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話題のグラス・スピーカーを2本セットで購入♪

ソニー「グラスサウンドスピーカー LSPX-S1」

話題のグラス・スピーカーを2本セットで購入♪

 前々からヒッジョーに強い興味を抱いていたスピーカーがありまして。ソニーの「グラスサウンドスピーカー LSPX-S1」(メーカー製品ページ)です。独自の音響技術で作られたBluetoothスピーカーで、調光対応のLEDランプ機能も備えています。もちろん、Bluetooth経由でスマートフォン上にある音楽などを鳴らせます。また、スマートフォン向けに専用アプリが提供されていて、アプリから音質設定や光量調節などを行えます。ソニーストア価格は税別7万3880円(1本)。

ソニーの「グラスサウンドスピーカー LSPX-S1」。独自の音響技術「バーティカル ドライブ テクノロジー」を採用したBluetooth(Ver.3.0対応)スピーカーで、スマートフォンなどと最大8台までペアリング可能です。対応コーデックはSBC/AAC/aptX/LDACで、SCMS-Tにも対応しています。透明の管の部分を含めてスピーカーですが、内部のLEDは雰囲気演出の照明として調光しつつ使えます。基本的には1本単位(モノラル出力)で使いますが、2本組み合わせてのステレオ出力も可能。電源は付属ACアダプターもしくは内蔵バッテリーで、バッテリー駆動時間は最大4時間です。

 コレ、2016年の2月13日に発売された製品。非常に斬新な外見とテクノロジーを引っ提げつつ、独特の音質も評判がよろしいので、じゃあ買おう! と思ったんですが、とき既に遅しで完売状態。その後もずっと在庫薄が続いていて、じゃあいいや……と諦めモード。夏前くらいには買えるようになったらしんですが、すっかり忘却の彼方に。

 で、最近。久々に「グラスサウンドスピーカー LSPX-S1」を思い出しました。「なんかもう今年も終わりだし冬だし寒いし部屋に籠もって音楽など聴いてまったり過ごす季節だし」とかテキトーな理由を発生させつつ、この「LSPX-S1」を買っちゃおうと思ったんですけど、あ、そう言えばコレ、1本7万円とかするんだっけ、と値段も思い出して躊躇。

 でも後ろ髪引かれながら「LSPX-S1」についてシツコク調べてみたら、なんか2本同時に使う「ステレオモード」だと「かなり高音質」らしいことが判明。2本か~、ステレオだし、LEDランプ×2でハイテク燭台っぽくてカッコイイかも~、でも7万×2本=14万円くらいしちゃうな~、などとモヤモヤが増幅したんでした。実機見に行こうかな?

 でもでもでも、冬で寒く年末で混雑だし現在腰痛中だからショールームで実機見るの面倒だな~、とか雑なコトを思ったので、雑な考えつながりでチャッカリとメーカーから「LSPX-S1」を2本借りてみることにしました。発売から日がかなり経ったからか、スグ貸してくれました♪

 とかゴジャゴジャと書いておりますが、「LSPX-S1」マジで欲しいモードなんでした。できれば2本。ただ、お値段がアレですし、さらに2本となると……。要するに躊躇していたわけです。その躊躇がナントカなるかなと思って借用&試用してみたというわけでした。

 結果、かな~り良かったです「LSPX-S1」。とくに2本セットでステレオモードにして使うと、新しい音の世界を体験できちゃったりします♪

 あまりに良かったんで、買いました。2本。ヨドバシ・ドット・コムで税込7万3980円の10%還元で6万6582円相当! これを2本分で13万3164円! あ、ヨドバシって税金分も還元計算に含めてるんだ~といった細かなコトはさておき、自分から自分へのクリスマスプレゼントとして脳内稟議承認済みですので、来年早々のクレジットカード請求額にビックリしろ>2017年の俺! みたいな。

 ともあれ以降、「LSPX-S1」の機能や使用感について書いてみたいと思います。なお、組み合わせて使った端末(音源)はiPhone 7 Plusで、専用アプリ「SongPal」の音質設定は「ClearAudio+」をオンでDSEEをオートとしています。ハイレゾ系音源は聴いていません。

まずは1本で使ってみる

 初めて「LSPX-S1」を手にした印象としては、「あら意外に小さい」ということでした。サイズは、直径約82×高さ303mmで、質量は約920g。大きめのマグカップを上に伸ばしたようなサイズ感です。スピーカーとしては、フットプリントがコースター程度になるので「狭い場所にも置ける」という感じ。底部に重心があり、質量は約920gなので「ややズシリ」とした重みがありつつ底部が滑りにくいので、安定的に立てて置けます。

ケース入りのiPhone 7 Plusと並べた様子。男性なら片手で掴んで持ち運べるくらいのサイズ感です。電源ボタンや主なコネクタ類は本体下側面に、操作ボタン類は全て本体底部に集まっています。スマートフォンからでもほとんどの操作を行えます。
スピーカーとしてはこんな構造です。筒の下端にウーファーが埋め込まれており、上端にパッシブラジエーターがあります。高音は筒から360度周囲に発せられますので、どこにいても定位感にあまり違和感がなく、クリアなサウンドが聞こえます。

 スピーカーとしての技術的側面についてはメーカーの製品情報ページをご覧いただくとして、まずはその音質です。初めて音を出してみて「あらっ?」と不思議に思ったのは、「どこからともなく音が耳に入ってくる感じ」がしたこと。ウッカリしていると「あれ? どこから音が出てるの!?」みたいな「鳴り方」です。

 誤解を恐れずに言えば、音が室内にわりと均一に漂っているという聞こえ方です。もちろん、意識してよく聴けば、音の発生源はわかります。が、意識しないと音の発生源が曖昧な感じ。普通のスピーカーなら、右に置けば「右から聞こえてくる」とハッキリわかるわけですが、「LSPX-S1」の場合は右に置いても「なんとなく右のほうから聞こえる?」みたいに、設置位置がおおまかにしかわからないという印象。

 なので、実際に1本で使ってみると、「音が偏って聞こえてくる感じがあまりないので、まあどこに置いてもいいか」みたいに、大らかに使える感じ。1本だとステレオ感がないこともあり、「どこに置いてもだいたい同じような聞こえ方」がして、置き場所を細かく気にする必要がないスピーカーとして便利といえば便利です。むしろ「この照明器具はどこに置くか」という、「LSPX-S1」の照明機能重視の視点で置き場所を決める感じでしょうか。

 それから音質ですが、これは「鳴り方」と併せて、ぜひ実機で好みの音楽を鳴らして検証して欲しいところ。というのは、曲によりかなり音質に差があるように感じられるからです。そのサイズにしては低音も高音もよく出ていて、それなりに大きな音も出ます(ウーファーのみの実用最大出力は13W)。ワタクシ手持ちの曲では、多くの場合「イイ音で聴ける」という印象ですが、ときどき「あれ? この曲ってこんな音だっけ?」と違和感を感じたり。その一方で「うわ、この曲が凄くイイ音で鳴ってるぞ!」と感動することも多々。

 たとえば、音の要素が多くてそれぞれが強めに鳴っているような曲だと、なんかこう、全体的にパンチが足りず、音の解像感も足りないような印象があったりします。電子楽器をあまり使わない(やや古い)ロック系の曲なんかだと、「ちょっとパワー不足!?」みたいな気がすることがあります。ただ、同じような楽器・音で構成された曲でも、「あら~この曲だとスゴくイイ音で鳴るなあ!」とか思ったり。ホント、曲により印象がかなり違います。

 一方、アコースティック楽器やボーカルで構成された曲で、あまり音の要素が多くない曲だったりすると、たいてい「とても艶っぽい音で鳴る」「染み込むように聞こえる」という印象となります。特にボーカルが「ヤバい」かも。間近で歌われているような感じですし、リップのノイズまで含んで非常に繊細に聞こえます。「耳に直接入る」「耳に染みる」というイメージ。アコースティックギターのソロ演奏なんかもそうです。

 電子楽器を主体とした曲なんかもイイ感じで聞こえます。印象としてアコースティック楽器の音が得意な「LSPX-S1」ですが、シンセサイザーの音も全体的にキレイに鳴る感じ。とくにシンセの高音は、その音の細部までしっかり聞こえてきます。でも曲によっては、「この電子的なハイハットの音が妙に目立つ」ということもあったりします。

 曲によって聞こえ方が違うってコトで、ワタクシがこれまで使ってきた多くの平均的なスピーカーと比べると、「LSPX-S1」の音質はある意味で非常に個性的であるは確かです。ワタクシ的には「2本買うほどイイ音」と感じたわけですが、何をもってして「イイ音」とするのかは聴く人次第です。もしかすると、ピュアな音を好む人にとっては納得がいかない音質かもしれませんので、そういう方はなおさら、購入前に試聴してみてください。

目にやさしい暖色光LED照明

 このスピーカーの大きな特徴のひとつは、照明器具でもある点。エンクロージャー兼高音発生部である有機ガラス管は透明で、その内部には3素子のLEDアレイが8個あり、これが光ることで照明器具になります。LEDは32段階で調光でき、調光は本体裏面のボタンや「SongPal」アプリで行います。

 ……照明器具でもある、と言うか、パッと見は照明器具です。「LSPX-S1」がスピーカーであることを知らないと、音を鳴らしている状態でも「LSPX-S1」から直接音が出ているように感じられにくいため、「LSPX-S1」をシャレたLED照明器具として誤認してしまうかもしれません。

「LSPX-S1」のLEDが光る様子。フィラメント電球やロウソクを思わせる発色です。光量は32段階に調節できます。調節は本体底面ボタンもしくは「SongPal」アプリで行います。
フットプリントもマグカップ程度と狭く、内蔵バッテリーでも動作しますので、様々な場所に置けます。ガラス管の中のLEDは電球色で光り、本体操作やアプリ操作で調光も可能。光量は読書ができるほど多くないので、雰囲気を盛り上げるための照明といった用途に限られるでしょう。
「SongPal」アプリの表示例。「LSPX-S1」に対しては、基本となる音量の調節、音質設定、明るさ調節、スリープタイマーの設定などを行えます。基本的な操作は「LSPX-S1」本体でも行えますが、やや細かな機能設定にはこのアプリが必須です。

 スピーカーが光る様子は、予想以上にイイ感じです。小さなLEDが合計24個光っているわけですが、LED照明器具にアリガチな「明るすぎて眩しい」という印象はほぼありません。光量を最大にしてLED素子を直視し続けると「ちょっと眩しい」と思う程度。この「目に眩しくない」というあたり、演出のための照明としては非常に好印象です。

 ただ、周囲を照らし出すための灯りとしては若干光量不足かもしれません。「夜に手元のグラスをほのかに照らす」といった用途にはバッチリなんですが、本を読むなどの用途には使えないと思います。

後戻りできない「LSPX-S1」×2台運用

 最後に、「LSPX-S1」を2台使っての印象を。「LSPX-S1」は、基本的には1台で使えるモノラルスピーカーですが、2台を無線接続して「ステレオモード」にすればステレオスピーカー・セットとして使うことができます。

 ワタクシ、この「LSPX-S1」を2本購入したわけですが、その最大の理由は「ステレオモードで使うとスゲくイイ!」ということ。1本で使っても、ほかのスピーカーにはない独特の澄んだ音質と、空間に音が満ちるような絶妙な音場を楽しめる「LSPX-S1」ですが、ステレオモードで使うと、軽く茫然とするくらい「音が入ってくる」んです。ステレオモード動作の実機を展示しているショップがあるかわかりませんが、ひとつの体験として、ぜひとも試聴して欲しいです。

 ステレオモードで「LSPX-S1」を使うと、当然ですが、サウンドはステレオになります。音を極端に左右へと振っている曲なんかだと、音が出ている方向がよくわかります。ただ、それでも一般的なスピーカーと比べると、定位感がやや曖昧で、「LSPX-S1」から音が出ている感覚も薄い感じ。そこから受ける印象は「音に立体感があるけど、特定の位置から音が出ている感じでは無く、空間全体に音が漂っている感じ」ということです。

 まあその感覚は、「LSPX-S1」を使い続けると「そういうもの」となって意識されなくなるんですけど、「その聞こえ方がもたらす体感」は続きます。「音が入ってくる」と前述しましたが、何というか「スピーカーとかそういう付帯物が気にならず音だけが耳に流れ込んでくる」という体感があるんです。言い方としては「豊かな音の広がり」に少し近いかも、ですが、でも実感はけっこー違って、スピーカーやイヤホンといったモノが意識されず音だけをストレートに受け取れるような感じ。説明が難しいんですが、体験すると即「あっこういうコトか!」とわかると思いますので、ぜひ試聴を。

 そんなサウンドを聴いての具体的な効果もあったりします。たとえば、もう十分聴き込んで知っているおなじみの曲でも、「LSPX-S1」のステレオモードで聴くと改めて感動したりしがち。気を抜いていて、心の硬度が低い状態なんかだと、耳に流れ込むサウンドで涙が流れるようなことも。

 余談ですけど、昔、クリスマスの時期にハンドベルの生演奏を聴きに行ったことがあるんです。「ハンドベルの演奏って聴いたことないな~」くらいの気分で聴いたんですけど、その音の響きにナゼか涙が止まらなくなった経験があります。演奏曲とか覚えてないんですけど、とにかくその響き。音そのものに感動したんだと思います。いや~年末のハンドベルってヤバいっすわ~心に染み過ぎますわ~、みたいな。

 ときとして、ステレオモードの「LSPX-S1」から流れる音にも、そういう響きが伴っているように感じます。それが思い出深い曲だったりすると、ただただ聞き入ってしまったり、心を揺さぶられ(過ぎ)てしまったりすることがあります、っていうか、そういうコトが多いです。

 といった感じで、「LSPX-S1」を2台、ステレオモードで使ったら「新たに感じられたイイコト」がけっこー豊富にあったヨ、と。その魅力から2台購入したんでした。と言うか、ステレオモードをガッツリと検証してみたワタクシとしては、「LSPX-S1」のステレオモード運用からもう後戻りできない~! 「買わない」か「2台買ってステレオモードで使う」かの2択となっちゃったわけです。だから頑張れよ、来年早々のクレジットカード支払い>2017年の俺! 的な。

 さて、「LSPX-S1」を使い始めてしばらく経過するわけですが、気になることも少々ありました。ひとつは設置場所です。一般的なスピーカーより設置の自由度がかなり高い「LSPX-S1」ですが、やはりある程度は好ましい設置場所があるようです。イイのは、硬質なモノの上で、周囲が開けていて、胸~顔くらいの高さかな、と。背面に壁がある程度の場所なら問題ない気がしますが、前方だけ開けている棚の中とか、高過ぎたり低過ぎたりする位置とかだと、「ん~ナンか違う~」みたいな微妙な違和感が生じるような気がします。

 それから、これは要望って感じですが、外部入力(AUX入力)使用時だとステレオモードが使えない点が残念。ステレオモードを使うには、音源とBluetooth接続している必要があるようです。音源とケーブル接続時(AUX接続時)もステレオモードが使えるとよりイカスと思います。

 あと、単純に専用リモコンが欲しいかも、です。「LSPX-S1」に対するほとんどの操作はスマートフォン経由で行えますし、多くのケースで「LSPX-S1」とスマートフォンをBluetooth接続しているので、スマートフォン=「LSPX-S1」のリモコンにはなります。ですが、ちょっと光量を変えようというときは、スマートフォンアプリを起動したり「LSPX-S1」の裏面を操作するより、専用リモコンがあればパパッとできてラクなんだけどな~、とか思います。

 それと、実用的な演出用LED照明ですが、コレ、色も変えられるようだとさらにグレイトです。いや、青とか緑とかそういう幅ではなく、現在の電球色から、少し赤っぽい電球色から、少し白っぽい色くらいまでの幅で。ツイデにLEDがロウソクっぽく揺らぐ(明るさが緩やかに変化する)とか、サウンドに合わせて発光が変化するなど、そういう遊びも欲しいです。その方が使えるシチュエーションが増えると思うんですが、同時に、簡単そうでそういう実装はナニカと難しいのかナ~とも思いました。

 てな感じの「LSPX-S1」。恐らく、気に入る人はヒッジョーに気に入って愛用しまくると思いますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。同時に、出音が若干独特ですので、購入前にはご試聴もゼヒ!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。