本日の一品

スマホのスピーカーにもなる、クリスタルなキューブ型ミニラジオ

スマホの外部スピーカーとしても使えるミニラジオ「TT028」

 パソコンやスマホで、自宅や会社そして出先などのどこでもハイレゾの音楽を聴いたり、ミュージックビデオや映画を観たりすることができるようになってくると、“オールドメディア”であるテレビやラジオは一気に廃れてしまうような印象がある。

 しかし、コンテンツの複合性やインテグレーション性を価値と感じるのではなく、純粋にコンテンツとしてテレビやラジオを楽しむだけなら、その印象は正しくないかもしれない。

 実際に、観たり聴いたりするコンテンツそのものさえ魅力的であれば、スマホのように複雑で高価な現代的デバイスで無くても、シンプルで安価になったレトロ商品の方が安くて便利で楽しい場合も多い。

一辺50mm、手のひらで握れるサイズのキューブ型だ

 今回、ご紹介する商品は、新しいネットメディアとしても再注目されているアナログラジオ放送を聴くことのできるラジオ「NizHi TT-028」(以下TT028)だ。

 旧時代のラジオと違うのは、ラジオ放送だけでは無くmicroSDカードやUSBメモリーに入ったMP3音楽も聴くことのできる多機能な音楽再生機能を備えている点。

 一辺が50mmのキューブ型で、全体がクリアで分厚いアクリル素材で覆われている。2000円以下という値段の割にはプチリッチなイメージだ。

付属品はきわめてシンプル。スマホのイヤフォン端子とつなぐケーブルがうれしい

 付属品は、内蔵充電池へ給電するためのminiUSBケーブル、スマホなどのイヤフォン端子とTT028のAUX端子を接続するための両端に3.5mmプラグが付属した短いケーブル、TT028を屋外で持ち歩く人のためのストラップ、そして簡単な取扱説明書だ。

 アクリルで包まれたスピーカーと背中合わせの反対側面には液晶表示装置と小さな操作ボタンが4つ配置されている。4つのボタンのそれぞれを操作することで、入力メニューの選択や、ポーズ、スキップ、バック、そして右側2つのボタンは長押しをすることで、音量のアップやダウンを行うことも可能となっている。

シンプルな液晶表示装置とミニマムな4個のボタンで全ての操作を行える
分厚目のアクリルで覆われたスピーカーと内部が透けて見えるデザインがシュールだ

 液晶は現在時刻を表示したり、入力メニューを表示したり、MP3音楽再生の場合は再生中の音楽の経過時間を表示したり、適時、その場合の便利な表示装置として機能するように考えられている。そしてTT028本体側面には、充電のためのminiUSBポートと電源オン・オフの物理的スライドスイッチが配置されている。

 上部には、4段の伸長式FMアンテナ、標準USBポート、microSDスロット、LINE IN端子、ステレオヘッドフォン端子の5つが用意されている。microSDスロットにはMP3フォーマット音楽ファイルを収納したmicroSDカードを挿入することで、自動的に再生が開始される。

ミュージックプレーヤーとしてのmicroSDスロットとUSB-A端子。その隣にはラインイン端子とステレオヘッドフォン端子が並ぶ
microSDのカードに相性は無かったが、USBメモリーは最新のモノは避けた方が良さそうだ

 筆者は普段はFLACフォーマットで保存している音楽ファイルのマスターをパソコンのユーティリティソフト(Helium Audio Converter)で一気にMP3フォーマットに変換してTT028で利用している。同様にUSBポートでは、USBメモリー内のMP3音楽の再生できる。

 運悪く、筆者の環境の問題かもしれないが、メモリーアクセス速度の関係か、一部の新しいUSBメモリーでは全く再生できない音楽データもあった。安価なこのラジオには秋葉原などできわめて安価に売られている4GB程度のUSBメモリーが最適のようだった。

この手のUSBメモリーはデザイン的に楽しいが、音楽再生できないケースも多かった

 また、付属の両端に3.5mmケーブルでスマホのイヤフォン端子とTT028のLINE IN端子を接続することで、スマホの音声をTT028の内蔵スピーカーから再生することも可能だ。

 価格の割にきわめて多機能だが、大きな欠点もある。欠点はFMのバンドが日本国内向けではなく、90MHz以上の帯域しかサポートしていないことだ。それ故、国内のFM放送はほぼ全滅の状況だ。

 しかし、捨てる神あれば救う神ありで、最近、拡大しているワイドFM局は、全て帯域が90MHz以上なので設定可能だ。そして自動検出設定機能も利用できる。東京都内在住の筆者は、ワイドFMのニッポン放送やTBS文化放送などを楽しんでいる。

 まとめると、TT028の弱点は、一部の新しいUSBメモリーに対応できていないこと、前述した日本のFM帯域への非対応だ。加えて、内部の充電池での駆動時間が1時間前後と短いのも注意したい。

こんなに小さいTT028。充電中や音楽を再生中は、青赤緑などの内部のLEDライトが周期を変化させながら綺麗に光る

 一方、TT028の良い点は、とにかく50mm角のコンパクトサイズなのでどこにでも置けることとどこにでも持って行けること。そしてきわめて小さなスピーカーではあるが、なかなか軽快に鳴ること。スマホなどの有線接続の外部スピーカーとしてすぐに使えること。microUSB、USBメモリーの両方の音楽ソースを全て挿入しておき、好きな音楽ソースをメニューで選択して再生可能なこと。音楽再生時にアクリルの本体の内部に仕組まれたLEDライトがレインボーカラーに楽しく点滅してくれること。もちろん、点滅スピード間隔を変更することや、オフにすることもボタン操作で可能だ。

 野口英世博士2枚で十分お釣りのくる「TT028」は、いくつかの弱点もあるが、大きな心で見た限り、良い点の方が数多く目立つ一品だ。

チョット前に入手したラジオ(関連記事:レトロ未来系の多機能USB充電ラジオが面白い)に比べてもコンパクトだ
製品名販売元購入価格
FMラジオスピーカー TT028Tsing1480円