スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

いろいろ楽しいソニーのモバイルプロジェクター

いろいろ楽しいソニーのモバイルプロジェクター

 去年の11月に購入したソニーのポータブル超短焦点プロジェクター「LSPX-P1」(公式ページ)。その名のとおり「ポータブル」なプロジェクターで、つまり小型でありかつ内蔵バッテリーでも使えるプロジェクターです。製品名の「超単焦点」の部分は、投影面までの距離が非常に短くて済むというコトで、設置場所も取りません。ちょっとした場所で手軽に使えるので、かな~り気に入って使用中♪

ソニー「LSPX-P1」。本体サイズが約高さ131×奥行き131×幅81mmのコンパクトなプロジェクターです。内蔵バッテリーでも動作可能。平たいのはHDMI入力用のワイヤレスユニット(付属品)。ソニーストア価格は税別9万2500円。
赤矢印がプロジェクター本体。壁際ギリギリに置いて壁に投影したり、机上などに置いて机面に投影したりできます。22インチから80インチの映像を映し出せます。

 このプロジェクター、気軽さ手軽さがじつにイイ感じ! 「ちょっと投影して遊ぼう」「今すぐ壁に投影して鑑賞しよう」という「その気」が、なんの面倒もなく実際の行為へとつながります。本体を置いて、電源ボタンを押して、スマートフォンなどの映像ソースを流す程度で完了。白い平面(だいたいA4の紙2枚分/A3サイズ程度以上)があれば、どこでも即プロジェクションできちゃうというわけです♪

 小型なので撤収っていうか片付けも簡単。引き出しに入るサイズですしネ。まあそのまま机上などに置いておいても邪魔になりません。ほか、基本的には無線LAN内で使うワイヤレス指向のプロジェクターなので、ケーブル類を使わずに投影できたりするのもナイスな要素です。

 小さいわ手軽だわ気楽だわ煩雑さナシだわで、ナニカと使いやすくて楽しいので、気に入って使用中というわけです。昨夜は「オイルランプの炎が燃える動画を投影したらどうだろう?」と、このプロジェクターで遊んでいました。現在はキーボードの左側で天気予報を意味する環境映像を投影しています♪ 晴れの予報なので小鳥のさえずり音声付き!

 そんな感じで、約3カ月弱使い続けてきました。というわけで以降、「LSPX-P1」の機能や使用感について書いてみたいと思います。

どういうプロジェクター?

 まずは「LSPX-P1」の概要など。前述のとおりコンパクトなプロジェクターで、本体サイズは高さ13.1×奥行き13.1×幅8.1cm、質量は約930g。内蔵バッテリーで約2時間使用できるほか、付属ACアダプターでも作動します。

 基本的な操作・設定は、スマートデバイス(Android端末やiOS端末)から行います。「LSPX-P1」とスマートデバイスは無線LAN経由でつなぎますが、直接無線接続(Wi-Fi Direct)して使うこともできます。

 使い方はイロイロありますが、たとえばスマートデバイス向け専用アプリを使えば、各種環境映像や映像による天気予報、時計表示、スマートデバイス内の静止画・動画の投影が可能です。また、付属のワイヤレスユニットはHDMI入力に対応し、そこに入力した各種映像を投影することもできます。「LSPX-P1」はもちろんスピーカーを内蔵していますので、動画の音声なども流れます。

平たいのがワイヤレスユニットで、その右にあるのが本体です。ワイヤレスユニットはHDMI入力用。各種HDMI出力対応映像機器(ゲーム機、ビデオレコーダー、パソコン等々)をつないで、本体から映像を投影できます。ワイヤレスユニットにはHDMIスルー出力もありますので、活用幅も広めですネ♪
スマートフォン用の専用アプリ「ポータブル超短焦点プロジェクターアプリケーション」の表示例(iOS版)。「LSPX-P1」の入力切り換えや細かな機能設定を行えるほか、プリセットのコンテンツによる天気予報表示や環境映像表示、時計表示などを選択できます。スマートデバイス内の写真と音楽を使い、BGMとともにスライドショーを表示させることも可能です。
左は時計表示の一例。アナログ時計などもあります。中央は映像による天気予報。去年に関東圏で大雪が降ったときの天気予報で「雪が降っている動画」が投影されていました。右はゲーム機からの映像を投影している様子(ワイヤレスユニット経由)。中央と右は22インチ相当の投影ですが、このサイズで投影した映像は意外なほど明るく鮮明です。

 ちなみに、本体とワイヤレスユニットは無線接続されていますので、ケーブル接続は不要。ただし、ワイヤレスユニットにはバッテリーが内蔵されないため、HDMI入力を使うときはワイヤレスユニットに付属ACアダプターをつなぐ必要があります。

 投影可能なサイズは22~80インチ。縦49×横27cm~縦177×横100cmくらいまでの大きさで投影できます。置いた本体から投影面までの距離で、投影するサイズを調節します。机上に置いた場合は最小の22インチサイズとなりますが、本体の下に本などを置けば投影サイズUPが可能。

 画質と明るさですが、これは投影サイズにより若干印象が異なります。当然ですが、サイズが小さい方が緻密で明るい映像になります。白い机面に投影すると(22インチ相当)、室内がフツーに明るい状態でも問題なく映像を鑑賞できます。暗くすればもっとキレイな印象に。80インチサイズ付近だと、明るめの室内だと「ちょっと明るさが足りないかも」という印象に、また、映像の色のコッテリ度合いも物足りない感じに。

 まあ率直な話、60インチとか80インチとかそういう大きなサイズでの投影を重視するなら、より輝度の高いプロジェクターを使ったほうがいいと思います。「LSPX-P1」は22~35インチ程度あたりが「イイ感じで使えるゾーン」という気がします。また、そのくらいの小さめサイズでプロジェクションすることに、手軽にどこでも使えることを含めた実利があるようにも感じます。

どう楽しい?

 さて、「LSPX-P1」の楽しさですが、具体的にはどういう部分なんでしょう? もちろん人によって違うとは思いますが、ワタクシの場合だと、まずは「今すぐ投影して鑑賞した~い!」的な欲望を、即、満たせること。たとえば「前に作った画像を大きくして見てみよう」「きのう出先で撮ったスナップを鑑賞しよう」くらいのシンプルな思いつきをすぐ叶えられるといったことです。

机上の「LSPX-P1」の電源を入れ、スマートフォン上の写真をキャスト! 撮った写真やネットで見つけた写真などを大きく投影、みたいなコトが即できます。最小でも22インチサイズの表示なので、スマートデバイス上の映像がドーンと大きく! 多くのケースで「投影すると迫力があるな~」的なオモシロミが感じられます。
水族館に行った後日、館内で撮った写真を投影してみました。左は投影映像が薄め暗めに見えますが、肉眼ではもっと明るく、色のりも良く見えます。右は部屋の照明を落とした状態。十分鑑賞に堪えうるクオリティで投影されています。ちなみに投影している面は「白い紙をセットした画板」です。白くて平らな面なら何でもだいたいOK。

 前述のように、投影できるサイズは22インチくらいからです。また、明るさや色の濃さといった観点から、ワタクシはまあ30~35インチあたりまでが実用域なのかなという気がしています。となると、一瞬、「22~35インチなら、PCのディスプレイで観れば?」とか思っちゃうんですが、「LSPX-P1」ならではの魅力は「どこでも即投影できること」だったりします。平らな白い面なら全てディスプレイに! みたいな。

 要するに、「思い立ったらその場ですぐ投影!」という、書けば簡単ですが実際はなかなか困難なコトが、ラクにできちゃうわけです。これまでなかなかできなかったコトが楽勝でできるわけですから、「あら~スグできちゃう~」という時点で既に楽しい感じ。

安物のプロジェクションスクリーン(50型相当)に投影。少し歪んでいるところはスクリーンの歪みです。「この写真、大きく投影してみよっかな♪」という考えを、すぐ実行に移せるのが愉快。ちなみにソースはスマートフォン内の写真です。
左は22インチサイズで投影してみたところ。「やっぱり小さい投影のほうが鮮明でいいな~」的な。右は天気予報の環境映像を投影しているところです。

 ところで、「LSPX-P1」を使うにはスマートデバイスが必需品。なので自然と投影するソースもスマートデバイス内の映像になりがちなんですが、これが意外に楽しいです。たとえばスマートフォンをワイヤレスユニットにHDMI接続し、いつものスマホ画面を22インチとかのサイズで投影! まずはソレだけで愉快。そして投影する映像によっては、新たな楽しさが見えてきたりも。

iOS端末をワイヤレスユニット経由で接続し、iOSホーム画面を投影した様子。あまり意味はありませんが、巨大さが新鮮です。写真類のサムネイルは大きく表示されて探しやすいです。
左は冒頭で触れた「オイルランプの動画」です。大写しになるので独特のインパクトがあります。右はアプリで作った「猫が喋る動画」で、人に見せるとウケがイイです。なお、iPhone上の動画を再生する場合、HDMI経由だと「転送が遅いことがある」「動画サイズによっては再生不可能」などの問題も皆無。動画投影はHDMI経由がオススメです。
左は「Earthlapse」というアプリで宇宙から見た地球を投影している様子。こういう映像は大きい方が臨場感があってイイですね~。右は「Cat Fishing」という猫用のアプリで、猫がじゃれるヤツ。猫肉球によるタッチ反応は機能しませんが、魚が大きく動きも大きいので、しっかり猫がじゃれます。
左は「Keynote」アプリを使っている様子。スマートフォン+スライドアプリ+「LSPX-P1」によるビジネス・プレゼンは、フツーに実用的でアリだと思います。右はカメラのライブビュー映像を投影している様子。大写しになるだけで、単なるライブビューも新鮮でインパクトがあります。

 といった感じで、つまりは「ナンでもアリ」な感じで楽しめます。興味の赴くままに遊べる「LSPX-P1」。実用的な使い方も多々あるわけですが、アレコレ試して遊ぶガジェットとして、かな~り楽しめております。

「LSPX-P1」の残念点

 最後に、「LSPX-P1」を使って「残念かも」と思った点について。おおむね満足なんですけど、ちょっと不満もあります。

 ひとつは、ワイヤレスユニット(HDMI入力用の箱)がバッテリー式でないこと。使うにはACアダプターが必須です。本体はバッテリー駆動も可能である点で「思い立ったとき即使える」という良さがさらに増していると思いますが、HDMI入力しようと思うと「ワイヤレスユニットを使うためのACアダプター接続で手軽さが少し損なわれている」と感じます。

 ただ、ワイヤレスユニットのACアダプターを見てみると、出力は「5V/2A」です。USB電源と同様。なので、試しに適合するUSB-DC変換ケーブルを使ってモバイルバッテリーとつないでみたら、フツーに動作しちゃいました。もちろんこういう使い方はメーカーが推奨するどころかメーカー保証の対象外なので自己責任となりますが、まあ、ACアダプターレスへの道がないわけではないようです。

 ワイヤレスユニットつながりではありますが、HDMI入力時は結局HDMIケーブルが必要になります。ですので、どうせなら、「LSPX-P1」本体にもHDMI入力端子があれば良かったのになあ、と。本体がHDMIソースに近いときは、本体に直接HDMI接続し、遠い場合はワイヤレスユニットを使うという選択肢があって欲しかったです。

 それから、投影サイズを本体と投影面の距離で調節するという操作性。これはコレでシンプルでイイんですが、スマートデバイスのアプリからある程度の投影サイズ調節ができたりすると、より便利だと思います。まあでも、機構が複雑になって高価になっちゃったりするんでしょうね~。

 バッテリー内蔵ガー、HDMI端子ガー、投影サイズ調節ガー、ってアレコレ言い始めて、そういう機能・機構が実装されちゃうと、あるいは「LSPX-P1」の手軽さ気軽さシンプルさが削がれていくのかもしれません。そう考えると、まあ今のままでもいいけどネ、と思えたりします。

 ちなみに、稼働中の「LSPX-P1」は、ほぼ無音で熱もあまり発しません。周囲が無音の状況下では僅かにファン回転音が聞こえ、本体がほんのり暖かくなる程度。ですが、可能なら完全無音を目指してほしいという気もします。……まあ、音の出るコンテンツだと完全に気にならなくなる程度のファン音ではありますが。

 てな感じのポータブル超短焦点プロジェクター「LSPX-P1」。率直なところ、お値段ちょいとお高くて、なかなか購入に踏み切れない機器のヒトツって気はします。が、扱いやすさや楽しさを実感すると、けっこー頻繁に使ったりして、モト取れ感が早めに訪れるように思います。まあ一種、趣味のモノって感じの製品ではありますが、かなり楽しめる製品であることは確か。興味のある方はジックリとチェックしてみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。