スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

AAC/apt-X対応Bluetoothスピーカー3機種を試す

AAC/apt-X対応Bluetoothスピーカー3機種を試す

 今回のネタはAAC/apt-Xに対応したBluetoothスピーカー。気軽に置けるサイズで、Bluetooth対応音楽プレーヤーと手軽にワイヤレス接続して使えるアクティブスピーカーを3機種集めてみた。

 具体的には、ロジテックの「セパレートBTスピーカー LBT-AVSP500」「Bluetooth3.0対応高音質ウッドボディスピーカー LBT-AVSP3000」、それからJ-Forceの「Bluetoothコンパクトスピーカー BeCool」である。

左から、ロジテックの「セパレートBTスピーカー LBT-AVSP500」、ロジテックの「Bluetooth3.0対応高音質ウッドボディスピーカー LBT-AVSP3000」、J-Forceの「Bluetoothコンパクトスピーカー BeCool」。どれもコンパクトなスピーカーだ

 これらのスピーカーに興味を持ったのは、作業中などに手軽に音楽を楽しみたいから。BGMですな。たとえば片付けとか何かのメンテナンスとか、頻繁には行かない場所でときどき長時間作業をする必要が出たときに、そこにスピーカーを置いてBGMを流したいと考えたのだ。

 小型のBluetoothスピーカーなら、そういう場所に置き、電源さえ確保できればワイヤレスで使える。AACやapt-Xといったコーデックに対応していれば、SBCのみに対応した従来型のBluetoothスピーカーよりも高音質で聴ける。なお、AACやapt-X、SBCといったコーデックについてはこちら

 しかし一瞬、「ワイヤレスで手軽に音楽ならAirPlay」という考えが頭をよぎった。AirPlayを使って、たとえばAirMac Expressとアクティブスピーカーを光接続して音楽を流せば、AAC/apt-X対応Bluetoothスピーカーよりずーっとイイ音で聴けるハズ。

 なのだが、頻繁には行かない場所にAirMac Expressを設置するのもなあ、と。また、そういう場所がWi-Fiのエリア内とは限らない、とも。臨時的&BGM的に使うなら、より手軽なBluetoothでいいや~♪ となったわけですな。さておき以降、これら3機種のAAC/apt-X対応Bluetoothスピーカーの機能や使用感について見ていきたい。

高音キツめだがまずまずの使用感となったLBT-AVSP500

 まずはロジテックの「セパレートBTスピーカー LBT-AVSP500」。AAC/apt-X対応のBluetoothアクティブスピーカーで、出力は8W+8W。電源は専用ACアダプタで、各ユニットのサイズは幅8×高さ16.6×奥行き12.5cm。ノートPCの脇に置いたりしても違和感のないコンパクトさだ。ネット通販にて5967円で購入した。

ロジテックの「セパレートBTスピーカー LBT-AVSP500」。左右チャンネルがセパレートのアクティブスピーカーで、右チャンネル側下部に操作部がある。電源は専用ACアダプタ
7cm径のスピーカーを搭載し、各チャンネル毎に8Wの出力が得られる。背面には低音を引き出すパッシブラジエーターを装備。外部入力端子もあるので、音源とケーブル接続しても使える

 シンプルなBluetoothスピーカーだが、外部入力端子を1系統持つのが地味に便利。たとえば、いつもはPCとケーブル接続して使い、必要とあらば本体ごと移動してBluetoothスピーカーとして使ったりできる。PCとケーブル接続しっぱなしで、必要時にBluetooth対応音源とワイヤレス接続して音楽を鳴らすといった使い方もありそうだ。

 ちなみに、外部入力とBluetoothは排他利用となる。音源とケーブル接続している場合でも、Bluetooth接続した音源からの音が優先して出力される。

 iPad miniとBluetooth(AAC)接続して試聴した音質は、低音と高音がわりとよく出る、いわゆる「ドンシャリ系」だと感じる。のだが、ちょっと高音がキツめ。なので、ややボリュームを上げた場合は、曲によっては「高音が耳にツラい感じ」になるかも。たとえば電子楽器の鋭い高音が含まれる曲、ドラムのシンバルなど高い金属音が強く響く曲とかですな。

 しかし、アコースティック系サウンドはおおむね気持ちよく聴ける。ジャズとか聴くと、なんというか適度にタイトに締まった音質となり、スピード感が増してイイ感じ。アコースティックギターのソロなんかもキレイに鳴る。

 てな感じで、率直なところ、音質的にはけっこー特徴……っていうかクセがある感じ。ただ、PCのアラート音などが「耳によく届く音質」とも感じる。小さい音でもアラート音などがハッキリ聞こえるので、PC用スピーカーとして使うには都合がいいような気がする。ゲームの微細な環境音なんかもよく聞こえますな。

 前述のとおり、5967円で購入したのだが、Bluetoothの手軽さ~AAC/apt-X対応である点、まずまず納得できる音質を考えると、満足度は高い。個人的にスピーカーカバー(サランネット)が取り外せないのが残念だが、「そこそこ鳴るBluetoothスピーカーを試しに使ってみたい」という人にはわりとオススメできそうだ。

音はイイ♪ が、微妙に難アリのLBT-AVSP3000

 続いて、ロジテックの「Bluetooth3.0対応高音質ウッドボディスピーカー LBT-AVSP3000」。これもAAC/apt-X対応のBluetoothアクティブスピーカーで、出力は5W+5W。電源は専用ACアダプタで、各ユニットのサイズは幅10.1×高さ18×奥行き11cm。エンクロージャーはMDF材で木目調。ミニサイズのかわいいブックシェルフスピーカーという印象ですな。ネット通販にて7956円で購入した。

ロジテックの「Bluetooth3.0対応高音質ウッドボディスピーカー LBT-AVSP3000」。左右チャンネルがセパレートのアクティブスピーカーで、右チャンネル側上面手前に操作部がある。電源は専用ACアダプタ
6.35cm径のスピーカーを搭載し、各チャンネル5Wの出力が得られる。MDF材で木目調のエンクロージャー背面にリアダクトを持つバスレフ型スピーカーだ。外部入力端子を持ち、PCなどとのUSB接続にも対応する

 Bluetoothスピーカーとして使えるほか、外部入力端子やUSB端子も備えている。ので、音源とケーブル接続しても使えるし、PCとUSB接続すればPCからの音を高音質で出力できる。どの音源からの音を出すかは、スイッチによる切り替え式。もちろん排他利用となるわけだが、スイッチ切り替え式は単純明快でわかりやすい。

 iPad miniとBluetooth(AAC)接続して試聴した音質は、全体的に自然でバランスの良い音質だと感じた。少々高音域のきめ細かさが足りないような印象もあるのだが、この価格帯のスピーカーとは思えないレベルの音質かもしれない。音楽的な鳴り方というのだろうか、心地良く飽きさせない音質だと感じる。どんなジャンルの音楽を聴いてもだいたいイイ感じという点で好印象。小さいのに良く鳴るネ♪ てな感じだ。

 前述のとおり7956円で購入したが、この価格帯でのAAC/apt-X対応のBluetoothアクティブスピーカーとしては、機能性~汎用性、それから音質を考えても、もしかしたらトップクラスの製品かもしれない。品質的にも価格的にも、わりと多くの人にオススメできる。

 が、残念な点が。恐らくiOS側の問題だと思うが、iOS 6.1.3搭載のiPad miniで使った場合、途中でiPad miniからの音が出なくなってしまう。スピーカー側の電源をオンオフすれば出るようになるが、またしばらくして曲が変わったタイミングで出なくなってしまう。曲送りなどの操作をすると、すぐ出なくなることもある。

 Android端末とかだとこういう問題も出ないみたいなんですけどネ。ちなみに、前述の「セパレートBTスピーカー LBT-AVSP500」でもこういった問題は出ていない。LBT-AVSP3000とiOS(の新しめのバージョン)の相性問題なのだろうか? LBT-AVSP3000、音がイイのに残念。iOS端末ユーザーでLBT-AVSP3000の購入を考えているなら、購入前にBluetooth接続~試用をするのが吉だと思う。

いろいろユニークなBeCool

 最後に、J-Forceの「Bluetoothコンパクトスピーカー BeCool」。これは充電式のポータブルBluetoothスピーカーで、AAC/apt-Xに対応し、内蔵リチウムイオン電池で連続10時間再生が可能。手のひらサイズ(幅11.8×高さ5.5×奥行き10.8cm/230g)だが、2つ(ステレオ)のスピーカーを内蔵しており、出力は3W+3W。

 コレって、もしかしたら出張時に持ち出すスピーカーとしてイイかもしんない!! と思ってメーカーから借りてみた。フォースメディアダイレクト価格は8800円。

J-Forceの「Bluetoothコンパクトスピーカー BeCool」。ツルリとした貝のようなデザインの充電式Bluetoothスピーカーで、外部入力端子もある。USB充電に対応
電源を入れると上部にタッチ操作のための赤い表示が浮かび上がる。行えるタッチ操作は右の図のとおり。

 外観もユニークだが、タッチによる操作感もユニーク。ただ、タッチ操作への反応はやや鋭敏さに欠ける感じで、スマートフォンのように素早いタッチに対しては反応しにくい。気持ち長めにタッチし続ける感覚で使う。マルチタッチでの曲の送り戻しなども同様、ややゆっくりとタッチ操作する感じ。慣れるとスムーズに操作できるようになる。
 音質は、手のひらサイズながら、なかなかのもの。意外に低音が出ているし、ボーカル域も高音もけっこーしっかり出ている。その形状からか、本体を置く位置により音質的印象がかなり変わり、たとえば机上に置くとやや籠もったような音になるが、何か台の上に乗せて耳の高さまで上げるとそのサイズからはちょっと想像できないハリのある音になったりする。

 ユニークではあるものの個人的に残念と感じたのは、独自の音声ガイド機能。女性の声(英語)でスピーカーの状態を案内する機能で、たとえばペアリング相手を探している状態だと「Discovering」と発音し、Bluetooth接続が完了すると「Your device is connected」、電源をオフにすると「Good bye」などと言う。

 この機能自体は便利だし違和感はないと感じるのだが、発音の声が「妙に大きい」のだ。ちょっとうるさいレベルかもしれない。説明書(←PDFです)を読んでも、この案内音声をオフにしたりボリュームを調節したりする方法はわからなかったが、そういうコト自体ができないのかも。読み上げ音声さえもっと小さければ……と、残念に思う。

 ほかはイイ感じ。常時携帯にはちょいと大きいが、10時間連続再生可能でUSB充電対応なので、出張のお伴や出先での使用には良さそうだ。

 てな感じのAAC/apt-X対応Bluetoothスピーカー3機種。AAC/apt-Xの高音質を活かすには、音源側もAAC/apt-Xに対応している必要があるが、やっぱりワイヤレスで音楽聴くのは手軽でイイですな。AAC/apt-X対応Bluetooth機器は現在も徐々に増加中なので、今後も何か良さゲな製品があったら逐一採り上げていきたい。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。