PRADA phoneと組み合わせていたあの端末がついに……

2012年4月13日 06:00
(石野純也)
3月31日までは、PRADA phoneとpreminiを切り替えて利用できた

 実は「PRADA phone by LG L-02D」と同じ電話番号で、movaを使っていた。過去形なのは、3月31日でmovaが停波になったため。ドコモには、3月31日まで「デュアルネットワークサービス」という、同一番号でFOMAとmovaを切り替えられるサービスがあり、これで「premini」を通信可能なまま残していたのだ。元々はFOMAの電波が入らない時や、FOMA端末の電池がなくなった時の予備にするために契約していたが、エリアの拡大や省電力技術の進化によって最近ではすっかり出番がなくなっていた。とはいえ、世界最小のiモード機でデザインもスタイリッシュなpreminiは、どうしても利用可能な状態で手元にとどめておきたい逸品。デュアルネットワークサービスは月額315円(留守番電話とセットにすると、ここから105円割り引かれる)と比較的安価なため、メイン端末をスマートフォンにした今も、そもままになっていたというわけだ。

 このpreminiの最期をみとるため、3月31日の23時50分に回線をmovaに切り替えた。方法はシンプル。利用したい側の端末から「1540」に発信し、音声ガイダンスに従ってネットワーク暗証番号を入力するだけでOKだ。念のため、preminiから固定電話に発信し、回線がつながっていることを確認。23時59分になりそうなタイミングで時報に電話をかけ、停波とともに回線が切断されるかどうかを試してみた。

 ところが、0時を過ぎても時報は一向に止まらない。その後1分程度放置してみたが、状態は変わらなかった。「おかしいな?」と思い、電話を切りもう一度時報に発信。すると今度は受話口からは話し中の音が鳴り、回線がつながらなくなった。本稿執筆時の4月4日時点でもアンテナピクト(電波マーク)が3本のままだが、電話をかけることはできない。想定していた形とは少々違うが、19年間現役で活躍してきたmovaの停波に立ち会えたような気がしている。FOMAやXiへの移行を推進したいドコモにとっては迷惑な話かもしれないが……(笑)。ちなみに、この瞬間を動画に収めておいた。preminiがスピーカーフォン機能に対応していないため、時報の音が聞こえずイマイチ証拠能力には欠けるが、回線が切断されなかったことが分かる。

movaで時報に接続したまま4月1日の0時を迎えた瞬間

 movaの停波に伴い利用できなくなってしまったデュアルネットワークサービスだが、実は今こそFOMAやXiのサービスとして復活してほしいと思っている。デュアルネットワークサービスが導入された当時はFOMAのエリアに対する不安を払しょくするためという意味合いが強かったが、今では違った形で受け入れられるのではないか。当時とは違い、端末の多様化も進んでいる。たとえば、スマートフォンとタブレットを切り替えながら使うというスタイルは、こうしたサービスがあれば容易に実現できるはずだ。普段はPRADA phoneで、アウトドアに行く時だけ防水スマートフォンという使い分けも可能だ。

 発想としては3枚のSIMカードで1GB分のデータ通信をシェアする、「IIJmio 高速モバイル/Dサービス」の「ファミリーシェア1GBプラン」に近い。こうしたプランは、追加で1回線分の料金が発生してしまうという理由で“複数台持ち”を躊躇しているユーザーへの訴求にもつながるはずだ。同時利用はできないため、通信網の負荷は2台分以下になるかもしれない。もちろん、SIMの差し替えでも同様のことは可能だが、電池パックの取り外しや端末の再起動といった手間がかかる。苦肉の策として始まったデュアルネットワークサービスだが、クラウドへのアクセスが前提になったスマートフォンやタブレットが広がった今こそ、再評価していいのではないかという気がしている。