iPhoneに市販のコンバージョンレンズを装着!! 「TurtleJacket for iPhone 4」

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


iPhoneに市販のコンバージョンレンズを装着!!

 年明け、愛用中のiPhone 4Sにケータイ用広角レンズを付けて遊んでいたとき、ふと、こう思った。「iPhoneとかに市販のコンバージョンレンズを付けたいなあ」。で、そーゆーコトができるモノはないかと探したら、アッサリと発見。日本国内ではフォーカルポイントコンピュータが販売しているTurtleJacket for iPhone 4である。

iPhone 4用アルミ製ジャケットの「TurtleJacket for iPhone 4」。カメラ部に37mm径のスクリューマウントがある。フォーカルストア価格は1万6800円画面側の様子。画面の左右と上部は少し出っぱった額縁状態になる。この出っ張りによって、画面を下にして机上などに置いても画面が保護されますなDockコネクタ側はやや厚く自立させることもできる。ジャケットのDockコネクタ側とサイドボリュームスイッチ側には三脚取り付け用のネジ穴もある

 TurtleJacket for iPhone 4は「iPhoneでカメラ撮影を楽しむ“iPhonegrapher”のために生まれたiPhone 4ケース」だ。黒塗装のアルミ製ジャケットで、iPhone 4を強固に包み込むと同時に、カメラ部に空いた37mm径のレンズマウントに市販のコンバージョンレンズ類を装着できる。ちなみにコレ、2011年2月上旬に発売済みで、フォーカルストア価格は1万6800円。

 コンバージョンレンズは、カメラやビデオカメラを作るメーカーやサードパーティーから非常に多く発売されている「カメラなどのレンズの先端に装着する後付けのレンズ」ですな。たとえばワイドコンバージョンレンズを使えば、これまでより広い視野を画面内に収められる。テレコンバージョンレンズを使えば、遠くの被写体をグッと引き寄せて撮影できる。

 こういったコンバージョンレンズ、フツーはカメラなどのレンズの先端周囲にある「フィルター取り付け用のメスネジ部」に装着する。ので、コンバージョンレンズ側のオスネジ径は各種用意されていたり、径変換のためのステップリングが売られている。

市販のコンバージョンレンズいろいろ。ネジ径が37mmのものなら、そのままTurtleJacket for iPhone 4に装着できるTurtleJacket for iPhone 4を使ってiPhone 4に市販のコンバージョンレンズを取り付けた様子。なんか凄い迫力に!!ネジ径が合わないコンバージョンレンズでも、ステップリングを使えば装着可能。実質、ほとんどのレンズ類を使える

 そして、コンバージョンレンズのネジ径が37mmのものなら、TurtleJacket for iPhone 4に装着できる。つまり市販の各種コンバージョンレンズをiPhone 4で使えるようになるというわけだ。

 これはすニャらしい!! 買うしか!! ポチ……ああっ!! フォーカルポイントの製品紹介ページでは、ナゼか「iPhone 4、iPhone 4Sのホワイトモデルには対応しておりません」の断り書きがあり、対応機種はiPhone 4/4Sのブラックモデルのみとなっている。残念。でも非常に気になるアイテムなので拝借して試してみることにした。


シンプルで頑丈なアルミケース

 TurtleJacket for iPhone 4(以下、TJ)は、前述のとおり黒塗りのアルミ製iPhone 4/4S用ジャケット。パッと見も手に持った感じも、かなり精密感のある作りだ。一種の高級感もある。iPhoneへの装着方法は単純明快。2分割のジャケットでiPhoneを包み込んでネジ止め(コインでも止められる)する程度だ。なお、使用前にジャケット内3箇所に付属のプロテクター(緩衝材)シールを貼り付ける必要がある。

本体は2分割式。iPhoneのカメラレンズ保護用のUVフィルター(37mm径)も付属する。ほか、プロテクターシールや説明書なども付属2つのパーツでiPhoneを包むようにセット。セット後、コインなどでネジを締めればiPhoneがアルミジャケットで強固に保護される付属の37mm径UVフィルターをセットすれば、iPhoneのカメラレンズを保護できる。ココに偏光フィルターを付けるのもおもしろそう
TJに入れた状態でもiPhoneの各種ボタンやコネクタにはアクセスできる。ドックコネクタやスピーカーも露出した状態になっているTJには2つの三脚取り付け用ネジ穴がある。縦位置でも横位置でもiPhoneを三脚にセットできる。カーマウントにも応用が利きそう三脚にセットした状態。安定感は三脚次第だが、TJ本体と雲台は安定して固定できる。各種写真機材へのiPhoneのセットも現実的だ

 てな感じでiPhoneと合体するTJ。写真にはないが、ケータイ用ストラップをギリギリ通せる程度のストラップホールも2つある。これを巧く利用すれば、ストラップを使ってTJを横位置で首から下げるようなこともできるだろう。

 俺的印象では、常用のiPhoneケースとしても良いように思う。ただし、UVフィルターの上にさらにレンズキャップを装着したくなるってのはある。フィルター上に指紋が付くこともあるのだが、フィルターの薄いガラスがポケットの中でもし割れたら? てなことを考えてしまうからだ。

 ただ、実際にTJのサイズと質量を知ると「常用ジャケットとしてはちょっと……」と感じるかもしれない。TJのサイズ(縦置き時)は幅約63.5×高さ約129×厚み約22mm(最厚部)で、重量は約120g。サイズ感としては、iPhoneが部分的に厚くなってちょっと出っ張り(レンズマウント部)が追加された程度なので、まあ持ち歩ける気がする。しかし、いつものiPhoneが120gも重くなる点。これが大きな違和感となる人は少なくなさそうだ。

 あ。あとこのジャケット、素手で持ってると、この季節はとても手が冷えるんであった。マジ寒。冷却効果発揮し過ぎ、的な。


37mmスクリューマウントで広がる世界

 TJを使ってみてイイのは、やはり37mmのスクリューマウント式レンズを取り付けられること。たとえば有名なところではレイノックス。じつに多種多様なコンバージョンレンズが発売されている。そのネジ径が37mmのコンバージョンレンズなら、TJと組み合わせて使うことができる。

 以下、TJ用としてフォーカルポイントから発売されているレンズを含め、どんなふーに「iPhoneでの写りが変わるのか」をちょいと見てみよう。

TJ向け広角レンズ「TB-01201」。0.45倍の広角撮影ができるワイドコンバージョンレンズで、フォーカルストア価格は6980円。左がiPhone単体での撮影結果、右がコンバージョンレンズと併用しての撮影結果だ(以下同様)。なおこのレンズ、レンズの前方を取り外すと最短距離3cmでの接写(マクロ撮影)が可能になる
TJ向け望遠レンズ「TB-01225」。2倍の望遠撮影ができるテレコンバージョンレンズだ。フォーカルストア価格は6980円。
レイノックスの「HD-3035PRO」。0.3倍の広角撮影ができるセミフィッシュアイコンバージョンレンズだ。iPhoneのワイド側いっぱいだと四隅が少しケラレる(黒い影が出る)。少しズームアップして撮影するか、撮影後にトリミングすれば、ケラレを解消できかつ十二分なワイド感を持った写真が得られる
イザワオプトの魚眼コンバージョンレンズ「IDF-3」。37mm径でなく、そのままではTJにセットできないスクリューマウント径が違う場合、このようなステップリングを使えば径を自由に調節して使えようになるコンバージョンレンズにステップリングを装着した様子。フォーカルストアにも各種ステップリングがある。
無事、魚眼コンバージョンレンズ「IDF-3」をTJにセットできた。185度の画角がある魚眼コンバージョンレンズなので、このように丸い映像が得られる。

 てな感じになる。ちなみに、TJ使用時、付属UVフィルターやコンバージョンレンズを装着している場合、iPhoneの内蔵フラッシュは使用できない。フラッシュ自体は機能するが、反射光が入り込んだ残念な写真となってしまう。

 さておき、コンバージョンレンズは上記以外にも数え切れないくらい多数ある。またスクリューマウント径変換アダプタであるステップリングも各種売られている。ので、TJを使うことにより、イッキナリ、iPhoneの描写の多様性がンズガーン!! と高まり広がり強まるというわけだ。

 ただし、市販の全ての37mm径コンバージョンレンズを「TJと良好に組み合わせられるとは限らない」。37mm径コンバージョンレンズなら「TJにセットはできるが、問題が出るかもしれない」とも言えよう。

 TJの場合、付属UVフィルターの上からコンバージョンレンズをセットする。このとき、コンバージョンレンズの後玉(レンズ後方にあるフィルターと向き合う部分レンズ)が出っぱっていると、フィルターと干渉して傷が入るかも知れない。フィルターが歪むかもしれない。割れるかも。などと、試してみないとわからない「相性問題」があるのだ。この場合はTJとレンズの間に37mm-37mmのステップリングを入れレンズ干渉が起きないようにするなどの工夫が必要になる。

 あるいは、上記のサンプル写真にもあるように、画面四隅がケラレることも少なくない。やや高倍率の望遠のコンバージョンレンズでは、iPhoneのデジタルズーム機能を使わないと、やはり周囲が大きくケラレたりする。

 TJは基本的に「iPhoneに37mmスクリューマウントを追加してくれて三脚にもセットできるハードケース」ってわけですな。その先のコト、たとえばTJ向けとして発売されいるわけではないコンバージョンレンズを使って起きたトラブルは、ユーザーの自己責任ですヨ的な製品。多少のチャレンジャー精神が必要だが、しかし、「iPhoneに37mmスクリューマウント&三脚穴」ってだけで、そーとー夢が広がると思う。


iPhone 4/4Sホワイト非対応の件

 冒頭にて書いたとおり「TJの対応機種はiPhone 4/4Sのブラックモデルのみ」となっている。以前にiPhone 4のブラックモデルとホワイトモデルでは厚みが違うというウワサが流れたが、もしかしてソレ関連? と考え、手持ちのiPhone 4ブラックとiPhone 4Sホワイトをノギスで測ってみた。ら、両方とも厚み/幅とも同じだった。じゃあTJにiPhone 4Sホワイト入るハズじゃん!!

 というわけで実際にTJにiPhone 4Sホワイトを入れてみた。すると、入ってしまった。その後何度かTJにおけるiPhone 4ブラックとiPhone 4Sホワイトの「入れ心地」や「装着感」などを比べてみると、iPhone 4Sホワイトの場合だけ「TJに挿入するとき若干抵抗がある」が、ほかに差は感じられなかった。

 やはりTJがiPhone 4Sのホワイトに非対応である点はヒジョーに不可解である。てなわけで、TJのメーカーであるTurtleback社に問い合わせてみたら理由がわかった。

 iPhone 4/4Sのブラックモデルとホワイトモデルでは、厚みも幅も同じだ。が、液晶画面を覆っている樹脂パネルの横幅がコンマ数ミリ異なり、ホワイトモデルのほうが幅広になっている。

 TJは、この樹脂パネルとサイドの金属枠の段差を緩く掴むことでジャケット内のiPhoneの位置決めをしている。また、TJはiPhone 4がブラックモデルのみだった頃から作られている。ので、樹脂パネルがブラックモデルよりコンマ数ミリ広いホワイトモデルだと、TJに挿入するときほんの少しきつく感じられるというわけだ。

 試した結果を言えば、フォーカルポイントで売られているTJにiPhone 4Sのホワイトが(入れるときに少しきついものの)入るのであった。ただし、少しきついということは、TJとiPhone 4S ホワイトが強めに擦れているわけで、iPhoneに傷が付く可能性がある。また、この擦れによりTJの塗装がiPhoneに移り、上記樹脂パネル横側が黒く汚れたりもする(実際汚れた)。このあたり、自己責任で判断ですな。無問題でTJを使いたいなら、フォーカルポイントのページにあるようにiPhone 4/4SのブラックモデルのみでTJを利用するのが良いだろう。

 ちなみに、現時点にてフォーカルポイントで売られているTJはiPhone 4/4Sブラックモデルのみに対応するわけだが、メーカー直販のTJはブラックモデルにもホワイトモデルにも対応している。ホワイトモデル/ブラックモデル両対応となるよう「iPhoneの樹脂パネルを緩く掴む部分」に余裕を持たせて製造しているとのことだ。

 さておき、TJ、iPhone 4/4Sで写真/ビデオを撮るにおいて、かな~り楽しめるし実用的なジャケットだと思う。俺の場合は結局TJ買ったんだが、その後、死蔵していたビデオカメラ用のコンバージョンレンズがiPhone用レンズとして続々復活中だし、偏光フィルターを使った撮影を手軽に行えるし、iPhoneを三脚にガッチリとセットできるしで、iPhone 4/4Sで写真を撮りまくりな人には最強クラスの機能UPジャケットだと感じている。


2012/1/23 06:00