スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

漢字が……漢字が書けない~

小学生からやり直して劣等感解消!

数年に一度の筆記具ブーム

 理由はわかりませんが、数年に一度、ワタクシ内部で筆記具のブームが起きます。今年は万年筆。友人が万年筆にハマっており、「ふむふむ」と思って久しぶりに文具店へゴー。そこで千円以下の万年筆を多々発見し、試しに買ったらアラ凄い! 安い万年筆でもこんなに書けちゃうのか! というのがきっかけです。

 万年筆って、スラスラぬるぬると書くこと自体が快感ですね♪ 軽い力でススッと書けて、紙とペン先が擦れる感触も気持ちよく、ついつい書き続けてしまいます。歴史の古い筆記具だけに、文具店で「吊しで」売られているような万年筆のほか、もちろんさらに高品質なものや高級なものも多々あります。そして最近ではインクもカラフル。インクの瓶も美しかったりして、非常に楽しそうな世界が展開しています。

 万年筆に関して調べるほどに、「万年筆沼」「インク沼」といった、入り込んだらずぶずぶと深みにはまって逃げ出せなさそうな深い世界が広がっていることがわかります。でもまあ、たとえばカメラや時計、自転車やオートバイ、服やグルメなどといったジャンルと比べたら、わりとお金のかからない世界(ごく一部はもの凄くお金がかかるようですが)。また、万年筆は毎日使える実用的な筆記具。趣味化するにはとてもハードルが低いように感じられ、じゃあ万年筆だ! というコトで、万年筆に手を出すハコビに。

手軽に買える価格帯の万年筆をアレコレ試しております。キレイなインクも少々。ここ最近では、書き心地の良い紙に関する情報を集めたりしてもいます。

 万年筆について、わりと多くの方と同様、ワタクシの場合も「書き味を楽しむ」という趣味性に強く惹かれています。万年筆で書いているときって、なんかキモチイイ系の脳内物質が分泌されているんでしょうか? 軽い陶酔感とともに、ずっと書き続けてしまいます。とても心地良い時間です。

 しかし、その気持ち良さをガスッと邪魔するものがあります。それは、ワタクシが「漢字をマトモに書けない」というコトです。パソコンに頼って原稿を書いて早30年。昔は原稿用紙に鉛筆で書いたものですが、最近は日本語IME(漢字変換ソフト)とテキストエディタ(レイアウト機能などがないワープロソフトのようなもの)ばかり使っています。漢字は、パソコンが自動的にひらがなから変換してくれますので、「漢字読めるけど書けない病」が重篤化しているというわけです。

 さて困った。てゅーか、ヤだな。万年筆で書くこと自体は気持ちイイけれど、書いている途中で「うっ……この漢字はどう書くんだっけ?」と中断されます。同時に「俺って漢字書けねぇ~」という劣等感が噴出。ん~むむむ。ぐ~ぬぬぬ……。

おまえはおまえは、小学生からやり直しっ!

 まあ、問題なく書ける漢字もあるんですけど、書けない漢字はヒドいです。無理矢理書くと、有りそうで無いような、ソレっぽいけど成立不能の、漢字をいったんバラしてシャッフルしてそこから「勘で組み立てた」ような漢字……というより図形になっちゃいます。また、カタチは覚えているものの、書き順がデタラメという漢字がとても多いです。改めて漢字の書き順や正しいカタチを調べ、「え……まさか、こんな……」などとヘンな汗をかきながら、自分で書いた漢字の形状&書き順のアブノーマル具合に驚愕します。

 いったいどうすれば……? と思っていたそのとき、やや濁ったふたつの眼球の奥に声が響きました。

「おまえはおまえは。漢字を勉強し直すように。小学生からやり直すように」

 猫っぽい声でした。ともあれ、まあいい機会だし、漢字についての劣等感をこれまで何度も感じてきたというのもあるし、小学生レベルの漢字を全部復習し直すことにしました。気が変わらないうちにAmazonでテキストを購入。

「やっとやる気になったね。はい、どうぞ。すぐ始めてね」

 そう言わんばかりに、翌日午前中にAmazonからそのテキストが届きました。日頃の購入物品履歴から、やはりワタクシが漢字苦手野郎であることがバレていたっぽいっていうか、こういうときはとりわけ、日本の流通の力に強く感謝してしまいます。

購入したのは、小学館の「小学漢字1006字の書き方辞典」(卯月啓子監修)(公式製品情報ページはコチラ)です。税別800円。音訓の読みや部首、書き順はもちろん、漢字の成り立ちなども書かれています。書き順に関しては、細部の「線が出る出ない」「隣の線と接する接しない」まで詳細に書かれていて、たいへん勉強になります。

 この本をテキストに、毎日「漢字書き取り」をしていますが、も~毎日驚愕しまくりです。漢字を書けなさ過ぎでした。細部のハネとかトメとかそういうのも多々間違っており、書き順については自分の名前の一部さえ間違っているという体たらく。このテキストをザッと見て「しょ……小学生ってスゲぇ!」とか思ってしまいました。

 言い訳しますと、小学生の頃はわりと漢字を書けていたと思います。書道なんかも習っていたので、先生から書き順について細かく指導されたことも、うっすら記憶にあります。上記テキストを見て「そう言えば、こう習った気が……」と思い出したりも。でも、長い間書いていなかったり、意識せずテキトーに書いていたりすると、漢字の正しい形を忘れたり、書き順が狂ったりしちゃうようですネ♪ つーか「ネ♪」じゃねーよ>俺、とか思いました。

書くのがもっと快感に♪

 漢字書き取りは毎日1時間! みたいに進めていますが、とりあえず小学校で習う漢字1006字を書き終えました。でもまだ細部に間違いが残っていたり、書いている途中で「あっ……この棒は最後に書くんだった」などと動作が止まったりするので、さらに練習が必要です。また、中学校で習う漢字1130字についても復習中です。

左は三省堂の「楷行草 筆順・字体字典」(江守賢治 編集)(公式製品情報ページはコチラ)。楷書、行書、草書の書き順およびお手本を参照できます。右はふる~い電子辞書で、キヤノンの「word tank G50」(メーカー機種仕様ページはコチラ)。漢字源(漢字専用辞書)を搭載しており、漢字筆順表示機能が使えて便利です。iPad/iPhone用アプリだと「常用漢字筆順辞典」(公式製品情報ページはコチラ)がオススメかも、です。

 しかし、考えてみるとオトナって凄いですね。持続力とか吸収力とか突破力が、一般的な小中学生とは格段に違うように思います。まあ好奇心が旺盛になったらという条件付きですが、たとえば小学1年生が習う漢字なら余った時間に復習しても半月くらいで完了できます。一度習っていますから、短時間でおさらいできるのは当たり前ですが、復習の内容が「正しい形と正しい書き順で、美しく書く」というハードルの高いものでも、スピード感とともにこなせたりします。

 お手本となる漢字の細部を見て「そうか、この部分が平行だから整って見えるんだな」などと積極的に学習したりもします。「漢字なんか全部朝飯前で書けるようにしてやるゼ糞ったれのガッデムが!」的な情熱を発動しつつ「いつもなら面白くも何ともねね漢字書き取りなんか」に集中できるのは、なかなかオトナっぽい力の出し方だと思います。

 それにしてもまあ、集中して漢字書き取りをすると、頭が疲れます。長時間におよぶ創造的な話し合いをした後のような、危険を伴うアクティビティを連続して行った後のような、「もう何か考えるの無理、面倒」みたいな「脳の芯からの疲労」を感じます。それで床につくと昏々と眠れるので、もしかしたら健康的な睡眠導入方法としてイケるかもしれません。でも夢の中にまで漢字が出てくるのは、なんかあんまり心地良くはありませんけど。

 そんなわけで、最近は漢字書き取りに凝っているのでした。万年筆の一種官能的な書き心地とともに滞りなく文字を書くのは、とても気持ちがいいので、ご興味あらばゼヒ!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。