【GALAXY NEXUS SC-04D】

“置くだけキーボード”でNFCの存在を思い出す

2012年8月29日 06:00
(太田亮三)
NFCにかざされたICの情報を読み取れるアプリ「TagInfo」

 「GALAXY NEXUS SC-04D」にはNFCが搭載され、グローバル市場ではおサイフケータイの海外版のようなサービスで利用されているようだ。端末同士でも「Androidビーム」などとして利用できるが、日本市場では対応端末の普及がまだまだこれからということもあり、使い道があまりないというのが正直なところ。

 筆者は2月にスペインのバルセロナに取材で赴いたが、その際には、現地で調達したSIMカードの電話番号をライター諸氏と交換する手段として「Androidビーム」がちょっとだけ活躍した。が、日本に戻ってきてからは、NFCの存在を忘れていることが多い。

 NFCはFeliCaと一部で互換性があるため、例えば「TagInfo」というNXP製のアプリをインストールして起動し、(カードタイプの)Suicaなどを端末背面にかざせば、チャージ金額や履歴の概要を確認できる。国内でも一部の場所では実験的にNFCを利用したタグや情報取得のデモを行っているので、探して訪れれば体験できるが、少なくとも筆者の日常生活の中でNFCを利用する機会は少ない。

 そんな決定的な利用シーンがいまだに無いNFCだが、エレコムから野心的なキーボードが登場した。BluetoothではなくNFCを利用して接続し、Android端末に文字入力ができるキーボード「TK-FNS040BK」だ。環境を整えれば、NFCエリアに端末を置くだけで接続され、キーボードからの入力が有効になる。端末を持ち上げればすぐに接続は解除される。Bluetoothのようなペアリングの概念は無い分、直感的で分かりやすい。反応速度も問題なく、キー入力に対してはサクサクと動作する。

 Android端末側には、ドライバソフトウェアに相当するような「ELECOM NFC Assistant」と「ATOK for ELECOM」をインストールする必要がある。どちらもGoogle Play上で製品購入ユーザー向けに公開されているので、インストール自体は難しくない。設定が終われば、通常の文字入力などと同様に、メールや検索フォームなどATOKが起動する場面でNFCキーボードを利用できる。NFC経由で入力するということで、筆者は当初、専用メモアプリなどでしか入力できないのではないのかと予想していたが、いい意味で裏切られたようだ。キーボードを利用して入力できるシーンについては、ほかの外付けキーボードなどと同じで、不満はない。ちなみにキーボードを利用していなくても、文字入力で「ATOK for ELECOM」を利用できる。

 このキーボード、三つ折の独特の形状や、クリック感の無いラバー製のキートップ、内蔵電池は1日8時間使用しても1年6カ月間も持つが充電・交換はできないなど、いろいろな意味でユニークなポイントが満載だ。左右に分割されたキー配列は大胆すぎるように思えるが、実は正しくタッチタイピングをマスターしていれば問題ない分割になっている。どちらかというと、「ー」や「@」など「Fn」キーとの組み合わせで入力しなければならない文字が多い点のほうが、慣れが必要かもしれない。入力していると画面が暗転しスリープモードに入ってしまうのは、一緒にインストールしたアプリ側でなんとか対処してほしい部分ではある。折りたたんで持ち運べることもあり、日常的に使うというより、非常時や旅行先などで活躍するのではないだろうか。


エレコムのNFCキーボード「TK-FNS040BK」縦位置でも利用に問題ないが、端末を浮かせると接続は切れる
標準的なキーボードと比べると、「Fn」キーとの組み合わせで入力する文字は多め折りたたんで持ち運べる。充電端子はおろか、フタや電源スイッチも無いシンプルな仕様
利用開始前には2つのアプリをインストールし、文字入力設定などを変更しておくメールアプリやテキストエディタ、検索フォームまで、文字入力システム(ATOK)が起動する場所なら、どこでもNFCキーボードを利用できる