クルマ/自転車/徒歩対応ナビ、nav-u NV-U35

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


クルマ/自転車/徒歩対応ナビ、nav-u NV-U35

 ちょいと前に購入したソニーのnav-u(ナブユー) NV-U35。小型で持ち歩きも向くPND(Portable Navigation Device)だが、クルマ以外にも徒歩や自転車での利用も可能というあたりが購入の理由となった。

ソニーのnav-u(ナブユー) NV-U35。2010年6月現在の実勢価格は3万2000円前後だ

 NV-U35は、これまで売られていたNV-U3Cの後継モデル。従来機と比べると、メモリ容量UP(8GB)、クレードルの小型化、本体の防滴化などが施されている。従来機NV-U3Cを屋外で使う場合は「本体が雨・霧、砂じん、強い直射日光などにさらされないように」的な注意が必要だったが、新型となるNV-U35はよりアウトドア向きの仕様となり、そこまで神経質になる必要はなくなった。

 拙者の場合、クルマを使うし、自転車にも乗るし、ときどきウォーキング的なこともする。となると、クルマ/自転車/徒歩に対応したNV-U35は最強に便利なのでは!! そう思って買い、アレコレ試してみたのであった。
 てなわけで以降、NV-U35の各シチュエーションでの使用感などを書いてみたい。

カーナビとしてどうか?

 まずは王道。カーナビとしての利用ですな。

 拙者、これまでにNV-U1NV-U2などのnav-uシリーズを使ったが、そんなヤツがこのNV-U35に抱いた率直な印象としては、「機能はギリギリに削っているが、予想以上に実用的」というものだ。コストパフォーマンス高いニャと思った。

 たとえば画面小さいしVICS関連外付け機器非対応だったりして、コストを抑えている感じ。だが、画面が小さいながらも各種情報が非常に見やすかったり、渋滞を回避しつつのルート探索には内蔵の渋滞統計情報を利用するなど、いろいろな部分に工夫が見られる。ほか、自車位置表示精度も高いし、操作性~操作時の反応も良好だしで、ソコソコ普通に使えるカーナビが必要という程度ならコレでいいんじゃね? てな結論となった。

 具体的には、まず扱いやすさ。ダッシュボードなどへの取り付けは、おなじみの「ピタッと吸盤」を使う。相変わらずの強い吸着力を持ちつつ、小型になっていたり使いやすくなっていたりで、ラクに車内に設置できた。

NV-U35に付属する「ピタッと吸盤」。小型だが吸着力はチョー強い付属の吸盤に本体をセットしたところ。このクレイドル経由で通電すると、自動的にナビモードがクルマモードになる吸盤部は折り畳むとコンパクトに。ナビ本体も薄いので、吸盤とセットでの持ち歩きも容易だ
ダッシュボードのセンターに取り付けたところ。平らな面があればだいたいガッチリと取り付けられる。簡単な構造のクレイドルながらも安定性があり、画面の角度などの調整の自由度も高い
メーターパネルの真上に取り付けてみた。このようなカーブの部分でもけっこーシッカリと吸着する。ナビ本体も軽量なので、ここから落下するような不安も非常に少ないという印象だ。
運転席右側にセットしたところ。ここも平らなので安定感抜群。意外に見やすい位置でもあり、かつ、停車中に右手でチョイと操作しやすい位置なので、拙者はこの位置が好きかも。

 取り付け時の配線は、電源ケーブルのみ。電源は付属のケーブルを使ってクルマのシガーライターソケットから取る。のだが、内蔵バッテリーでも約4時間使えて(通常モード)、さらにスタミナモード(いつもは画面OFFで案内時や操作時は画面ON)では最長約6時間使えるので、場合によっては配線不要で使えそうだ。

 NV-U35の画面は3.5V型。TFTアクティブマトリックス液晶を採用し、解像度は320×240ピクセルで、タッチパネルとして機能する。カーナビの画面としては「小さいし荒い」という印象につながりそーなスペックだが、実際は案外見やすくて解像度の低さなども気にならない。

メニューは大きめでタッチしやすく視認性も高い。タッチ操作の反応も軽快で良好ルート案内はシンプルだが、進むべきレーンなどもちゃんと表示され、大きな不満はない交差点などではどう進むかを自動的に拡大表示などする。フツーに今時的なカーナビって感じ
地図の縮尺は25m~800kmの17段階で変えられる。写真は25mスケール50mスケール100mスケール
200mスケール300mスケール500mスケール
1kmスケール2kmスケール3kmスケール
5kmスケール10kmスケール20kmスケール。さらに、50km、100km、200km、400km、800kmまでのスケールで表示できる。スケールの切り替えも高速で快適だ

 GPSマップを使えて目的地までナビゲートしてくれるというコトでは、まあ必要最小限な感じのNV-U35。だが、十分に実用的だと感じられるし、目的地まで大きな問題なく案内してくれる。フツーに使えるカーナビですな。

 また、この世代のnav-uだからか、以前のnav-uよりもドライバーが迷いにくいような印象がある。たとえば表示のわかりやすさ。下の写真のように、案内標識や道の交差などを直感的に把握できるような表示がなされる。リルートなども十分高速で、ドライバーを待たせるという印象はあまりない。

ナビゲーション中、交差点での左折案内時の表示。拡大表示も加わってわかりやすい道に案内標識がある場合には、ソレと超ソックリなグラフィックが現れて道順を示したりする。この表示が非常に理解しやすくてナイス高速道路にて出るべき出口などは、このようにグラフィック表示され、直感的に理解できる

 でも、取り付け工事必須な感じの高級カーナビなんかと比べちゃうと、たとえば高級機ならさまざまな情報収集系機能を活用できたりして先進的。そういった機種からすればNV-U35の案内も少し大雑把だったりする───たとえば側道に入って(橋などへ上らずに)その先を右折するケースなどで、NV-U35だと「○○メートル先を右折です」的に、単に右折だけを指示することがある。一方パイオニアのカロッツェリアサイバーナビとかだと、まず側道に入ることを指示し、次いで右折を指示する。案内のきめ細かさが違うわけですな。

 とは言っても、ほとんどのケースで十分に実用的なナビゲーションを行ってくれるNV-U35。3万2000円前後の実勢価格で、この扱いやすさとナビとしての実用性があるのは、やはり高コストパフォーマンスだと感じられる。

自転車ナビとしてはどうか?

 次に自転車での使用。サイクリングするルートをNV-U35にナビゲートしてもらおう!! てな使い方ですな。

 自転車で使うには、まあフツー、ナビを自転車のハンドルなどに取り付ける必要が生じる。ソニーからNV-U35に対応する自転車用クレードルNVA-BU2が発売されているので、これを使うとよい。……てか、ほかの汎用の取り付け器具でNV-U35にマッチするものがナゼか僅少なので、NVA-BU2を使うしかないかも。

NV-U35対応の自転車用クレードルNVA-BU2。NV-U35を自転車のハンドルにマウントするためのオプションだ自転車のハンドルに取り付けたところNV-U35側にはアタッチメントを取り付ける
スコッと填め込めばロックされて取り付け完了画面の角度はわりと自由に変えられるこんな角度にも。てかこの角度はナイですな

 NVA-BU2を使うとシックリとNV-U35をハンドルマウントできる。前述のようにスタミナモード(いつもは画面OFFで案内時や操作時は画面ON)で使えば電池が最長6時間使えて、さらにスーパースタミナモード(画面OFFで音声案内のみで操作時のみ画面ON)で使えば最長約11時間使用できる。

 本体は防滴仕様で、サイクルコンピュータ機能(速度や平均速度や移動距離や消費カロリーなどを表示)を持ち、裏道細道あたりまでの細かな日本全国地図が入っていることまで考えると、NV-U35はまさに自転車向きのナビ!!

 とか思ったんだが、実際に使ってみるとそーでもなかった。主な難点は画面表示。屋外だと映り込みが多くて見づらいし、そもそもバックライトを点灯させないと何も見えニャい!! 的な視認性なのだ。

バックライト点灯時なら、屋外でも表示内容を確認できる。ただし、写り込みのない角度からなら、という条件付きで、だ写り込みがあるとこのように見にくくなる。もちろんこれでもバックライト点灯状態状況が良くてこのような見栄えというイメージ。走行中に情報を確認するのは難しい。バックライトが消灯すれば表示は見えなくなる

 この見にくさがいろいろな不都合を呼んでいる。たとえばサイクルコンピュータ表示なんかをパッといつでも見ようとすれば、バックライトは常時点灯必須。それだとあまり長時間使えない。画面に触れたら一定時間のみバックライトが点灯という設定にもできるが、現在速度などをそーゆー方法で確認させるサイクルコンピュータはいろいろな観点で実用的でなく危険でもある。

 ナビ機能は、まず走行中に画面を見るのはあまり現実的ではない。運動中であり転倒(落車)の危険もあり場合によっては30km/hとかの速い速度で移動中に、バックライト点灯時でも映り込み多々で見にくい画面の表示内容を確認するって……まぁ音声だけ聞いてもナビ機能を利用できるが、ナビ音声なんて風切り音で聞こえない……けどイヤホンつければハッキリした音声が……ってサイクリング中にイヤホンって、的に、アレコレ試してもシックリ来ない。

 この屋外での画面の見にくさには、わりと、かなり、ガックリ来た。ソニーにはハイブリッド液晶などと呼ばれる直射日光当たりまくり状態でもビシッと見える液晶があるのに、なぜアレをNV-U35に採用してくれなかったのか? と疑問を持った。

 ともあれ、屋外での表示の視認性の悪さなどが主な原因となり、自転車用ナビとしてはあまり実用的ではないと思った。

 ただ、ココにも書いたが、サイクリング中の情報収集ガジェットとしては強力かもしんない。たとえばNV-U35なら現在位置周辺の自転車屋さんを数度のタッチ操作で検索できる。し、ソコまでナビしてもらえる。コンビニや公衆トイレもサクッと探せる。

今時的なナビなので、最寄りの施設を探すのも楽勝NV-U35の検索対象ジャンルとして「自転車」が用意されている。スグに自転車関連スポットを探せるんですな最寄りの自転車屋さんもこのとおり
サイクリストのオアシス(てか命綱!?)であるコンビニも即見つかるサイクリストの悩みのひとつをNV-U35が解消してくれるかも!?サイクリングロード(コース)を検索することもできる

 1日サイクリングするとそーとーな距離を移動したりして、土地勘まるでナシの地に足っていうかタイヤを踏み入れるケースも少なくない。そういう場所で、携帯電話圏外とかであっても問題なくスグに自転車店、コンビニ、公衆トイレなどを探せるNV-U35は、サイクリストに大きな安心感をもたらすように思う。

 また、NV-U35は防滴仕様だし可動部ナシのソリッドステートなハードウェアであり、サイズは幅約112×高さ約79×奥行約17.8mmで質量は約176g。サドルバッグにスッと入るあたりも魅力的ですな。

クルマ用ナビ+αのお得感と実用性

 次いで徒歩用のナビゲーションデバイスとしてはどーかニャと思ったわけだが、んむむ~、拙者的観点でぶっちゃけたコト言っちゃいますと、そっち方面はGPSケータイでいいんじゃないでしょーか、的な。

 根本にあるのは、徒歩で楽しむために3万2000円前後の電子地図/ナビゲーションデバイスを購入するかどうかという疑問だ。俺とかマニアックに買っちゃうタチだが……さておき、ウォーキングするにも街歩きするにも、ふつーに人里~街でするじゃないスか。歩くのはケータイの圏内。また徒歩で移動するとき、サイフ忘れてもケータイ忘れないって人のほーが多いっしょ。

 もう、徒歩な人と、その人らが使う地図/スポット関連情報は、需要と供給そして構図が決まっちゃってると思う次第。な~んか、そこにはNV-U35が入り込む余地がなさそうに思えるのだ。

 とは言いつつも、一応は試してみた。歩きにNV-U35を持っていくと楽しいかニャ? みたいな。

サイズ/質量的には常時携帯も問題ナイ。情報量も豊富なので、徒歩で出向いた先でのスポット調べに利用できる観光地などの情報も豊富に含まれる付近のスポットを一瞬で検索できる。ただ、徒歩で行くのに適した距離のスポットかどうかは現在位置による

 まあ「出先でNV-U35を使いましょう!!」という心意気なら楽しめる。が、それはNV-U35をイジって楽しむというスタンスですな。純粋にお出かけを楽しむなら、GPSケータイとかソレ関連のサイトとか、もちろん街中にも引く手あまたの観光方面情報があるので、NV-U35の出番はあまりナイのではなかろうか?

 てな感じのNV-U35。率直なところ、クルマ用のナビとしては充実しているしコストパフォーマンスが非常に高いと感じるものの、自転車用にも徒歩用にも使える……とは言い切れない。基本、クルマ用のナビで、そこからちょっと持ち出せば、ときには徒歩でも自転車でも役立つこともあるよネ、とは言える。クルマ用ナビ+αの活用幅を持っているPNDですな。でも、そう考えれば十分お買い得なGPSマップだと言えよう。



2010/6/7 06:00