スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

スマホ・PC対応のBluetoothハンディスキャナ!

平らなモノをスキャン、手のひらサイズで常時携帯も可能

スマホ・PC対応のBluetoothハンディスキャナ!

 あっ、ソレって便利かも!? と思ったのが、2016年6月13日に発売されたサンワサプライの「Bluetoothスキャナ 400-SCN036」(直販サイト製品情報ページはコチラ)。PCやタブレットやスマートフォンとBluetooth接続して平らな対象をスキャンでき、手のひらサイズなので常時携帯も可能な感じ。これってけっこー役立つシーンが多いかも! と思って購入&使用開始してみました。

サンワサプライの「Bluetoothスキャナ 400-SCN036」。手のひらサイズのBluetoothハンディスキャナで、iOS/Android端末やPC(Windows/Mac)に対応しています。スキャンは手動で、解像度は400dpi。USB充電で連続3.5時間使用可能。サイズは幅101×高さ54×厚さ29mmで、質量は110gです。サンワダイレクトにて1万9800円(税込)で購入しました。

 ワタクシの場合、このハンディスキャナを印刷物の特定部分のスキャンに使う感じ。雑誌などで見た製品情報とか、パンフレット内にある表とかマップとか、あるいは名刺とかレシートとか。スマートフォンのカメラで撮っちゃえばいいって話もありますが、暗めの場所やシャッター音が憚られる場所だと……。このハンディスキャナは、そういうシチュエーションでも役立つハズ! てな心意気で購入しました。

 で、イキナリ率直な話ですけど、1万9800円は……ワタクシ的な利用法にはちょっと高いかな~、と。それなりにビシバシ使えば、まあどうにか納得できる価格だとは思いますが、使い始めて一週間くらいしても「ん~割高感があるな~」的な気分が残りました。

 ただ、ナニカとイロイロ便利ではあります。モノとしては実用的。手軽さもナイスです。主にiPadやiPhoneと組み合わせて使っていますが、アプリの機能性もなかなか良く、この先もけっこー活躍しそうな感じです。

 ともあれ、以降、この「Bluetoothスキャナ 400-SCN036」の機能や使用感についてレポートいたします。なおこのスキャナ、前述のとおりiOS/Android端末やPC(Windows/Mac)に対応していますが、今回はiOS端末と組み合わせての使用感などに絞って書いてみたいと思います。

どんな感じで使えるのか?

 まず使用方法ですが、本体を充電後、スマートフォンなどとBluetooth接続(ペアリング)します。次いで専用アプリを起動し、スキャナ上部の「S」ボタンを押してスキャン開始。スキャナ下部で印刷物などを軽く擦る感じで動かせば、スマートフォンなど端末上にスキャンされた画像が現れます。

 なお、スマートフォンなど用のアプリは「Dacuda PocketScan」アプリを使います。Android版がコチラ、iOS版がコチラです。PC(Windows/Mac)用は付属のディスクに含まれています。

こんな感じで、手動でハンディスキャナを動かしつつ、対象を徐々にスキャンしていきます。Bluetooth接続ですが、端末に画像が表示されるときのタイムラグはほぼ感じられません。
スキャン完了時の画面表示。必要な部分のみトリミングしたり、傾きを補正したりして保存します。
保存した画像は、各種ファイル形式(.png/.doc/.pdf/.txt)に変換して共有したり別途保存したりすることができます。もちろんアプリ内にも保存されます。
スキャン品質は低/中/高/最大から選べます。左が「最大」でスキャンしたもので、右が「高」でスキャンしたものです。写真類の色再現性はあまりよくなく、基本的にはドキュメントスキャナですな。
こちらはPC用「Dacuda PocketScan」アプリ(Mac版)です。基本的な使い方はスマートフォン/タブレット版アプリと同様です。
PC用アプリだとスキャン結果の色や明るさの調整に対応しています。また、より多くのファイル形式(.jpg/.png/.doc/.pdf/.txt/.xls)に対応しています。

 アプリを起動してハンディスキャナのボタンを押して手動スキャン、という単純な流れで使えるわけですな。観察/鑑賞するには色再現性がイマイチなレベルなので、写真類のスキャンには向きませんが、参考のための画像としてならフツーにシッカリ見えます。本体サイズからすると「案外高解像度なドキュメントスキャナ」という印象。

 ちなみに、スキャン可能な範囲は最大でB4サイズ(36.4×25.7cm)となっています。ですが、あまり広い範囲のスキャンは現実的ではないように思います。

 というのは、手動スキャンなので広範囲に動かすのに手間がかかることと、スキャン範囲が広いとスキャン結果がけっこーズレるからです。A4サイズ以上だと、かなり気を付けていないとたいていズレるという印象です。

スキャナの動かし方やスキャン対象によっては、ズレた画像としてスキャンされてしまうことがあります。左はほぼA4サイズをスキャンしようとしましたが、途中から画像が斜めにズレてしまいました。右はA5程度の範囲ですが、文字や図が重なったようにスキャンされてしまいました。スキャン範囲が大きいほどズレが発生しやすいように思います。

 使った感じとしては、「なるべくズレないようにキレイにスキャンしよう」と頑張って、まあA4サイズまでという感じ。手軽かつある程度正確にスキャンするなら、せいぜいA5サイズくらいまでだと思います。スキャン範囲が狭くても、スキャナを動かすのが速すぎたり、動かし方が雑だったりすると、やはりズレがち。使うのに若干のコツが必要なスキャナかもしれません。

OCR/テキスト翻訳/テキスト読み上げにも対応

 iOS端末でこのスキャナを使っているわけですが、アプリ上の機能で「ちょっと便利」と思えるものがありました。OCR(光学文字認識)機能です。日本語を含む20カ国語以上に対応したOCRが使用可能。たとえば日本語の雑誌をスキャンし、雑誌の文章を自動的にテキスト化できたりします。

実際にスキャン→日本語OCRしたもの。左がスキャン画像で、右がそれを元にOCRしたテキストです。スキャン品質は「高」です。
こちらはスキャン品質「最大」です。
こちらもスキャン品質「最大」。一般的な名刺をスキャン→日本語OCRしてみました。

 けっこーツカエル精度のOCRですな♪ 雑誌の本文の文字サイズくらいなら「わりと精度が高い」と言えるOCR結果になることが多いと思います。名刺は文字が小さく書体も複数あるためか、OCR結果はあまりよくありませんでしたが、電話番号はバッチリ。まあまあツカエル感じでしょうか。

 OCR結果をそのままGoogle翻訳にパスして別の言語に翻訳することもできます。英語のドキュメントをOCRし、それを日本語に翻訳するような使い方もできますので、たとえば英語の説明書を読むときの手助けになったりもします。また、OCR結果を音読させることもできます。

 なお、OCRはスキャン後に自動で行われます。処理速度は端末にもよると思いますが、スキャンできる範囲がそれほど広くないので、待たされるようなこともないと思います。

どう使う? コスパは?

 実際の使用感としてイイ感じなのは、コンパクトサイズであることと、Bluetooth接続であることあたり。手軽に携帯して使えますし、Bluetooth接続なのでスキャナ側の電源を入れれば間もなく端末と自動的に無線接続されます。Wi-Fi接続の機器だと「端末側を操作して目的のWi-Fi機器につなぐ」という操作が必要になることが多いわけですが、Bluetoothだとそういう面倒もありません。

 それから、ワタクシ的な使い方ですが、主には紙類のスキャンです。それも、せいぜいハガキ大程度の範囲。雑誌のコラムとか、製品カタログの一部とか、記事の一部の図やマップとか、ショップの住所&定休日とか、ナニカの料金表とか、レシートとか領収書とかイロイロ。著作権絡みでアレなので掲載できませんが、スキャン結果をそのままiOSの「メモ」アプリにコピーしており、それがiCloud経由でMacの「メモ」アプリと同期しますので、「ちょっとデジタル化したい紙情報」を手っ取り早くデジタル化&複数端末でシェアできて便利です。

 若干扱いにくい部分は、まずアプリがたまに「落ちる」ことです。使用しているのはiOS版アプリとMac版アプリですが、両方とも若干不安定なトコロがあります。でもまあ「たまに」なので、まずまず実用的に使えています。

 それと、ハンディスキャナ本体を入れるケースがないこと。スキャン部の透明プラスチックが剥き出しなので、そのままではバッグなどに入れたくない感じ。1万9800円もするんですから、専用ケースくらいパッケージに同梱してほしいナ、と。

 ともあれ、このハンディスキャナをわりと便利&快適に使っている感じです。価格的には「やっぱりちょっと高いなあ」と、まだモトが取れている感じではないんですが、機能や使い勝手についてはわりと満足しております。

 ただ……このハンディスキャナにできることの多くは、今時的なスマートフォンでもデキちゃったりします。暗い場所でも書類や誌面をスキャンできることや、平らな対象を平らなまま鮮明にスキャンできる性能は、このハンディスキャナのアドバンテージです。が、スキャン的なコトはスマートフォンのカメラで行えますし、アプリを使えば斜めに写った画像を四角く補正することもできます。紙書類などを撮影してOCR処理できるアプリなんかもありますな。

iPhoneのカメラを使って紙書類などのOCRが可能なアプリ各種。左が「CamScanner Free」(iTunesプレビューページはコチラ)で右が「スキャナー&翻訳者」(iTunesプレビューページはコチラ)です。どちらも日本語OCR対応で無料です。

 こんなふうな、スマートフォンのアプリでできることまでしか使わないや、と考えたら、このハンディスキャナはずいぶん割高に感じられると思います。一方、スマートフォンのカメラが十分高精細でなかったり、AFが搭載されていなかったりするなら、上記のようなアプリを効果的に利用できないと思います。

 てなわけで、結局、どの端末を使い、どういう対象を、どうスキャンするか、そして何に役立てるかによって、このハンディスキャナのコストパフォーマンスは大きく変わってくると思います。ビミョーに割高ということもあり、コスパの判断が難しい製品ですな。でも実用的でユニークでもある製品なので、興味のある方はチェックしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。