みんなのケータイ

 以前、本連載でシミュレーションした結果に基づき、メインで使っているXperia Z2のドコモ回線を、6月1日から新料金プランに移行した。シミュレーションでは、元々7500円程度かかっていた料金が、4600円程度になる計算だった。

 実際に丸2カ月間運用した結果は、以下のとおりだ。まずは「My docomo」で表示される明細を、そのまま掲載する。

6月分の料金
7月分の料金

 以前行ったシミュレーションでは、変動の多い国際ローミング利用時の通話料はパケット代をカウントしていなかったため、上記の数値とはズレがある。また、7月はケータイ補償サービスを利用しており、その代金が5000円、音楽購入時に利用したspモード決済の料金が2469円加算されている。こうした、一時的なコストを差っ引くと、6月と7月、それぞれの料金は次のようになる。逆に、6月の明細では、2回線目の余った月々サポートが適用された状態になっているため、それも除外した。

【一時的なコストを抜いた6月と7月の料金】

内訳6月7月
基本使用料2,700円2,700円
パケット定額料5,000円5,000円
spモード300円300円
留守番電話300円300円
あんしんネットセキュリティ200円200円
ケータイ補償サービス380円380円
ユニバーサルサービス利用料3円3円
ケータイ補償サービス補償サービス初回割引-254円0円
月々サポート-1,620円-1,620円
eビリング割引料-20円-20円
合計6,989円7,243円

 思ったより料金が下がっていないのは、月々サポートの影響によるもの。5月にXperia Z2に機種変更したことで、それまで3500円だった月々サポートが、1620円に減額されている。3500円はMNPで移ってきた契約者用に“盛っていた”額だったので、機種変更で下がってしまうのは残念だが致し方ない。ただし、こうした変動要素を除いた、通話料+パケット通信料は大幅に安くなっている。旧料金プランだった3月と新料金プランの6月を比較すると、次のようになる。

【月々サポートの影響を除いた旧料金との比較】

3月6月
11,473円8,609円

 仕事用に使っていて、電話もそこそこするため、音声通話が定額になる新料金プランの恩恵が大きかったと言えるだろう。

 料金以上に大きいのが、定額になり、通話に対する心理的な障壁がなくなったこと。これまでだったら「長電話になりそうなので、固定電話でかけた方がいいかな」と思うようなときでも、遠慮せずにケータイから発信できる。たとえば、フリーダイヤルになっていない各種サポートセンターにケータイからかけるのは、長時間待たされる可能性もあり躊躇していたが、そうした遠慮がなくなった。ただし、0570のナビダイヤルは定額の対象外という点には注意が必要だ。サポートセンターのような代表番号に使われているケースが多く、この場合は定額にならない。

 通話に対する金銭的な障壁がなくなり長電話が増えると、Xperia Z2が対応している新サービス「VoLTE」の価値も上がってくる。お互いに話した内容が聞き取れないということが減り、通話時のストレスも少なくなった。明瞭さがここまで違うと、もっとVoLTEで通話したくなってくる。発信が速いのも、小さなことだが利用時の快適さにつながる。

 もう1つVoLTEのメリットを挙げるとすると、音声通話の安定度が上がった(かもしれない)ことだろう。自宅の近くに線路があり、以前は電車が近づくたびに音が途切れたり、最悪の場合通話が切断されてしまったりしたが、Xperia Z2がVoLTEに対応してからそうしたトラブルがなくなった気がする。電波を測定したわけではないので単なる推測になってしまうが、おそらく、次のようなことが起こっていたのだと思う。電車が通りすぎると大量の端末が同じ基地局に接続する。特に都心部の通勤時間帯だと、1本の電車の中にいる乗客の人数は膨大だ。結果として、瞬間的に3Gの帯域がひっ迫していたのかもしれない。VoLTEはLTEを使うため、こうした影響を受けにくいというわけだ。

相手もVoLTE対応端末だとHDボイスが有効になり、音質がグッと上がる
誤解されがちだが、VoLTEは対応端末同士でなくても有効になる。対応端末同士でないと利用できないのは、HDボイスだけだ。発着信が速くなるなど、HDボイス以外のVoLTEの恩恵は、LTEエリアにいるだけで受けられる
端末はまだ60万台を超えたところ。秋に発表されると見られる、あの端末の対応にも期待したい

 このように、今のところメリットしかないVoLTEだが、HDボイスがVoLTE対応端末同士でないと効果が出ないのは、やはり残念だ。ドコモの加藤薫社長によると、VoLTE対応端末の販売数は7月25日時点で約60万台になったという。その後、ARROWS NXがアップデートでVoLTEに対応したため、今はもう少し台数が増えていると思われるが、ドコモ全体の契約者からすればまだまだ数は少ない。たまたまかけた相手の電話がVoLTEだったということも、1回しか経験していない(示し合わせてかけたケースは何回もある)。対応端末を増やしてHDボイスのよさを伝えることが、目下、ドコモに課せられた課題と言えるだろう。他社がVoLTEを開始した際に、相互接続できるかも注目しておきたいポイントだ。