ケータイ用語の基礎知識
第604回:「ucode」 とは
(2013/3/12 12:10)
「ucode」(ユーコード)とは、現実の世界にある、あらゆる物、あるいは場所に対して割り当てる、国際標準規格の識別用番号(識別子)です。2012年6月、ITU(国際電気通信連合)において「H.642.1」という国際標準規格に採用されました。
そして「ucode」は、ユビキタスコンピューティングに関する基盤技術の確立と普及を目指す、ユビキタスIDセンターによって管理されています。
「ucode」を使えば、製品や場所に対して情報を関連付けられるようになり、「ucode」を読み取って、その関連付けた情報にスマートフォンなどからアクセスする、といった使い方を実現できます。
もちろん、そういったサービスは既に存在していますが、国際標準規格となった「ucode」は、物や場所、1つ1つに付けられる番号(一意の番号)です。つまり、どの企業の製品やサービス、あるいは国をまたがって共通に利用することができます。また現実の物や場所だけではなく、デジタルな「コンテンツ」や「情報」、さらにより抽象的な“概念”にも「ucode」を割り当てることもできます。
たとえば、スーパーマーケットで販売されているような製品につくバーコード(JANコード)などは、製品1つ1つではなく、同じ製品であれば、バーコードの中身も同じです。一方、「ucode」は、たとえ同じ製品であっても、1つ1つの番号が異なります。また、一度割り振られた番号は、他のものに割り振られることはありません。「ucode」の発行対象が消滅すると、ucodeも破棄され欠番となります。一度発行された「ucode」は、時間が経っても、他と同じ物がない“ユニークな番号”であることが保障されています。
「ucode」を現実のモノや場所に割り当てるときは、バーコード、QRコードのような二次元バーコード、RFIDといったタグ(これはucodeタグと呼ばれます)に納められます。
ucodeを使った実証実験
最近では、東京都や国土交通省が推進するユニバーサルデザインの街づくりを目指したプロジェクト「東京ユビキタス計画・銀座」で「ucode」が用いられています。こうしたこともあり、モバイル関連のニュースでは、「ucode」という単語がよく出てくるようになってきています。
2013年3月末まで実施される「東京ユビキタス計画・銀座」では、専用アプリをインストールしたNFC対応のAndroid端末を使って、銀座の街中に設置されているucodeを読み取って、目的地までの道筋を案内したり、周辺にある店舗の情報、あるいはトイレの情報、地下鉄やバスといった交通運行情報を得られます。
中身は128bitを基本とした識別番号
便利な「ucode」ですが、それ自体は、単なる識別番号で、道案内などの情報が記されているわけではありません。
「ucode」のアーキテクチャーでは、「ucode」を読み取ると、その番号に紐付けられた情報をデータベースから取り出せるようになっています。
モノや場所に貼り付けられた「ucode」を読み取ると、データベースに問い合わせて、たとえばURLがわかると、Webブラウザでサーバーへアクセスして、情報を見られるようにします。たとえば、Web上の検索エンジンで調べ物をする際にはキーワードが必要です。一方、「ucode」では、そうしたキーワードは必要なく「ucode」さえ取得できれば情報を引き出せます。
なお、ucodeは、128bitの識別子です。つまり2の128乗もの番号があります。さらにそれ以上の長さのコードも利用できるよう、128bit単位で拡張できる仕組みも用意されています。