本日の一品

ペン立てに草を生やして癒やされたい「グラスリーフペン」

ペンとペンケースのはずなのにありえない構図が楽しい

 歴史と伝統あるステーショナリー市場は、ライフスタイル市場やジョークグッズ市場にも片足を突っ込みつつ、ここ10年ほど拡大成長しているように思える。レンチやドライバー、ペンチの外観をしたボールペンや、パッと見は竹で作った30cm定規に見える孫の手、リアルな魚の形状をしたペンケースなど、例を上げればキリがないのがジョーク・ステーショナリーの世界だ。

 そんなステーショナリー+ライフスタイル+ジョークグッズ市場にまた目新しい試みのボールペンが登場してきた。「GRASS LEAF PEN(グラスリーフペン)」はネーミングの通り“葉っぱ”の形をしたボールペンだ。昨今では“癒やし文具”というジャンルに分類されるのかもしれない。

筆記具に見えない筆記具「グラスリーフペン」なら、こういう深さのあるところにも収納できる

 形状からは稲の葉ともミズニラの葉とも見えるが、大事なのは、モデルとなった植物の正式名称などではない。グラスリーフペンを見た人の多くが、瞬間的に何かの植物の葉だと先に信じてしまうくらい、その雰囲気がホンモノに迫っていることだ。

 デザインは韓国に本拠地を置くズップデザインスタジオという、生活小物を専門にデザイン・企画開発している会社だ。海外では複数のグラスリーフペンを立てるウッド製のペン・スタンドなどとのコンビネーションで売られているケースもあるようだが、筆者は東京都内のライフスタイルショップでこのペン単体を購入した。

近所の植え込みに抜け落ちていた名前も知らない雑草を真ん中にスリーショット
ナチュラルカラーのステーショナリーとはベストコンビネーションだ

 カラーは濃いグリーンの「フォレストグリーン」と最も淡い「イエロー・グリーン」そしてその中間の「スプリング・グリーン」の3色をラインナップする。どれもグリーン系の色合いで、よく見ると分かる程度の微妙な違いだ。筆者が購入した時はあいにくフォレスト・グリーンとスプリング・グリーンの2種類を1本ずつ購入した。

 この手のコンセプトの商品なら、最低でも片手でいっぱい握れるくらいの数量を“大人買い”したいが、あいにく、リフィルのインクカラーは黒1色。そしてボール径も0.3~0.5mm近辺のファイン(細字)のみとなっている。

根本の方のキャップを引き抜けばボールペン軸がある。0.3-0.5mmのファイン(細字)。本体カラーは3種類のグリーン系だが、インクカラーはブラック1色

 さらに、販売価格は810円(税込)とけっこう高額だ。大人買いして、オフィスのペン立てにたっぷり生やして、リアルな雑草の雰囲気を自慢するためには、最低3万円くらいは必要だろう。机上のペン立てに植わったたくさんの葉っぱの中から、どれか一本を引き抜き、キャップを外して筆記していると、葉っぱの先が微妙に揺れて癒されるというのは魅力的なシーンだが、同時にこれで3万円、色も太さも1種類と思い出した途端、クールを通り越してきわめてコールドな現実に引き戻されてしまいそうだ。

 勢いに任せた大人買いは間違いなく、一生使っても使い切れない量のボールペンを抱えてしまうこととなる。たくさんの量を買うことできっと楽しくなる……と考えてしまうが、ここはお金に飽かしてたくさん買って惨めな思いをせずに、たった1本や2本だけで、どこかセンス良い使い方がないかを考えるべき商品だろう。グラスリーフペンはナチュラルなカラーの素朴なステーショナリーとのコンビネーションや、意外な持ち方、意外な収納が楽しいアイテムに違いない。使うべきはお金ではなく、筆者の最も不得意な頭とセンスのようだ。

製品名販売元購入価格
Pooleaf(グラスリーフペン)ZEUP DESIGN STUDIO810円(税込)