スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
イワタニのモバイル暖房、あったか~い♪
(2016/2/1 06:00)
イワタニのモバイル暖房、あったか~い♪
今回は、イワタニの「カセット暖房機シリーズ」および「カセットガスアウトドアヒーター」について。共通点は、燃料が「イワタニカセットガス」(カセットボンベ)で、電源不要ということです。カセットガスさえあれば、どこへでも持ち運んで暖房器具として使えるというわけですな。
今回レビューするモノは4機種。具体的には、「カセットガスファンヒーター 風暖(KAZEDAN) CB-FH-1」「カセットガスストーブ ハイパワータイプ CB-STV-HPR2」「カセットガスストーブ CB-STV-EX2」「カセットガスアウトドアヒーター CB-ODH-1」です。
ていうかイワタニのカセットガス暖房の現行品全部って感じですな。どれも拙宅にて使用中です。約2ヵ月程度使っておりますので、以降その使用感などを書いてみたいと思います。
ですが、ひとつ前置き……というか共通の「人によっては大きな難点となる共通点」がありますので、それから書いておきます。それは長時間連続して使う暖房器具としては「けっこー燃料消費が早い感じがする」ということです。
たとえば「カセットガスファンヒーター 風暖(KAZEDAN) CB-FH-1」の場合、1時間のガス消費量が約145gです。1本のイワタニカセットガスの内容量は250g。燃料1本を約1時間43分で使い切ってしまう計算になります。実際、さ~っむい日に一日多用したりすると、午前中で1~2本、午後に2~3本はカセットガスを消費してしまいます。
まあ基本ガスストーブなので、燃料消費が著しく激しいとか効率が悪いとかいうことではなくて、カセットガスの容量が少ないので燃料交換が頻繁に必要ということです。空のカセットガスの増え方が速めなので、「なんかすっごく燃費悪い気がする」と感じがちだというわけですな。また、都市ガスやプロパンガスと比べると、カセットガスは1本100~150円なので、実質的な燃料費は割高になるでしょう。
燃料費超重視なら、石油ストーブ(灯油ストーブ)や都市ガス/プロパンガスストーブが無難。しかしカセットガス式ストーブなら、必要に応じ、いつでもどこでも使えるというメリットがあります。これらをどう考えるか、ですな。
……なんか、電気器具を電池で使うかACアダプタで使うか、みたいな話に似ているかもしれません。ともあれ、以降、カセットガス暖房各機種について見ていきたいと思います。
ナニコレ、すっご~い♪ しかも、あったか~い♪
まずはワタクシが使って軽く感動した製品から。電源不要のファンヒーターこと「カセットガスファンヒーター 風暖(KAZEDAN) CB-FH-1」です。詳細はリンク先にありますが、温度差により金属に電流が流れる現象「ゼーベック効果」で発電し、ファンを回転させているんですってよ奥様! んまあ! 的な。
まずスペックですが、サイズは幅31.9×奥行き26×高さ43.8cmで、質量は約4.7kg(カセットガス含まず)。最大発熱量は2.0kW(1720kcal/h)。ガス消費量は1時間に約145gで、連続燃焼時間は約1時間43分(気温20~25度のとき)。燃料はイワタニカセットガスが使えます。
使ってみての印象ですが、使用開始当初は毎回、発電してファンを回す様子に「なんかスゴいな~」と楽しく思いました。点火して数十秒すると独特の「ヒュゥゥゥゥ~ンゥヴヴヴヴ」的な音がし、点火後1分せずに発電~ファンが回転し本来の運転を開始します。未知のテクノロジーが使われている的なサウンドが愉快。ウルサくはないです。
燃焼音は、点火直後は小さくボボボボボ的な音がします。カセットコンロみたいな音ですな。このとき、熱風は上部から出ます。次いでファンが回転し始めた後は、動作音は静かになります。また、ファン回転開始後は、熱風は本体前面上部から前方へと吹き出します。
暖かさですが、さすがガスファンヒーターって感じで、十分熱い熱風がたっぷり吹き出す感じ。あったか~い♪ です!
ただし冒頭で書いたように、寒い日に一日中連続的に使いまくっていると、どんどんカセットガスが空になっていきがち。常用のメイン暖房として使うと、空のカセットガスが量産されつつ、燃費も気になると思います。
ワタクシの場合、仕事場で使っています。いつもではなく、とりわけ寒い日の朝や夕だけ、みたいに。それ以外は足元のストーブだけで過ごしており、寒くなるとダウンベストなどを着ています。それでも寒さが増し、「足元ストーブとダウンベストだけじゃもう無理!」となったとき、このカセットガスファンヒーターを使用。エアコンもあるんですが、エアコンの乾いた熱風が苦手で……。
また、翌朝超寒そうな天気予報のときは、寝室に持っていって使っています。朝起きたらまずこのファンヒーターを点火。1分ぜずに熱風が吹き出し、朝の寒さが緩和され……た隙を狙って着替え&トイレ直行! みたいな。
補助暖房として使っているわけですが、どこにでも持ち運べるのも便利です。たとえば別室で1時間ほど作業、みたいなときはソコに持ち出して短時間暖房する感じ。移動が容易であり、点火後すぐに熱風が吹き出すので、何かと重宝しています。
もしかしたら、6~8畳あたりのワンルームマンションとかに独りでお住まいで、昼間はずっと外出中という学生やサラリーマンなどの方なら、常用の暖房としてイイかもしれません。手軽&安全&手っ取り早く使えてソコソコ暖かいということで。
あと、新型のイワタニ製カセットガス器具は、どれもカセットをマグネットで装着するタイプです。脱着がヒッジョーに容易なタイプですな。ただ、使用開始当初は「コレって不意に外れたりしない?」的な不安が少々ありました。でも結局、不意に外れることはありません。カセットガスの内部圧力が上昇するとカセットガスが自動的に外れる「圧力感知安全装置」だそうですが、なるほどシンプルで役立ちそうな機構です。てなわけで、このマグネット装着式、脱着の手軽さが際立ち、安心&快適に使えております。
燃費重視ならコチラ!? メインにも使えるガスストーブ
それから、「カセットガスストーブ ハイパワータイプ CB-STV-HPR2」。発熱部が赤くなって放熱するタイプのガスストーブです。
スペックですが、サイズは幅34.9×奥行き28×高さ40.8cmで、質量は約4.1kg(カセットガス含まず)。最大発熱量は1.35kW(1150kcal/h)。ガス消費量は1時間に約98gで、連続燃焼時間は約2時間30分(気温20~25度のとき)。燃料はイワタニカセットガスが使えます。
使用感ですが、ストーブの前方を全体的に暖める「穏やかに効く暖房」というイメージ。大雑把な暖かさは、前述の自己発電式ファンヒーターと同様という感じです。が、ファンヒーターのほうはイワタニカセットガス1本での連続燃焼時間が約1時間43分で、こちらは約2時間30分。気分的には「だいたい同じような暖かさ」なんですが、1時間近く長く使えるということで、「なんか燃費イイ感じ」という印象になります。
赤熱するガスストーブなので、燃焼音はかなり静かで、赤い光は暖かさをいっそう強く感じさせます。本体前方に赤い光と熱を放つあたり、ファンヒーターにはない風情もありますな。体も気持ちも温まる、みたいな。イイ感じです。
ワタクシの場合、このストーブは前述のファンヒーターと同じようなシチュエーションで使っています。使い分けはとくになく、なんとなく気分で。
難点はとくに感じませんが、本体上部の網部分が斜めになっているのが残念かも、です。昭和世代としてはストーブ上部の網の上にヤカンかなんか置いてみたいところですが、恐らくそーゆーのは危険だから敢えて「上部に何も置けないようにしている」のでしょう。
実勢価格が1万500円前後と手軽感があり、カセットガスの手軽さもあり、必要な場所に持っていって使える利便がありつつ、けっこー暖かい「カセットガスストーブ ハイパワータイプ CB-STV-HPR2」。あまり広くない部屋で、時間限定で使うならメインの暖房として都合がいい製品のように思います。
コンパクトに暖を取れるポータブルストーブ
続いて「カセットガスストーブ CB-STV-EX2」。小型軽量で持ち運びが簡単な補助暖房という感じのストーブですな。
スペックは、サイズが幅31.1×奥行き20.8×高さ29.9cmで、質量は約2.6kg(カセットガス含まず)。最大発熱量は1.0kW(900kcal/h)。ガス消費量は1時間に約76gで、連続燃焼時間は約3時間20分(気温20~25度のとき)。燃料はイワタニカセットガスが使えます。
使用感ですが、前出2機種と比べると、暖かさはワンランク落ちる感じです。が、連続燃焼時間は約3時間20分と長くなっています。「暖かさがワンランク落ちる」とは言っても、たとえば電気式の足元ストーブあたりと比べると「こっちのほーがずーっと暖かい」という印象。ガスストーブとしては、セラミックバーナーが赤熱して熱を放射するタイプです。見た目も温もりがあってイイ感じ。
ワタクシの場合、仕事場にお客さまがあるとき使ったりしています。いつもはわりと寒い仕事場で、足元ストーブ+ダウンベストだけで過ごしていますが、来客にとっては「ヤケに寒い部屋」かもしれません。そういうときにこの小型ストーブを使うと、手軽&コンパクトに扱えるわりには「このストーブあったかいですね~」と好評だったりします。
なお、燃焼音は小さく「コーッ」とガスが出る音がする程度で、かなり静かです。セラミックバーナーが赤熱する風情もあります。冬の晩に独りでしんみりと呑むようなシチュエーションにもマッチすると思います。
てな感じで、メインには使えない感じの「カセットガスストーブ CB-STV-EX2」ですが、寒さにおける隙間需要をことごとく埋めてくれる「じつはツカエル補助暖房器具」になってくれます。こういう機種、1台あるといいかもしれませんな。
屋外専用「お一人様向け」カセットストーブ
最後に「カセットガスアウトドアヒーター CB-ODH-1」。製品名どおり屋外専用のストーブです。
スペックは、サイズが幅25.8×奥行き20.8×高さ29.4cmで、質量は約2.1kg(カセットガス含まず)。最大発熱量が1.0kW(850kcal/h)。ガス消費量は1時間に約72gで、連続燃焼時間は約3時間28分(気温20~25度のとき)。燃料はイワタニカセットガスのほか、イワタニカセットガスパワーゴールドとイワタニカセットガスジュニアも使えます。イワタニのカセットガス(CB缶)全種に対応ってわけですな。
使用感ですが、ストーブの真正面ならバッチリ暖かいという感じです。冷えた手をかざすと手に強い熱が感じられ、屋外でもシッカリと暖を取れます。ただ、真正面以外にはほとんど熱が放たれない感じ。また、そのサイズからしても、実質「お一人様専用」のアウトドアストーブというイメージです。
それと、カラダ全体を暖めるほど広範囲には放熱しませんので、アウトドアで防寒着を着た上で、「顔と手を暖める」とか「お腹から胸あたりを暖める」とか「足元を暖める」といった使い方になると思います。「このストーブがあるからアウトドアにわりと薄着で出かけれられる」というわけではありません。
点火すると間もなくバーナー部が赤熱して熱が放たれますので、「今すぐ暖を取りたい!」を叶えてくれます。ただし、燃焼音はややウルサめで「ヴォォォォー」という音が出続けます。キャンプや登山で使われる調理用バーナーで出力を高めたときのような燃焼音ですな。
ワタクシの場合、外見および色に惹かれて買ったんですけど、じつのところあまり使っていません。ハイキングなどに持ち歩くほど軽くも小さくもないので、庭先くらいの距離に持ち出せる程度。クルマなら現地まで持って行けますが、そうしてまで使うほど「寒い外にじっと居続けるようなコトをする機会」があまりないからです。
でもオートキャンプとか、同じ場所で続ける釣りとか、あるいは野鳥撮影などで一箇所に居続けての屋外撮影とか、寒い中での食事とか、そういう状況にはよく向くと思います。先日、敢えて真冬の河原でコーヒーを淹れて飲んでみたんですが、そのときにこのストーブをアルミテーブルの上に置き、顔を中心とした上半身を暖めたら、ホッカホカ。風が吹いていても暖かいです、このストーブ。冬空の下、美味しく暖かくコーヒーをいただけました。
てな感じのイワタニ製カセットガス式暖房器具×4機種。長時間使い続けるにはカセットガスの本数が必要になりますが、コードレスっていうかホースレスでもちろん電源も不要なので、これまで暖房器具を使えなかった場所でも気軽に暖を取れます。「あの状況、いつも寒くてツライ」てなシチュエーションがあるなら、ぜひこれらのモバイル暖房器具をチェックしてみてください。