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オモシロイほうの次世代のフラッグシップモデル「C5001T」
法林岳之 法林岳之
1963年神奈川県出身。パソコンから携帯電話、メール端末、PDAまで、幅広い製品の試用レポートや解説記事を執筆。特に、通信関連を得意とする。「できるWindows XP基本編」「できるADSL フレッツ・ADSL対応」「できるZaurus」「できるVAIO Windows XP版」など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。iモード用EZweb用J-スカイ用、H"LINK用(//www.hourin.com/H/index.txt)を提供。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。


auの次世代サービス対応第1弾モデル

 auはこの12月から「次世代サービス」と銘打ち、ezmovieやeznavigationなどの新しいサービスの提供を開始している。その次世代サービスに対応した端末の販売が開始されている。ラインアップの内、フラッグシップモデルとなる「C5001T」を機種変更で購入することができたので、レポートをお送りしよう。


auが考える「次世代」

C5001T

 au/東芝『C5001T』。サイズ:47(W)×96(H)×24(D)mm(折りたたみ時)、98g。ネイビー(写真)、シルバーをラインアップ。
 2001年のケータイのトピックのひとつとして、「次世代携帯電話」が挙げられる。NTTドコモが提供を開始した「FOMA」がまさしく次世代携帯電話ということになるのだが、auはNTTドコモと若干異なるアプローチをしている。

 次世代携帯電話の定義にはいろいろな解釈があるが、一般的なのは「2GHz帯」を利用した第3世代の携帯電話サービスということになる。つまり、アナログ、デジタルに続く世代の携帯電話サービスというわけだ。しかし、auはすでに次世代携帯電話の基本技術として採用されている「CDMA方式」をベースにしたcdmaOneを1999年から全国に展開しており、『2.5世代』とも言えるサービスを提供している。auが2GHz帯を利用した「CDMA2000 1x」のサービスを提供するのは2002年と言われており、現行のcdmaOneと併用する形でサービスが展開される見込みだ。そこで、auでは次世代携帯電話に相当するサービスを「次世代サービス」と位置付け、現行サービスでも実現できる「ezmovie」や「eznavigation」などの提供を開始したわけだ。

 今回紹介する東芝製端末「C5001T」は、この次世代サービスに対応した端末だ。auでは次世代サービスの展開にあたり、ラインアップを大きく変更し、端末の型番も改めている。次世代サービスの内、「ezmovie」や「eznavigation」、「EZweb(WAP 2.0)」などのサービスが利用できる「C500xシリーズ」(ムービーケータイ)、「eznavigation」や「EZweb(WAP 2.0)」が利用できる「C300xシリーズ」(GPSケータイ)、従来のC40xシリーズと同等の機能を持つ「C100xシリーズ」という3つのラインアップで構成しようとしている。つまり、C5001Tは現時点で提供されているauの次世代サービスがすべて利用できるフラッグシップ的な位置付けになるわけだ。

 また、auは今回の次世代サービスの展開に伴い、EZwebのサービス内容について、いくつかの仕様や機能を変更している。たとえば、コンテンツはWAP 2.0準拠となり、iモード向けに記述されたページの閲覧を可能にしている。メールは仕様を変更した「ezwebmulti」に進化し、EZwebのコンテンツ閲覧についてはC500xシリーズに限り、最大64kbpsでの転送(下り方向)を可能にしている。これらのことを見てもわかるように、C500xシリーズはFOMA対抗、C300xシリーズはNTTドコモの50xシリーズ対抗、C100xシリーズはNTTドコモの2xxシリーズ対抗という位置付けになっている。

 こうしたことも頭に入れながら、auの次世代サービスの内容も含め、C5001Tの使い勝手や実力をチェックしてみよう。


高精細なポリシリコンTFT液晶を採用

 製品の細かいスペックなどについては、auや東芝の製品情報ページ、「ケータイ新製品SHOW CASE」を参考にしていただきたい。ここでは筆者が実機を試してみて、感じられたことを中心に紹介しよう。また、サービスについては非常に多岐に渡っているので、中心的な機能を紹介する。

 まず、ボディは従来の東芝製端末に続き、折りたたみデザインを採用する。ただ、従来モデルはボディ全体がやや鋭利なデザインだったのに対し、今回は比較的、スタンダードなボディになっている。液晶パネル側の側面に外部接続端子を備えるというレイアウトは継承されているが、従来モデルのようにコネクタ周辺が出っ張っておらず、スッキリまとめられている。データ通信カードやケーブルを接続するときはあまり違和感がないのだが、PashaPa2やBluetoothアダプタなどの外部機器を接続したときの姿はあまり美しいものではない。液晶パネルの背面には宝石をイメージしたという「クリスタルイルミネーション」と呼ばれるLEDを備える。7色に光るLEDはそれほど珍しいものでもないが、発光パターンが何種類かあり、計30通りの光り方を設定することができる。


クリスタルイルミネーション 外部接続端子
 背面に「クリスタルイルミネーション」のLEDを搭載。何となく幻想的な光り方が面白い。  外部接続端子は液晶ディスプレイ右側面に装備。少し違和感があるが、実は意外に使いやすい。

 液晶ディスプレイは144×176ドット/4096色表示が可能なポリシリコンTFTカラー液晶を採用する。ポリシリコン液晶については、C415Tのレビューのときにも紹介したが、多くの端末に採用されているアモルファス液晶よりも高品質な表示が可能だ。C415Tよりもサイズがひと回り大きくなった上、後述するezmovieでは画面を横向きにして、フル画面で動画を再生することもできる。過去に、P501iなどで画面を横向きにして、メールを横長画面で見るというスタイルは存在したが、今後、動画再生などが増えてくると、こうした使い方が増えてくる可能性もある。

 ボタン類は中央にワープアクションキー、最上段に3つのソフトキー、右下にメニューキー、左下にアドレス帳キーが並ぶ。3つのソフトキーは待受時に左がメール、中央がEZweb、右がメディアアレンジャーに割り当てられており、中央ボタンの長押しで「TOSHIBA User Club Site」に直接、接続することが可能だ。ワープアクションキーは方向キーと中央の決定ボタンがそれぞれ独立するタイプだが、サイズの違いが影響するのか、上下と左右でかなり操作性が異なり、上下方向の操作しようとしたのに、決定ボタンを押してしまうことも少なくない。

 また、右端のソフトキーがメディアアレンジャーに割り当てられているのも理解に苦しむ。この音楽系の機能をワンタッチで呼び出せるようにするのは従来モデルから継承されたものだ。確かに、着信メロディの再生や作曲、ピクチャの編集は面白い機能だが、わざわざ独立したボタンを割り当てておくほど、重要な機能だろうか。個人的にはもっと他に割り当てるべき機能があるような気がするのだが……。


液晶 ボタン
 液晶ディスプレイは東芝お得意の低温ポリシリコン液晶を採用。解像度も高く、cdmaOne端末では最も高品質。  ワープアクションキーは方向操作と決定操作が別ボタンのスタイル。上方向と決定ボタンをよく押し間違える。もう少し大きくして欲しかった。

手軽なezmovie、驚かされるeznavigation

 C5001Tが従来の東芝製端末と大きく違うのは、メニューなどのソフトウェア周りだ。たとえば、従来の多くの東芝製端末は中央キーの右方向からメニューを呼び出していたが、C5001Tではメニューキーが装備されたことにより、操作しやすくなっている。

 また、よく使う機能を自由に割り当てておくことができる「ランチャーメニュー」という機能も用意された。ランチャーメニューはワープアクションキー中央の決定ボタンを押すと呼び出すことができ、機能やアドレス帳の内容(電話番号、メールアドレス、URL」を最大12件まで登録しておくことができる。

 着信メロディは従来通りの16和音対応だが、東芝としてはサウンドにこだわったようで、標準セットにはスイッチ付きステレオイヤホンマイクまで付属する。前述のメディアアレンジャーが用意されているのもその一環ということだろう。収録されている着信メロディは東芝端末でおなじみの「サザエさんBGM」が5種類。その他はクラシックやスタンダードなものばかりで、今ひとつ面白みがない。

 さて、気になる「次世代ケータイ」のサービスだが、まずはeznavigationから見てみよう。eznavigationは米Qualcommが開発したgpsOneを採用したサービスで、GPS衛星とcdmaOneの基地局からの信号を合わせて位置を割り出す。GPSの信号が必要になるということで、室内や地下は計測できないかというと、これが意外にも計測できてしまう。「新製品SHOW CASE」でスタッフも触れているが、インプレスのビル内や筆者宅、一般道のトンネルの中でも比較的、正確な位置を割り出してくれる。計測には数十秒を必要とすることもあるが、この精度で計測できるのなら、かなり面白いコンテンツができるそうだ。もちろん、カーナビならぬ「人間ナビ」も夢ではなさそうだ。


メニュー ランチャーメニュー
 メニューキーで各機能の項目が表示されるスタンダードなスタイルを採用。  決定ボタンで表示される「ランチャーメニュー」は自由にカスタマイズが可能。

ezmovie

 ezmovieの再生画面。動画は内容にもよるが、比較的なめらか。音量調節も可能。
 一方、ezmovieは動画配信サービスだ。NTTドコモがFOMAで開始した「iモーション」の対抗サービスに位置付けられる。圧縮方式は映像がMPEG4、音楽はMP3に準拠している。実際に、EZwebにアクセスし、動画をダウンロードし、再生してみたのだが、これが予想以上に手軽に見られるのだ。待受画像を見ているときと同じ感覚で見られるため、ひとつ間違うと、かなりパケット通信料がかさむことになりそうだ(笑)。2~3本見て、面白いと思ったら、PackeOneミドルパックの導入などを検討した方がいいだろう。ちなみに、auのホームページでは手持ちの動画ファイルをPC上でezmovieの形式に変換するコンバータが無償で提供されている。

 また、従来から提供されていたJavaアプリケーション「ezplus」もパワーアップした。なかでも重要なのはHTTP通信が開始されたことで、サーバーとのデータのやり取りが可能になっている。たとえば、eznavigationでは端末上に地図を表示できるが、地図データはezplusのアプリケーションがサーバからダウンロードする仕組みになっている。また、eznavigationと連携し、1つのアプリケーションでも地域によって異なるデータをやり取りするといったことも可能だ。

 ところで、今回の次世代サービスから再びEZwebのメールの仕様が変更されている。auでは昨年末から「EZweb@mail」というサービスを提供していたが、C500xシリーズとC300xシリーズでは「ezwebmulti」に変更されている。今回はEZweb@mailの端末から機種変更したが、メールアドレスはそのまま継承されており、継続して利用できている。ちなみに、メールアドレスは移行時、移行後に変更することが可能だ。

 EZwebについてはWAP 2.0になったことで、XHTML Basicで記述されたページの閲覧が可能で、iモード向けの勝手サイトを見られるようになったが、使い勝手も少し変わっている。たとえば、従来はコンテンツ閲覧中にブラウザメニューを呼び出し、「トップメニュー」に戻ることができたが、今回はクリアキーの長押しで戻る仕様になっている。これはC3001Hでも共通なので、新バージョンのブラウザで共通した仕様なのだろう。C500xシリーズについては前述のように、最大64kbpsでコンテンツ閲覧が可能になったが、出荷時設定は14.4kbps(標準)に設定されているので、購入後に64kbps(高速)に変更する必要がある。ただ、データの送受信が速くなった割にはブラウザの反応速度が鈍く、今ひとつ軽快さに欠けるのが残念なところだ。できることなら、ブラウザのバージョンアップを期待したい。


動画コンテンツを楽しみたいなら「買い」

 最後に、いつものように「買い」の診断をしてみよう。auが12月から開始した「次世代サービス」に対応した端末のフラッグシップとして登場したC5001Tは、従来の東芝製端末で見られたクセが少なくなり、スマートな端末として仕上げられている。端末固有の機能としては、ランチャーメニューくらいしか目立った機能はないが、ポリシリコン液晶パネルを採用した大画面は動画コンテンツの閲覧にも適したものであり、満足感は高い。

 まず、C5001Tをオススメしたいのは、やはりezmovieを楽しみたいというユーザーだろう。動画コンテンツはまだ始まったばかりで、今後、どれだけ充実してくるかはわからないが、ezmovieの場合、自作コンテンツも作りやすいというメリットがある。ちょっとした動画ファイルををezmovie対応ファイルにコンバートして、端末に保存しておけば、いつでも楽しむことができる。特に、ホームムービーで子どものビデオを撮影しているような人にはうれしい機能のひとつと言えるかもしれない。

 逆に、eznavigationに興味を持ったのであれば、必ずしもC5001Tに絞り込む必要はない。市場では日立製「C3001H」や京セラ製「C3002K」が発売されており、これらの端末でも同じサービスを利用することができるからだ。ただし、地図を見ることを重視するのであれば、C5001Tは他の端末よりも解像度が高いため、快適に使えるというメリットがある。次世代サービスはともかく、新しいcdmaOne端末が欲しいというユーザーにもC5001Tはなかなか有力な候補だが、ソニー製端末「C1002S」なども比較対照に含まれるため、かなり悩むことになるかもしれない。

 auの次世代サービスについては、まだスタートしたばかりで評価を固めていないが、実用性という点で考えた場合、ezmovieよりはeznavigationの方がいろいろ発展性があるように感じている。ただ、eznavigationが最終的にどこまで使えるかはコンテンツ次第なので、端末の購入を検討するときはぜひコンテンツ情報を書かれたカタログを読んだり、本誌で対応コンテンツのニュースなどを検索してもらいたい。


・ C5001Tニュースリリース(au)
  http://www.kddi.com/release/2001/1112/
・ C5001T製品情報(au)
  http://www.au.kddi.com/phone/cdmaone/c5001/c5001.html
・ C5001T製品情報(東芝)
  http://www.toshiba.co.jp/product/etsg/cmt/c5001t/c5001t.htm
・ TOSHIBA User Club Site
  http://www2.t-ucs.co.jp/

au、GPS対応の「C3001H」「C3002K」と動画再生の「C5001T」

・ C5001T(シルバー) 『ケータイ新製品SHOW CASE』
  http://k-tai.impress.co.jp/static/showcase/2001/12/10/c5001t/index.htm


(法林岳之)
2001/12/26 18:39

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