ケータイ用語の基礎知識

第690回:AOA 2.0 とは

 「AOA 2.0」の「AOA」とは、Android Open Accessory(アンドロイド オープン アクセサリー)のことです。AOAは、周辺機器(アクセサリー)をAndroidスマートフォン/タブレットと連携できるようにするためのインターフェイスです。

 AOAは、2011年、Androidの開発元でもある米グーグルから発表されました。その最新バージョンが、今回紹介する「AOA 2.0」です。

 Androidでは、Android 2.3.4以降(タブレットではAndroid 3.1以降)で「AOA1.0」に対応し、Android 4.1以降で「AOA 2.0」に対応しています。

AndroidからUSB機器の制御

 パソコン(USBホスト)とAndroid端末をUSBケーブルで繋ぐと、Android端末は、大容量の記憶デバイスである「マスストレージクラス」、あるいは「MTP(Media Transfer Protocol)接続」で繋がって、機器間のデータ送受信ができます。

 AOAでは、これに加えて、「アクセサリーモード」で接続するようになります。これにより、Android端末からのUSBで繋がった機器を制御したり、逆にUSBで繋がった周辺機器からAndroid端末を操作できるようになります。

 かつてのAndroid端末は、周辺機器としてのみ振舞うことだけが可能で、USB周辺機器を使うことはできませんでした。しかしAOAではその制約を克服したことになります。

「AOA 2.0」では「オーディオデバイス」「が追加

 AOA 1.0では、Androidアプリと周辺機器が通信するための機能と、USBでパソコンに繋いでデバッグなどに利用する「ADB」という機能がサポートされていましたが、Android OS 4.1以降で対応している「AOA 2.0」では、従来のAOA 1.0から、さらに2つの機能が追加されました。

 1つは、Android端末からアクセサリーへ「音声出力」できるようになったこと、つまり、オーディオ出力が可能になったのです。この機能では、たとえばヘッドセットをUSBで繋いで、Android端末で音楽(2ch、16bit PCM/44100kH)を再生して楽しめるようになっています。現在は音声出力だけですが、開発者向けのサイトでは、将来的に、オーディオ関連で別の機能が追加される可能性がある、と案内されています。

 また、これまで、Android端末でUSB DACを使用するにはベンダー依存のUSBオーディオクラスドライバーが必要で、Androidの機種によって使えるもの、使えないものなどが存在していましたが、「AOA 2.0」対応のアンプではOS標準の機能で音の出力ができるようになっています。

 もう1つは「Android端末に対する1つ以上のヒューマンインターフェイスデバイス(HID)として振る舞うアクセサリー」になる機能です。わかりにくいかもしれませんが、キーボードやマウス、あるいは他の操作用の周辺機器をAndroid端末に繋いで、Android端末を操作できるようにする、といった機能です。あるいは、スピーカー付きのドックにあるボタンで、音楽を再生したり早送りしたり、といったAndroid端末の操作も可能になります。

 そうした「AOA 2.0」対応の周辺機器としては、既にティアックのポータブルヘッドホンアンプや、ケンウッドのカーオーディオなどが登場しています。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)