カッコイイ!! ソニーの超薄ICレコーダー「ICD-TX50」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


カッコイイ!! ソニーの超薄ICレコーダー

 ソニーから超薄型のICレコーダー「ICD-TX50」が発表された。その外見および良さげなギミックを見た瞬間強烈な興味が発生!! 触ってみたい!! ってコトでソッコーで実機をお借りしてみた♪

ソニーのステレオICレコーダー「ICD-TX50」。6.4mmの厚さは業界最薄だ。2012年2月13日のソニーストア価格は1万4800円表示部には視認性の高い有機ELディスプレイが使われている。ボディとの区切りはなく、文字が浮かび上がるように現れる本体サイズは幅40.8×高さ102.3×厚み6.4mm。質量は約50g。合皮と思われるスリーブタイプの専用ケースが付属している

 ICD-TX50(以下、TX50)は、最薄部の厚さがわずか6.4mmのステレオICレコーダー。MP3/リニアPCMでの録音が可能。本体背面にクリップを備え、これを利用してスーツやバッグのポケット、手帳などにクリップオンして使うことができる。クリップやシャーシはアルミ製。表示部に有機ELを採用している。

 てな感じのTX50なんだが、細かいコトを抜きにして、製品写真とか見た瞬間「イカシたTX50を使って颯爽とビジネスをキメたい!!」とか「ステキなTX50を手にしてスマートに取材をキメたい!!」などと妄想をキメたのであった。ので、TX50、実際どんなモンなの? と拝借をキメた次第である。

 で、とりあえず触ってみたら、案の定コレがスゲく薄いしカッコイイっていうかスタイリッシュであった。というわけで以降、TX50の触り心地や実使用感などをレポートしてみたい。


4GBのICレコーダーとして普通&高価だが……

 まずはTX50のスペックをザッと。

 TX50はステレオ録音が可能なICレコーダーで、MP3(48/128/192kbps)およびリニアPCM(44.1kHz/16ビット)での録音が可能。メディアとして内蔵メモリ(4GB)のほかmicroSD/SDHCメモリカード(別売)を使える。本体サイズは幅40.8×高さ102.3×奥行き6.4mmで、質量は約50g。表示には有機ELが使われ、マイク部やクリップ部や筐体はアルミ製。

 主な録音機能としては、録音時に状況(胸ポケット/会議/ボイスメモ/インタビューなど)に合わせた音質で録れる「シーンセレクト」や一定以上の音を拾うと自動的に録音を開始する「V.O.R(Voice Operated Recording)」などを備える。

 再生に関しては、声以外のノイズを低減する「クリアボイス」、音程を変えずに再生スピードのみ変えられる「デジタルピッチコントロール」、再生開始箇所を複数設定できる「トラックマーク」などが使える。また、MP3を始めとする各種音楽ファイル再生やPodcast(ポッドキャスト)再生にも対応する。

 なお、電源は内蔵リチウムイオンバッテリーで、USB充電が可能だ。またこの内蔵バッテリーで最長約24時間使用可能。USB充電しながらでも使用できる。それとこの内蔵バッテリー、電池が切れても「約3分充電すれば約1時間の録音が可能」だそうだ。急に録音の必要が出たときでも慌てずに録音の準備ができますな。

TX50の外観。本体上部にマイク、有機EL表示部、録音/録音停止ボタンがあり、下部にはスピーカーがある。マイク部(上部)と裏面のクリップ部および内部(背面)のシャーシはアルミ製で、表面の黒い部分は樹脂製。落ち着いた高級感がある。非常に薄い本体だが剛性感は十分。ただし表面の黒い部分は光沢があり、指紋が付着しやすい


本体上部に傾斜したマイク部がある。マイク部が傾斜しているのは、本体前面を手前にして胸ポケットにクリップ止めしたとき、マイクをやや前方に向かせるためだ。本体左側には電源スイッチ、microSD/SDHCスロット、ヘッドホンジャックがある。本体右側には録音/録音停止ボタン以外の操作ボタン類、USBポート、ストラップホールがある


主な付属品は、キャリングポーチ、防振アタッチメント、パソコン用ソフトウェア「Sound Organizer」(CD-ROM)のほか、ステレオヘッドホン、USBケーブルなども含まれる。

 TX50の第一印象としては、ICレコーダーのスペックという側面ではわりとフツー。後述のSound Organizerと組み合わせて使うとまた違った印象にもなってくるが、内蔵メモリ容量4GBのICレコーダーとしては割高感がけっこーある。

 しかし、携帯するガジェットとしてはかなり好印象。本体は滑らかな手触りで、ICレコーダーのイメージを覆す高級感がある。また、アルミシャーシによる剛性感は意外なほど高い。有機ELの緻密な表示とあわせて、なんかこーソニー製品独特の密度感が心地よい。

 後述するが、使用感も「もしかしたら小さすぎて使いにくい?」という予測をチョイチョイ裏切ってくれた。「触っちゃうと欲しくなっちゃうハードウェア」の類かもしんない。ナイスな手触りなので、ぜひ一度実機に触れてみてほしい。


全体的にスマートに使えるTX50

 TX50を実際に使った印象だが、まず携帯性が非常に高い。幅40.8×高さ102.3×奥行き6.4mmで質量約50gの小さな板って感じなので、持ち歩いたときの感覚はライターやガムといった携行品に近い。ポケットティッシュ……よりずっと嵩張り感が少ない。上着の内ポケットにクリップ止めしての携行も現実的だと思う。

 また、前述のように本体に十分な剛性がある。本体をスッポリ収納できるスリーブ(ポーチ)も付属するので、バッグのなかに「突っ込んでの携行」もわりと安心できる。

 持ち歩いて使うという点で一点気になったのは、電源が内蔵リチウムイオンバッテリーだということ。要は電池式ではないので、電池切れのときにコンビニで電池購入といった対策が取れない。

 のだが、最長24時間使えるスタミナ性能があるほか、一般的なUSB給電可能なモバイルバッテリーからの充電も行えた(手持ち品各種とPCのUSBポート)。TX50側のUSB端子はMicro-B。本体といっしょに付属USBケーブル(か同等品)を携行すれば、充電や予備のためのバッテリーは幅広く選択肢がある。

 また前述のとおり、TX50は「約3分の充電で約1時間の録音ができる急速充電に対応」している。ので、出先でTX50の電池が切れてどうにもならないというシチュエーションも考えにくい。心情的には単4型電池対応のほうが安心感が高いが、実使用感としてはTX50の仕様からくる電源面での不安はほとんどない。

本体の剛性が高いので、ややラフに扱っても不安感がない。写真は、付属ポーチに入れたTX50と常用の手帳をゴムコードで束ねての携行スタイルTX50は、約3分の充電で約1時間の録音ができる急速充電に対応している。一般的なUSBバッテリー(写真はサンヨーKBC-E1)からでも充電できたよく使うFILCO FPS440K。もちろんTX50を充電可能。スマホ用モバイルバッテリーとMicro-B対応のUSBケーブルを携帯すれば電池問題はナシだ

 TX50、いろいろな点でイイ感じなので、試用中に「マジでTX50買おうかナ」と思った。前述の携帯性の良さも理由のひとつだが、薄いことからくる利便、それから本体背面のクリップの実用性の高さに背中を押され中である。

 具体的には、たとえばメモに書き留めつつ音も録るようなとき。TX50は薄くて軽いので、メモパッドといっしょに片手で持てちゃうんですな。あるいはカバー付きメモ帳などのカバー部にクリップ留めできること。やはり不安無くICレコーダーを使いつつのメモ書きができる。

このようにメモ帳とTX50を束ねるようにして片手で持ち、録りながら書けるクリップでメモ帳のカバーに装着可能だ。使用時はTX50がカバーの下にくる付属の防振アタッチメント。TX50を机上に直置きする場合に使う防振ゴムだ
TX50に付属の防振アタッチメントを装着したところ。取り付けは押し込むだけで容易。不意には落ちにくい感じ防振アタッチメントにより机の振動などからくるノイズを低減できる。滑り止め効果もあったりしてプチ便利だポーチの上に置けばさらにノイズを減らせるだろう。てか最初からポーチの上にTX50全体を置けばいい、のかな?

 正直言うと「もうちょっとクリップの口が大きく開いてくれたら、TX50をさらにいろいろな箇所にクリップ留めできるのに」という小さな不満はある。が、薄い&クリップ留めしても使えるというだけで現状かなり満足度が高い。スマートにICレコーダーを扱えるので、取材時などの大げさ感ダウンでありスムーズ感アップと言えよう。

 それと音質についてだが、試用期間が短かったため精査できなかったんでありスイマセン。しかしザッと使った範囲では、会話などを録音するためのICレコーダーとしては十分高音質だと感じた。リニアPCM録音も可能なので、ちょっとしたサウンド素材録音~演奏のとりあえず録音などにも向くと思う。ただ、サウンド素材だとか演奏録りのためにTX50を買うというのは、たとえば録音レベルの微調整などはできない(マイク感度設定やシーン設定で工夫するしかない)ので、ちょっとキビシイかもしれない。


操作感とPC連携

 TX50試用開始直後「コレってどーなの?」的な疑問があった。操作ボタン類である。録音/録音停止/ポーズは本体前面上部のボタンで行えるので違和感はないが、ほかのほとんどのボタン類が本体右側面に集まっている。ぶっちゃけ、米粒大というかゴマ粒大のボタンが操作性を下げているのではないか? 的な。

 TX50は意外に多機能で、録った音声ファイルをフォルダー毎に分類したり、フォルダ名変更ができたり、音声の複数箇所にしおり的なマーク(トラックマーク)を入れられたり、音声ファイルの分割や消去ができたり、あるいは音楽ファイル再生やPodcast再生ができたり、再生時のエフェクトを選べたりなんかもする。で、「そそそそれら各種機能を、ここここんなに小さいボタンで使うのか?」と不安になったというわけだ。

 この点、俺的結論から言えば、大きな問題にはならなかった。結局、ファイル分割とかフォルダー分けなどの細かな操作は、TX50をPCとUSB接続してSound Organizerソフトウェア(後述)で行うのがベストだと思う。無理してTX50上でやるようなことじゃない気が。

TX50の操作ボタン類は本体前面と本体右側面に集中している。本体右側面のボタン類は非常に小さい右側面のボタン類は非常に小さいものの、左手(の指)でならまあまあ操作できる。慣れちゃいますな右手でTX50を持って片手で操作するとなると、側面のボタン類は親指で押すことに。小さくて無理~

 ボタン自体の小ささだが、両手で操作するぶんにはさほど問題ない。また、ある程度慣れれば、左手だけでの保持・操作も現実的。使用時、一瞬本体右側ボタン類に目をやる程度で、あとは左手指先の感覚で使える。

 TX50は多機能だが、頻繁に機能設定/変更するわけでもない。通常は録音と再生、ファイル選択を行う程度なので、本体前面の録音/録音停止ボタンおよび本体右側面の再生ボタンとその両脇の2つのボタンを使うことになる。ので、思ったほど、ボタンの小ささが操作性を悪くしているという印象にはならなかった。

 ただ、右手だけでの保持・操作はかなり無理気味。右手で録音と停止を行うのはフツーに快適だが、それ以外のボタン操作はチョ~やりにくい。個人的には「TX50は左手専用ハードウェアだ」と言いたくなるほどである。

 あとツイデに有機EL。俺的には非常に見やすいしイカシた表示パネルだと思うんだが、視力が低めの人にとってはキビシい表示かもしれない。文字自体が非常に小さいのだ。鮮明ではあるがサイズが小さいので、視認性が高いかどうかは視力などによる。ので、やはりこの点は実機に触れ確かめてほしい。

 最後にPC連携を。

 知らなかったんスけど、最近のソニー製ICレコーダーやICレコーダー内蔵ラジオは、同社の「Sound Organizer (サウンド オーガナイザー)」ソフトウェアを使うことで容易にPCと連携利用ができるんですな。で、使ってみたらコレがなかなか便利。

 Sound OrganizerとTX50を組みあせて使うと、たとえばTX50→PCへのファイル転送を自動で行えたり、PC上の音楽ファイルやPodcastファイルをサクッとTX50に転送できたり、録った音声の編集なども行える。また、いわゆる「テープ起こし」に便利な機能も備えている。

Sound Organizerの表示例。ソニー製ICレコーダーを容易にPCと連携利用できるようにするソフトだ。非常に使いやすいと感じたPCにTX50をUSB接続した様子。初期設定では、TX50上の音声ファイルが自動的にPCへと転送される。もちろんフォルダごとですなUSB接続中はTX50内の音声ファイルを再生できる。ピッチを変えず再生速度だけ変えての再生や、ノイズを低減しての再生も可能


TX50上の音声ファイルを分割するなど、編集することもできる。もちろん、PC側に取り込んだ音声ファイルの再生や加工も行えるTX50上の音声ファイルにしおり(トラックマーク)を付加することもできる。もちろん既にあるトラックマークを消すこともできるPC上のMP3ファイルをTX50に転送したところ。TX50上ではMP3ファイルのIDタグも問題無く表示された。マトモ感の高い連携ですな


無料で提供されているビジネス系PodcastをTX50で使うのも現実的だ。携帯性の高い端末で通勤通学時に英語の勉強とかイイかもいくつかの機能は「かんたん操作ガイド」により動画入りのウィザードで使っていける。非常にわかりやすい説明が好印象であるSound OrganizerからTX50の細かな設定を行うことも。非常にスムーズに設定していけるので、TX50の機能設定はPCから行うべし

 Sound Organizerを使えば、TX50上の音声ファイルをPCへ自動転送でき、音声ファイルの管理や編集も容易に行える。また、わざわざTX50の小さなボタンを使って細かなファイル操作や機能設定を行う必要もなくなる。ソニー製ICレコーダーの利用幅をさらに広げてくれる使いやすいソフトだと感じた。

 以上、TX50の機能や使用感を駆け足で見てきたが、俺的にはかな~り好印象。側面のボタンの小ささだけ、やはり「もっと大きければより良い」とは思うものの、かな~りカッコイイし、スマート&スムーズに利用できるし、Sound Organizerという利便もあって魅力多々。次買うならコレ、みたいな気分になった次第である。


2012/2/13 06:00