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スマートフォンをPCのように使える「DeX」はテレワークで使えるのか? 使用感を確認してみる

Galaxyスマートフォンで使える「Samsung DeX」はテレワークで使えるのか

 Galaxyスマートフォンには、スマートフォンをディスプレイに接続してPCのように使える「Samsung DeX」(以下、DeX)という機能が用意されています。

 DeXは、Galaxyスマートフォンとディスプレイを接続して、ディスプレイ上に複数のアプリケーション画面を同時に表示させたり、マウスやキーボードを利用して操作するといった、スマートフォンをPCのように扱える機能。日本国内で発売された機種では、Galaxy S8以降のスマートフォンがDeXに対応しています。

DeXの初期画面(ディスプレイ側)

 DeXを利用するには、ドック型の公式アクセサリー「DeX Pad」か、USB Type-C端子をHDMI端子に変換できるアダプターか、USB Type-Cケーブルを用意する必要があります。

 DeX Padは、GalaxyスマートフォンのType-C端子に接続して使えるドック型の公式アクセサリーで、4K/60Hzに対応するHDMI端子やUSB 2.0ポート×2、Type-Cポートが備えられています。販売価格は1万円前後で、Android 8.0以上が動作しているGalaxy S8以降のGalaxyスマートフォンに対応します。

公式アクセサリーの「DeX Pad」

 Galaxy Note9以降のGalaxyスマートフォンおよび、Android 9 Pieにアップデート済みのGalaxy S8以降のGalaxyスマートフォンでは、公式のアクセサリー「DeX Pad」を利用しなくても、HDMIアダプターでDeX機能を利用できるようになっています。そして、Galaxy S9以降では、スマートフォンの画面でDeXの画面を操作できるタッチパッドとしての利用も可能です。

 スマートフォンとディスプレイを接続すると、初回はスマートフォン上に開始確認画面が表示され、ディスプレイ上には画面のキャリブレーションを確認する初期画面が表示されます。確認完了後は、ディスプレイ上にはスマートフォンの画面とは全く異なる、PCのデスクトップに近いものが表示されます。

初めてスマートフォンとディスプレイを接続すると確認画面が表示される

 出力される解像度は、HD+(1600×900ピクセル)、フルHD(1920×1080ピクセル)、WQHD(2560×1440ピクセル)から選択可能で、標準では自動的に設定されるようになっています。4K解像度でのDeX利用には現時点では対応しておらず、出力先のディスプレイがWQHD入力に対応していない場合は、4K対応ディスプレイであってもフルHD解像度など、それ以下の解像度で出力されます。

初回利用時にスマートフォンに表示される注意事項など

 DeXでアプリケーションを起動した場合、PCに近いウィンドウ状態で表示され、DeXに対応しているアプリケーションの場合は最適化されたUIで表示されます。マウスとキーボードを接続しての操作も行えるので、まるでPCのような使い方も不可能ではありません。

アプリケーションウィンドウは最大5つまで同時表示できる

 DeXの操作にマウスやキーボードを使用しない場合は、画面上に表示されるポインターの操作をスマートフォンで行える「タッチパッド」を利用できます。タッチパッドでは、画面上を指でなぞることでポインターを操作できます。

通知パネルから「端末をタッチパッドとして使用」をタップすると、タッチパッドモードに切り替わる
タッチパッドに切り替えたところ

 HDMI入力端子を備えるテレビなどに接続してマウスやキーボードを利用するには、Bluetooth対応のものをスマートフォンに接続して使用するか、USB端子を備えるHDMIアダプターが必要となります。

DeX Padを用意しなくても、HDMIアダプターを用意できればDeXは利用できる。マウスやキーボードで操作する場合はUSB端子を備えるものを利用するか、Bluetoothで接続する

 なお、出力先のモニターにUSBのダウンストリーム端子が用意されている場合は、モニターにキーボードやマウスを直接接続してスマートフォンを直接操作できる。この場合スマートフォンとモニターの接続はType-Cケーブル1本で済ませられます。

筆者が普段自宅で利用しているモニターにはUSB Type-C端子とUSB Aのダウンストリーム端子が備えられているため、モニターにキーボードとマウスを接続してみた

 サムスンの公式Webページによると、DeXに対応するアプリケーションとして「Microsoft Word/Excel/PowerPoint」「Skype」「Gmail」「ZOOM Cloud Meetings」「LINE」「Adobe Photoshop Lightroom」といったオフィスワークに活用できるものや、「YouTube」「Spotify」「ibis Paint X」などが挙げられています。

 DeX向けに最適化されていないアプリでも、DeXの画面上には表示できますが、画面の表示が崩れたり、スマートフォン向けのUIでそのまま表示されるため、快適に使用できるかは別の問題になりそうです。画面を単純に出力するミラーリングとは異なり、スマートフォンの画面と出力先の画面では全く別のアプリを起動することも可能です。

 いくつかのアプリケーションを使用してみたところ、文字入力といった単純作業であれば大きなストレスなく利用できた印象です。複数のアプリを同時に表示していたり、画像編集アプリなどのスマートフォンに高い負荷となるアプリは常にサクサク、とまでは言えませんが、全く使えないという印象にはなりませんでした。

 GalaxyスマートフォンをPCがわりに使おうと考えている場合は、まずアプリが対応しているかが肝心となりそうです。パソコンと比較してしまうとパフォーマンスの面では今ひとつ、といった印象ですが、「自宅でPCは使用しないけど、ディスプレイでマウスとキーボード入力をしたい」と考えているユーザーには選択肢のひとつになるかも。一度、試してみるのも良さそうです。