“おいしい”ところを押さえたカメラアプリがよさげ

2012年2月13日 06:00
(日沼諭史)

 「DIGNO」にプリインストールされているアプリは数多いが、中でも「フィルターカメラ」と「フェイススタジオ」という2つのカメラアプリは、かなり使いでのある機能を備えている。Androidマーケットで同種の有料カメラアプリを探す前に、ぜひ試してみてほしいアプリだ。

 まず1つ目の「フィルターカメラ」は、撮影した写真画像や端末に保存している画像にフィルターで特殊効果を加えることができるアプリ。用意されているフィルターは“一眼レフカメラ風”、“ミニチュア風”、“線画風”、“プライバシー保護”の4種類。“一眼レフカメラ風”は、写真の奥や手前などにボケ味を加えて擬似的に被写界深度を表現する特殊効果を加えられる。絞り値を設定できないスマートフォンのカメラでは困難な表現で、“格調高さ”や“本気っぽさ”みたいなものを写真に付加できるのである。

 “ミニチュア風”は、高いところから撮影した実際の風景写真などを、中央付近のピントを強調したりすることで箱庭っぽい雰囲気にできるもの。一時期ものすごい勢いで流行した“チルトシフト撮影”が簡単に行えるわけだ。また、“線画風”では、写真内の輪郭を強調するなどして手書きイラストのような見栄えにできる。あまりうまく撮れなかった画像でも、一発で芸術性のある画像に早変わりするはず。最後の“プライバシー保護”では、画像の一部や全体をぼかすことが可能。他人や個人情報につながるものが写り込んでいたとしても、ぼかすことで安心してSNSにアップロードできるだろう。

 一方の「フェイススタジオ」は、写真中の人物を美肌にしたり、目元や瞳を大きくできるものだ。美肌化や目の拡大は、1回だけ反映させてもわずかにしか変化しないため、違和感のない微妙な改善効果が期待できる。何度も繰り返し効果を加えることで大きく変化させることもできるが、やりすぎると別人というか宇宙人のような怖い顔になってしまうので、ほどよく、控えめに使うのがコツ。顔色のよくない写真を友達に渡すときに使えるほか、自分撮りするたびに写真うつりの悪さが気になってしまう人にもおすすめのアプリと言えるだろう。

“一眼レフカメラ風”のフィルターを適用した例“ミニチュア風”のフィルターを適用した例
“線画風”のフィルターを適用した例“プライバシー保護”のフィルターを適用した例

 どちらのアプリも機能は決して多くはない。しかしながら、誰もが使ってみたくなる“おいしい”ところをしっかり押さえている。こういったカメラアプリに慣れていないと、初めから多数の機能があっても使いこなすのは難しいので、そういう人にとっては逆に機能は絞られていたほうが使い勝手がよいだろう。もっといろいろな特殊効果を楽しんでみたいと思ったときにAndroidマーケットで他のアプリを探してみればいいし、そのための入門用アプリとしては申し分のない出来だと思う。

 もっとも、有料であってもプリインストールアプリの高機能版がすぐに入手できるようになっていれば、ユーザーと携帯電話メーカーのどちらにとっても都合がいいのでは、と思わないこともない。有料アプリがなかなか盛り上がらないというAndroidマーケットの状況は気になるけれど、信頼性の高いメーカー製アプリを使いたい、という潜在ニーズも少なからずあるんじゃないかな、と思ってみたり。