオッチを購入してみた。パッケージ正面には「WRIST WATCHES LIGHTS」と書かれているが、側面には「DIGITAL HEART RATE MONITOR WATCH」と、別の内容が記述されている。
このどの製品にも使える汎用的なパッケージを使用しているのかどうかは不明だ。少なくとも筆者が購入した腕時計は、「2211 CREE XPE LED」とパッケージにも表示があるように、米CREE社のLEDライトを採用した“懐中電灯型サバイバルウオッチ”であり、心拍計機能は搭載していない。
外観デザインは、軍や警察で使用頻度の高いフラッシュライトメーカーである「SUREFIRE」と、スイスのミリタリーウォッチメーカー「LUMINOX」が共同制作した「SUREFIRE 2211」ときわめて似ているジョーク系オマージュウオッチだ。
パッケージの中には、かなり大きくゴロンとした腕時計と、充電用のmicroUSBケーブルに、小型のコンパス(方位磁石)がなぜか2個も入っている。ライトは使用する前にリューズのすぐ下にあるmicroUSBポートから充電する。フル充電まで3時間くらいだ。
腕時計本体はどこかで見覚えのあるデザインで、ベゼルには5秒単位で秒表示が表記されている。また蓄光製のある塗料でタイムインデックスは描かれているようだが、それ程の期待は出来ない代物だ。コンパスはベルトの好きな場所に取り付けられる。
この腕時計をビジネス用途に使おうと考えている人はまずいないだろうが、実測で25mmある腕時計本体の厚さをカバーするビジネスシャツはまずありえないので、オーダーシャツを手配するか、ビジネス用途は諦めることだろう。
また、この腕時計を装着した軍隊や警察のシューターが強行犯を追い詰め、ピストルを両手で持って銃口の先を閃光で照らし「フリーズ!!」と言うほどには力及ばないので、残念ながらバトル系のタフ腕時計の役回りもないだろう。
この時計の最も似合うのは、暗くて怖い夜道を独りで帰る時や、自宅の車庫の自動車のボンネットの中をいじる時、深夜残業の後のタクシー帰りで、うっかり車内に飛ばしてしまったmicroSDカードを探す時などのシチュエーションだ。
照度は本体のボタンを押して180ルーメン、60ルーメン、15ルーメンを切り替えられる。そして犯人を追いかけ追い詰める側の“SUREFIRE 2211”と違って、懐中電灯型サバイバルウオッチには、ストロボライト(短時間の点滅)とSOSライト(モールス信号)を加えて全部で5種類のライトモードが装備されている。
これらは、あくまで自らが大変な状況になった時に、外部の第三者に助けを求めるために役立つメニューだ。日常生活防水で5種類のトーチメニューを持つ「懐中電灯型サバイバルウオッチ」を、間違っても“SUREFIRE 2211”と同じ感覚で扱ってはならない。
製品名 | 購入先 | 購入価格 |
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