怖いけど、自分も出しかねないと思ったオークション

　我ながら中国づいているな、とは思っているのですが。6月に上海で開催される展示会に行ってこようと思っております。ただ、中国と言っても、筆者、上海は初めてでして、何度も訪れている深センの地下鉄・バスのプリペイドカード「深セン通」は持っているのですが、上海のカードは持っておりません。

　そこで、上海の地下鉄やバスで使える「上海公共交通カード」を事前に手に入れたい、と思ってインターネットを検索してみると。オークションがずらずらとヒットしました。そっかぁ、外国の交通カードって現地で買ってきて、日本で売ればこづかい稼ぎになるのだなぁ。私も深センでやればよかった……などと思いつつ、某オークションの入札ボタンをポチり。1枚事前に入手しておきました。

某オークションサイト。「上海　交通カード」で検索すると出品がずらずらと

オークションで入手した上海交通カード。かかった費用は1000円未満。これで切符購入の行列に並ばないで済む、と思うととても気が楽に

　以前から上海交通カードは、発行元の「交通カード公司」サイトでカードの残高が表示可能なのですが、見られるのはトータルの残高だけ。それ以外の情報はありませんでした。ところが、最近、カード公司からスマートフォン用のアプリが提供され始めました。「あ、アプリがあるのか、上海は便利だな」と何気なく手元のhonor 8にアプリをインストールし使ってみてビックリ。現在のカード残高だけでなく、前に使っていた誰かの使用記録が事細かに表示されるではないですか！

　このアプリはセンターに番号を送るのではなく、スマートフォンに搭載されているNFCインターフェースで直接カードを読み取るようになっています。そのため、これまでは表示されなかった、カードの過去の使用履歴がある程度まで表示できるようになったのです。

上海カード公司提供のスマートフォンアプリ。公共交通カード、ETCカードの使用履歴がみられるほか、チャージなども可能です

買った上海交通カードをかざしてみたら、利用履歴がずらり……。悪用できるデータではないですが、少し気持ちが悪いといいますか

　ふむ、このカードを使っていた方は、上海での最終日、お昼過ぎに30分ほど地下鉄に乗って4元使い、夕方にまた地下鉄に乗って、夜は終電のリニアモーターカーに乗って空港まで行ったのか、と見えてしまっているのです。一応、表示される記録は直近10件に限られるみたいですが……。

　ということは、この上海交通カード、転売のために買った新品ではなくて、自分が使うために買い、実際にある程度まで使ったものを日本に持って帰ってきて、オークションで売っていたのですね。

　確かに、交通カードは便利です。今時、どこの都市でも公共交通機関で移動しようと思ったら欠かせません。上海にせよ、東京にせよ、クアラルンプールにせよ、ロンドン、ニューヨークでも、それは旅行者であっても同じ、いや、時間のない旅行者にこそ本当に必要なのです。

後に、深セン通の使用履歴を表示できるアプリも見つけました（公式アプリではないですが）。いやぁ、毎月、深センの街をフラフラしているのが赤裸々になってしまいます。怖いなー（苦笑）

　ただ、一度その街に行ってもう当分行かない場合。解約の仕方がわからなかったり、帰りの飛行機のチェックインなどで忙しくて手続きするのを忘れてしまったり。いろいろ事情はあるでしょう。手元にそのカードが残った場合、どうするでしょうか。

　カードをオークションで売ってしまえ！　という気持ちもわかります。しかし、そうした場合、こういう記録がアカの他人に渡ってしまう危険も、少しは考えておいた方がいいかもしれないですね。まぁ、表示できたからといって、身に危険が降りかかるような情報ではないのですが、やはり少し気持ち悪いです。

　え、私？　私はできれば、最後は帰りに空港駅でデポジットの20人民元（日本円にして300円ちょっと？）もらって、カードは解約するのを忘れないようにしようと思います……で、もし忘れたら、「本当に中国づいてるなぁ」といいつつ、また上海を再訪する用事を考えるとしましょう（笑）。